いけにえ映画狂い

外国映画の感想文。お気に入りシーン備忘録など。ネタバレしてます!

2016/12

2016年外国映画ベストテン

今年観た映画のランキング。個人的な好みで選んでます!

HARDCORE-Henry01

新作ベストテン

  1. 『ハードコア・ヘンリー』
  2. 『エブリバディ・ウォンツ・サム!!』
  3. 『ノック・ノック』
  4. 『ソーセージ・パーティー』
  5. 『イット フォローズ』
  6. 『ザ・ギフト』
  7. 『ザ・ブラザーズ・グリムズビー』
  8. 『五日物語 ‐3つの王国と3人の女‐』
  9. 『デッドプール』
  10. 『COP CAR/コップ・カー』

今年は豊作だったようで、観た映画はどれも面白かったです。あんまり本数は観ていませんが、こんな感じになりました。鑑賞本数は自宅鑑賞も含めて全部で100本くらい(たぶん)。洋画のみのランキングです。邦画はこっちで→邦画しか観ません。

選評

henry

【第1位】『ハードコア・ヘンリー』

断トツの1位でした!とにかく観てる間の絶頂感が凄まじくって終始超絶ハイテンション!ノンストップで敵をブッ殺すだけの一人称視点アクション映画!バランス良くエロとグロがてんこ盛りで、もう最ッ高!大殺戮復讐劇ですよ!日本では4月の劇場公開が決まっておりますので、そういうのが好きな人にはオススメです…!観て( ゚∀゚)ノ

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【第2位】『エブリバディ・ウォンツ・サム!!』

同じ映画を映画館で何度も観るタイプの人間じゃないんですけど、これだけは今年唯一2回観に行きました。もう観てる間ずっと幸せ!多幸感が超ヤバい!何度だって観たくなる、そんな映画です!青春映画の大大大傑作!!

knockknock

【第3位】『ノック・ノック』

凄まじく容赦のないキアヌいじめに脱帽、イーライ・ロスはやはり鬼だった!今後見知らぬビッチが自宅を訪ねてきても絶対に居留守だ!!ということで、今年のベストおっぱい賞はアナ・デ・アルマスさん(金髪)が受賞しました。

sp

【第4位】『ソーセージ・パーティー』

チンコ!ウンコ!アナル!オナニー!生首!乱交!という気が狂うようなオゲレツ描写をピクサーみたいなクオリティで表現したR指定ポルノアニメ。もう見たかったもんは全部見せてくれました!文句なし!オチも最高!ありがとうセス・ローゲンと仲間たち!人間って残酷な生き物だよね!!

ItFollows

【第5位】『イット フォローズ』

性交を介してうつっていく「それ」。どこまでも徒歩でノロノロと追いかけてくる「それ」。なんだかよくわからない得体の知れない「それ」。いやーー、なんかね、こういうの好みなんですよ!演者も全裸で頑張った!キモい!

thegift

【第6位】『ザ・ギフト』

メチャ清々しい映画でした。ゴードありがとう。本当にありがとう…。他人の痛みを理解できないようないじめっ子には死よりも重い制裁を!!やったほうは忘れても、やられたほうは忘れないんだよ!!絶対にな!!

The_Brothers_Grimsby

【第7位】『ザ・ブラザーズ・グリムズビー』

今年観た映画の中では群を抜いてバカでした(笑)。海外のメディアではワースト映画として取り上げてるところも多いみたいで、うん…まあ…それも納得の内容。超過激な下ネタにドアホ展開。日本では今のところ公開予定なしなのかな…。衝撃的でした。でも、いつも通りのサシャ・バロン・コーエンか!

itsukamonogatari

【第8位】『五日物語 ‐3つの王国と3人の女‐』

エゴに狂った女たちのダークファンタジー。まるで絵画を見ているような映像美に圧倒されました。おとぎ話のような世界観がすごく素敵です。それでいて残酷。臓物も生首も素晴らしかった。ババアはマジでふざけんなと(怒)。

deadpool

【第9位】『デッドプール』

大好きな皆殺し映画です。もうね、アホっぽくて超カワイイ。終始ふざけまくってるし、愉快な人体破壊なども充実していて大満足。痛快でした。デップーにまた会いたい。続編もぜひぜひR指定でお願いします♪

