強盗に入った家の主は、目が見えないけど耳が超良い異常者だった!
個人的評価:★★★★★★★★☆☆☆ 70点
DontBreathe
2016年12月16日公開/89分/アメリカ/映倫:PG12
原題:DON'T BREATHE
監督:フェデ・アルバレス
製作:サム・ライミ
出演:ジェーン・レヴィ、ディラン・ミネット、ダニエル・ゾヴァット、スティーヴン・ラング

輸入盤を自宅鑑賞。

監督のデビュー作『死霊のはらわた(2013)』はだいぶガッカリ映画だったんですが、今回はけっこう好きでしたよ。観てる間にマジで呼吸を止めちゃうような瞬間も何度かあって、全体的に緊張感がスゴかったと思います。不満もなくはないんですが、ちゃんとビビったし演出も良かったし、主演のジジイも面白かった。公開されたら映画館でも観たいです。いつも通りネタバレしてるので、未見の人は読まないでください!

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<あらすじ>
街を出るための資金が必要なロッキーは、恋人マニー、友人アレックスと共に、大金を持っているといううわさの目の見えない老人の家に忍び込む。だが、老人(スティーヴン・ラング)は、驚異的な聴覚を武器に彼らを追い詰める。明かりを消され屋敷に閉じ込められた若者たちは、息を殺して脱出を図るが……。
(以上シネマトゥデイより)

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主人公たちは金品を目的に空き巣を繰り返している3人組。アレックスの父親は警備会社で働いており、合鍵を利用して彼らは顧客の家に不法侵入。盗品はマニーの知り合いのブローカーに売りさばいているが、足元を見られているのかたいした金額にはならない…。ロッキーの母親は育児放棄して飲んだくれているダメ人間。父は幼い頃に別れてしまいそれっきり。そんな家庭環境にウンザリしている彼女はまだ幼い妹と町を出てカリフォルニアへと移住することを夢見ている。しかし、なかなか資金が貯まらない。そんな時にマニーがブローカーから「ある家に30万ドル以上もの大金が隠してある」というオイシイ話を持ちかけられて、「これが最後だ」と彼らは犯行に及ぶのでした…。

相手が盲目の老人ということでナメてかかっていたら、犯行グループのほうが逆にヒドい目に遭わされちゃうって話です。

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老人はイラク戦争で国のために戦い、手榴弾の破片を喰らい失明してしまったのです。過去に一人娘を事故で亡くしており、睡眠中は彼女が映ったビデオをつけっぱなしている…。30万ドルという大金は娘を轢き殺した加害者からの慰謝料だったようです。最初はなんとなく同情してしまうキャラクターでした。

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犯行前に侵入する家を偵察に行き、老人を観察する主人公たち。下準備をして、犯行は真夜中に決行。外にいた番犬は睡眠薬入りのエサで眠らせて、風呂場の窓には鉄格子がないため、そこから侵入することに…。二階で眠っている老人の様子を確認し、睡眠ガスで気絶させ、それから金品を探し始める3人だったが、気づくと二階で寝ているはずの老人目を覚ましている。そして鉢合わせになった結果、マニーが射殺されてしまう。

序盤の緊迫感は凄まじかったです。正直めっちゃドキドキしましたよ。ただ、ちょっと短絡的すぎる犯行だとも思いました。耳が聞こえないからってさすがにナメすぎてるような…(それだからこそ面白いんだろうけど)。老人の不在時を狙って侵入したほうが絶対よかった気がするし、睡眠ガスで気絶させるにしてもせめてちゃんと眠っていることを確認してほしかったですよ。「たぶん大丈夫でしょ」って感じで金の捜索を始めてしまうところは気になってしまいました。なんで目が覚めたんだろう?と思ったけど、老人がすでに侵入者の存在に気付いており息を止めてたってことなんでしょうか。あと、玄関に4つも鍵をつけて警備を厳重にしておいて風呂場の窓だけ鉄格子がなかったのも引っかかりました、二階だから大丈夫ってことだったんですかねー。