CopCar5

【第10位】『COP CAR/コップ・カー』

ベーコン萌え映画の大傑作!!震えるベーコン、走るベーコン、焦るベーコン、落ち込むベーコン、牛にぶつかるベーコンなどなどいろんな髭ベーコンが楽しめるベーコン・オブ・ベーコン映画!!(※ケヴィン・ベーコン)



ついでに今年映画館で観た旧作のベストテンも発表しておきます!

旧作ベストテン

  • 『ウォーターパワー』
  • 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
  • 『悪魔のいけにえ2』
  • 『トゥインクル・トゥインクル・キラーカーン』
  • 『炎628』
  • 『What is it?』
  • 『カランバ』
  • 『1941』
  • 『ソドムの市』
  • 『ロッキー・ホラー・ショー』
(すべてカナザワ映画祭にて鑑賞)
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まとめ

なんといっても今年最も嬉しかった出来事は念願だった『ウォーターパワー(1978)』をスクリーンで見れたこと! あとはクリスピン・グローヴァーの『ビッグ・スライドショウ』二夜連続上映(サインもらった!)や、『ロッキー・ホラー・ショー』でのバージン喪失、『炎628』鑑賞直後の嘔吐…などいろいろとあり、こんな結果になりました(笑)。旧作が凄すぎたので比較すると印象が薄いのですが、新作も面白い作品が多かったと思います(が、言うほど観てない…)。なので、ワーストはなし!カックン大賞は『ローグ・ワン』(ゴメンナサイ!)。来年はなるべく観た映画全部の感想を書けたらいいなあと思います。良い一年でした。ありがとう、映画!

Knock5

来年も素敵な作品に出会えますように!

よいお年を(^^)/

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』感想。

面白かったのは終盤だけでした。
個人的評価:★★★★★★★☆☆☆☆ 60点
rogueone
2016年12月16日公開/133分/アメリカ/映倫:G
原題:ROGUE ONE A STAR WARS STORY
監督:ギャレス・エドワーズ
出演:フェリシティ・ジョーンズ、ディエゴ・ルナ、ベン・メンデルソーン、ドニー・イェン、マッツ・ミケルセン、アラン・テュディック、チアン・ウェン、リズ・アーメッド、フォレスト・ウィテカー、ジェームズ・アール・ジョーンズ

単体の作品として観ると、正直あまり楽しめないような気がします。あくまでもファンに向けて作られた映画という印象です。なので、最低でもEP4の『新たなる希望』は観てないとキツいかなと思います。なんだか当然のことを書いてるような気がしますが…。

とりあえず初日に観てきました。映画館が開く前から長蛇の行列ができていて、スターウォーズの人気っぷりを改めて実感できた気がします。旧三部作はかなり好きですが、オールタイムベストには入らない感じなので熱心なファンとは言えないと思います…。素人の感想文です。ネタバレしてます。あんまり褒めてません。ごめんなさい。

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<あらすじ>
帝国軍の誇る究極兵器デス・スターによって、銀河は混乱と恐怖にさらされていた。窃盗、暴行、書類偽造などの悪事を重ねてきたジン(フェリシティ・ジョーンズ)は反乱軍に加わり、あるミッションを下される。それはデス・スターの設計図を奪うという、困難かつ無謀なものであった。彼女を筆頭に、キャシアン(ディエゴ・ルナ)、チアルート(ドニー・イェン)、ベイズ(チアン・ウェン)、ボーティー(リズ・アーメッド)といったメンバーで極秘部隊ローグ・ワンが結成され、ミッションが始動するが……。
(以上シネマトゥデイより)