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最初の殺人はタイミングが容赦なくて最高。一気に緊迫感が増しました。

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マニーを殺した老人はすぐさま玄関を施錠し、風呂場の窓も内側から板を打ちつけて家全体を密室状態にしてしまう。その後、他にも仲間がいて金を盗まれたことに気づいた老人は激昂し、強盗をブチ殺すため狩りを開始。聴覚だけじゃなく嗅覚も優れており靴の臭いも察知してしまう。

ここからテンション上がっていきました。なんかもう最高のシュチュエーションですよ、強盗に入ったヤツらが完全に悪いんだし、ボコボコにされても殺されちゃっても自業自得。しょうがないですよねー。老人は何も悪くないし正当防衛でしょ!と思いつつも、かなり怖かったです。音を立てて老人に居場所がバレれば即座に殺されてしまうというハラハラするような恐怖がずーっと続きます。『ドント・ブリーズ(Don't breathe)』というタイトル通り、観ている側も息を止めちゃう感じ。音楽もほとんどなく、居心地の悪い沈黙が効果的だったと思います。こんな現場には絶対に居たくないですね!

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暗闇から老人が現れるというよりは、カットが変わったりカメラが動いたら「いきなりいる!」っていうのが超イイですよ。タイミングとか間の取り方も絶妙だったと思います。さっきまでいなかった場所に急にジジイが立っている恐怖感が凄かった。あと、動作が機敏なのもよかったです。音に反応する殺人マシーンという感じで、ロッキーが金を奪った直後なんか超最高でした~!!携帯のバイブ音に発砲するシーンとかめちゃくちゃ好きです。

で、中盤から老人の異常性が明らかになっていきます。完全に気の狂った犯罪者ですよコイツ。事情はあったにせよ身勝手な誘拐犯だし、プライドの高さも垣間見えたりしてそこが一層気色悪い。

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主人公たちが地下室へ行くと、新たな登場人物が現れます。彼女は老人の娘を轢き殺してしまった加害者です。ある目的のために地下室に監禁されていたのですが、それがけっこうキモい。娘を殺害してしまった代償として老人の子供を身籠っていたのです。娘が死んだから、もう一度子供を作るぜ!!って全然共感できないし、加害者が産んだ娘ってイヤじゃないのかな…。

序盤は身勝手な大学生の強盗行為だし老人は被害者の立場だし「ジジイ全員殺っちまえ!」って感じで見ていたのですが、ここからはロッキーたちを応援したい気持ちになりました。老人の復讐心も分からなくはないんですけどね…。いきなり『SAW』みたいなシュチュエーションで面白かったです(笑)。

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ジジイの濃厚なザーメン!!!!

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その後、主人公たちと老人の暗闇での鬼ごっこ。彼女たちを殺そうとするのだが、誤って加害者の女を撃ち殺してしまう…。せっかく子供を作ろうと身籠らせたのに自らの手で殺害してしまい怒りと悲しみに震える老人。さらに追いかけ合いは続き、アレックスがボコボコにされ、ロッキーは犬に追いかけられて捕らえられてしまう。そして老人は子供を死なせた責任を取らせるため、今度はロッキーを孕ませようとするのです。

「俺はレイピストじゃない」と言って冷凍保存してあった精子を解凍。宙釣りにしたロッキーの女性器にスポイトで精子を注入して受精を試みることに…。

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老人の子種を植え付けられそうになるロッキー。しかし、死んだと思っていたアレックスがタイミングよく助けに現れて、窮地を救う。なんとか絶体絶命の危機から逃れた二人は老人に手錠をかけて地下室から脱出。そして急いで逃げ出すのだが、玄関までやってきたところで手錠を外した老人が追いかけてきて、アレックスが撃ち殺されてしまう…。

すごくテンポよくて勢いはあるんですが、主人公たちの詰めが甘いような気もしました。仲間が一人殺されてるんだし、もっと厳しく攻撃してもよかったんじゃないかと思います。せっかく逃げられそうになったのにすぐに手錠外されちゃうのもなんだかなあ…。ちょっとツッコミを入れたくなる展開でしたよ。ジジイがスゴイってことなのかもしれないけど、見てると主人公たちがダメダメに思えてしまって、焦ってるんだししょうがないんだろうけど、お互い犯罪者同士なんだからもっと容赦なくやり合ってほしかったです。耳に何かブッ刺して聴覚を奪うくらいの残酷さがあってもよかったんじゃないかなー。

アレックスを一度は倒したのにしっかり始末してないジジイもジジイですよ…。ここもちょっと残念でした。凄腕の軍人だったんだろうしキッチリ息の根を止めておけよ!と思ってしまいました。アレックスの殺害描写はド派手にゴアゴアで観客をドン引きさせるくらいでもよかったですよ。殺るべき場面でちゃんと殺してくれないところが不満でした…。

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ウゲェ!!ってなる精飲シーン(笑)

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結局アレックスは脱出の直前で射殺されてしまい、ロッキーはジジイとなんだかんだやりあって一度は逃げ出すものの車内で犬との格闘などを経て、「終わった…」と思ってホッと一息ついていたら突然背後からジジイが現れたりして再び家に連れ戻されるわけです。そして冒頭の道路をズルズル引きずられているシーンに戻るんですね。帰宅してからもさらに対決は続き、絶体絶命のロッキーは警報を鳴らしてジジイの聴覚を攪乱させる。なんとかジジイを地下室に突き落として勝負に勝利。そして脱出。ジジイは駆けつけた警察によって病院へと搬送されるが、盗難の報告はせずに映画が終わる(説明がヘタクソなのでわけわかんないと思います)。一応は金を奪って逃れたものの、まだまだ話が続きそうな終わり方でした。終盤は「一難去ってまた一難」的な展開の連続!

恐怖の余韻が残るのを狙ったのか知りませんが、個人的には全員殺すかジジイが死ぬかしてほしかったです…。なので、ちょっとスッキリしませんでした。続編の製作も決まっているようだし、次作はどんな話になるのかすごく気になります。地下室で監禁された女性のように今度はロッキーへの復讐を企てるんでしょうか。そういえば老人が実は100万ドル以上もの大金を隠し持っていたのはなぜだったのか、金の出所は謎でした。ちょっともやもやするー!

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(友人は2人死んだけども大金はまんまと盗めたので)意外とハッピーエンドでしたよね…。なんとなく『パニック・ルーム』とか思い出しましたー。

最初は「悪いのは強盗に入った人間たちだし全員死ねばいいのに…」くらいの感覚で見ていたんですが、中盤から明らかになっていく老人の異常性によって主人公たちを応援したくなっちゃう構成です。最終的にはどっちの側もかわいそうなんだけどそこまで感情移入もないし、犯罪者にはもっとキツめの制裁が必要だった気もします…。一番タチが悪いのって子供を犯罪に走らせたクズ親なんじゃないのかなー。家族を事故で亡くした心境なんかは気分が暗くなるだけだしまったく楽しくないので考えたくもないのでした。

StephenLang

老人を演じたスティーヴン・ラング。普段は笑顔が素敵な人なんですね!

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『クジョー』みたいな犬の使い方は抜群!狭い車内での格闘は最高でした!

EvilDead

主役を演じたジェーン・レヴィは『死霊のはらわた(2013)』で最後まで生き残ってた女性だったんですね。金髪になっていたのでまったく気づかなかったです…。監督のお気に入り女優なんですかね。


おしまい


↑予告


死霊のはらわた [Blu-ray]


追記:後日映画館でも鑑賞。絶対に映画館で観たほうがイイ!!