4

1977年に公開された映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の冒頭で語られた一文を映像化した作品です。「デス・スターの設計図を帝国軍から盗み出すために大勢の犠牲が出ました…」ということで「いったいどんな壮絶な犠牲が!?」と、公開前から楽しみにしていたのですが…。

rogueone7

どちらかというと不満な部分のほうが多かったです。オチは最高だったんですが、そこに行き着くまでの過程がつまらなすぎました。まずイライラしたのが「帝国軍が持つデス・スターの設計図を反乱軍のはぐれ者たちが奪いに行く」というミッション、これに辿り着くまでがあまりにも長すぎることです。前半100分くらい(!)はまったくテンションが上がらず、重要な任務開始までの話が退屈すぎました…。盛り上がったのはラストだけという印象です…。途中までは予定調和な意味づけ作業のようなかったるさが強くて、好きなシーンもあるにはあったしアガるシーンではアガったのですが、全体としては単純に「つまんない映画だなあ」と…。

盗んだ設計図の情報が入ったディスクをバトンリレーのように渡していって、最後の最後でレイア姫がそれを受け取って終わり…なんですが、ここが一番の盛り上がりどころってのはどうかと思いましたよ。そりゃ感動するし鳥肌もんだけど、肝心の「帝国軍から設計図を奪い出すシーン」がイマイチ面白くないというのがとても残念です。ラストが良ければあとはどうでもいい!というような気分にもなれないし、誰もが思い描いていたラストだとも思うので予想外な驚きなどはありませんでした。前情報として”『新たなる希望』の10分前までを描く”ということは知っていたので「どうなるの?どうなるの?」というようなハラハラする感覚もありませんでした。”設計図を盗み出す”という重要なシークエンスを見ずにオチだけ見ても感動していた気がします(それは、まあいいんですが…)。

すでに結末がどうなるのかは知っているし予想通りではあるんですが、それでも震えちゃうのはやっぱり『新たなる希望』が偉大すぎるからで、そのため、「そりゃ感動するでしょ!」っていう想いも強くて、そこをラストに持ってくるってのは…いや、しょうがないと思うんですが、やっぱりなんかズルい作りだなあと思いますよ。めちゃくちゃ感動はしちゃうんですけど(笑)。でも、なんとなくEP4の魅力に頼りすぎてる感じがするし、楽しめたのは全部EP4ありき!とも思えるので、どうなんでしょう…。結末を知っているからこそ楽しめるのは当然ですが、なんだかモヤモヤします…。

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ちゃんとゴリラっぽかった。(CG)

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最も不満な点は、キャラクターに魅力が無さすぎるところでした。ローグ・ワンのメンバーは一人また一人と死んでいくんですが、正直もう誰が死んだってホントどうでもよかったです。キャラクターへの愛情がほとんど湧きませんでした。それぞれの個性が分かりづらかったし描き足りなかったと思います…。死にゆく者たちの話なんだから人物描写も重要な部分だと思うし、ここはかなりダメだったような気がします。キャラクターが登場してすぐに好きになれた『フォースの覚醒』とは大違い。とくに主人公ジンとキャシアンが魅力的とは思えない…。脇のキャラのほうがまだ目立ってましたよ。

終盤は画的に盛り上がるシーンが続くのに、仲間の死にまったく感動できないのが残念でした。「ここは感動して泣くべき場面なんだろうなあ…」ってのは理解できるんですが、全然グッとこず。正直、名前が覚えられないまま死んでいったメンバーなんかもいたりして(これは自分が悪いのかも)、死に方なんかもそれぞれつまらなかったですし、感動的にキスして死ぬにしてもあの演出はどうかと思いましたよ!(映像は美しいけども)

全体的に雰囲気が暗すぎたと思います。画面全体が終始暗めだし、登場人物たちも覇気がなく暗い集団に思えました。ミリタリー色が強すぎるのも、あまりノレませんでした(そういうのが好きな人には嬉しいのかもしれませんが)。キモい触手のクリーチャーが登場するシーンなんかは面白かったし、個人的にはファンタジーの要素をもう少し多めに取り入れてほしかったです。

チームものとしては最悪でした。皆それぞれバラバラに決断し死んでいってしまうし、主人公の成長も自己中心的なものに感じられました。一致団結感も感じなかったし、ローグ・ワンのメンバーが死んだ後の名も無き兵士たちのバトンリレーのほうが結束力を感じたくらいです…。

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ほとんど愛着を感じなかったキャラクターの中でも一番最悪だったのがフォレスト・ウィテカー演じるソウ・ゲレラですよ。コイツはもう大嫌いでした…。さっさと死んでほしかったです。説明的なセリフが多いし、ダラダラ話すし、演出も感動を煽るようなもので、話を呑みこんでいるいる最中に感情を押しつけられるような不快感がありました。お涙頂戴シーンの劇伴は無駄に重々しくて湿っぽい感じだし…。基本的に音楽は無駄に長々と使いすぎだし過剰に感傷的な感じがしました。ウィテカー出演シーンはマジで見ているのが苦痛でしたよ。あってもいいけどせめてもうちょっと短縮してほしかった。フォレスト・ウィテカーが善人って…タイプキャストすぎだし。演技はべつに文句もないんですが、こういうキャラクターは苦手です。不必要にも思えました。

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戦争映画を意識したような見せ方だからこそ不満が大きいのかもしれません。浜辺での戦闘は『プライベート・ライアン』だし、空撮は『地獄の黙示録』でしょう。他にも参考にしていた戦争映画は多かったようです(『大列車作戦』など)。こういう名作を想起させるような画的なリアリティがあるにも関わらず肝心な死にざまがほとんど描かれないので物足りなさが半端なかったです。爆発に巻き込まれれた=死というのは理解できるしレイティングなんかもあってしょうがないとは思いますが、ちょっとガッカリでした…。

”感動げ”な音楽で雰囲気だけ盛り上げてるのがさらに腹立たしかったです。リアルな戦争映画を意識するのならドン引きするような過激さがもう少しあってもよかったような気がします。かなり中途半端に思えました。中東っぽい市街戦もSW世界の出来事とは思えなくて、町並みが変に現実世界とリンクしてしまっているためかストームトルーパー(相変わらず弱い)が爆発でバンバン吹っ飛ぶのも浜辺で倒れているのも逆に嘘臭さが際立って見えました。せめてバラバラに砕け散るとか中の人の肉片が飛び散るとかそういうのダメなのかなー(個人的にはそういうほうが好み)。戦場の泥臭さを派手な爆発で誤魔化しているような気がして、ちょっとノリきれなかったですねー。戦争映画を意識しまくっているだけにキレイに浜辺で寝転がってるトルーパーたちが不自然に浮いて見えてしまいました。

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文句ばかり書いちゃいましたが、空中戦(宇宙戦?)はSW史上一番かっこよかったと思います。本気で最高。ちょっと言葉で説明できそうにないんですが…とにかく興奮しました。Xウィング!Yウィング!TIEファイター!スター・デストロイヤー!もうテンション上がりっぱなし!こういうのを前半でも見せてほしかった!シールド上に撃墜された機体が横滑りするシーンなんかも最高だし!それからイオン魚雷も良かった!Uウイング(?)は初めて見ました!あと、散々言われてると思いますが、デス・スターが超デカい!とにかく巨大!視覚的な恐ろしさが強烈で、このへんはホントに全部最高!やっぱこれEP4大好きな人に向けて作られた映画だと思いますよ。

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暗闇から現れるダースベイダーは最強すぎて笑う。

gyares

ギャレス・エドワーズの映画は、初監督作の『モンスターズ/地球外生命体』がすごく好きで、その後『ゴジラ』を観てガッカリし、今回も微妙な感想になりました。うーん、もう苦手かもしれない…。とくに今回の感動演出は吐き気が出るくらいイヤでした…。その際の劇伴も最悪だったし、「無音でいいのに…」と思う場面でクドクドしい音楽が流れていたりして、音楽はホントに好みじゃなかったです。「もしこれがジョン・ウィリアムズだったらなぁ」とか何回も考えちゃいました、どうしようもないんですけど…。

そんな感じで全体的にはあんまり面白くなかったです、すいません…。やっぱり前半の話のつまらなさが後を引いてしまい、終盤でなんとか盛り返したもののエンタメ映画としてはどうなんだろう?と思うし、個人的にも普通(以下かも)という印象です。細かい部分をオタク的に楽しむにはいいかもしれませんが、自分は気づけていない小ネタが多かったですし、なんとなく分かりづらかったような気もします。とりあえずもう一度見直したいですけど、いやー、でも、やっぱり無駄が多いっていうのか、長すぎましたよ!もっと削ってもよかったんじゃないか前半!

映像は序盤からめちゃくちゃかっこよかったんですよ、笑っちゃうくらい美しくて…圧倒されました。それだけに話の退屈さがもどかしくてしょうがないんです。良いところもあるし酷いところもいっぱいある、そんな映画だと思います。賛否両論な映画なんじゃないのかな…。「夢と希望に満ち溢れた明るいSFファンタジー」を期待していると、暗すぎてビックリするかもしれません。スピンオフだし、これくらいギャップがあっても問題ない、むしろこのほうが「俺たちのスターウォーズだ!」という意見もあるみたいで、どうなんでしょう…。映画としての出来は大絶賛するにはキビしいと思いましたよ。

K-2SO

K-2SOの最期は期待していただけにガッカリ…。泣けない!

turkin

ターキン総督を演じたピーター・カッシング(1994年没)をCG技術で蘇生させたところには本気でビビりました。ここに関してはギャレスに「ありがとう」と叫びたい気分です。他にもR2-D2とC-3POのカメオ出演などもあり、レッドリーダーとゴールドリーダーの登場なんかはただただ嬉しかったです(正直これはまったく予想していませんでした)。

rogueone2

最後にドニーさんですが、カッコイイっていうか…面白かったです。「我はフォースと共にあり、フォースは我と共にある」とブツブツ唱えながら歩くドニーさん。激戦のド真ん中に設置してあるマスタースイッチまでスタスタ歩いていくシーンの「感動して泣いてください」という意図は理解できますが、逆に爆笑シーンになっちゃってるのがスゴイ!!(誰かに怒られそうで怖いなー)そこまでは盲人なのに盲人っぽくなかったドニーさんが急に盲人っぽい手探りの歩きになっちゃうのがホントにおかしくて…しかしアッサリ死亡。もしかしてフォースに目覚めたということなんでしょうか!?難しかったなー。


おしまい



↑予告↓



観てる間ずっと眠たかったです。

『ドント・ブリーズ』感想。(PG12)

強盗に入った家の主は、目が見えないけど耳が超良い異常者だった!
個人的評価:★★★★★★★★☆☆☆ 70点
DontBreathe
2016年12月16日公開/89分/アメリカ/映倫:PG12
原題:DON'T BREATHE
監督:フェデ・アルバレス
製作:サム・ライミ
出演:ジェーン・レヴィ、ディラン・ミネット、ダニエル・ゾヴァット、スティーヴン・ラング

輸入盤を自宅鑑賞。

監督のデビュー作『死霊のはらわた(2013)』はだいぶガッカリ映画だったんですが、今回はけっこう好きでしたよ。観てる間にマジで呼吸を止めちゃうような瞬間も何度かあって、全体的に緊張感がスゴかったと思います。不満もなくはないんですが、ちゃんとビビったし演出も良かったし、主演のジジイも面白かった。公開されたら映画館でも観たいです。いつも通りネタバレしてるので、未見の人は読まないでください!

DontBreathe9

<あらすじ>
街を出るための資金が必要なロッキーは、恋人マニー、友人アレックスと共に、大金を持っているといううわさの目の見えない老人の家に忍び込む。だが、老人(スティーヴン・ラング)は、驚異的な聴覚を武器に彼らを追い詰める。明かりを消され屋敷に閉じ込められた若者たちは、息を殺して脱出を図るが……。
(以上シネマトゥデイより)

DontBreathe5

主人公たちは金品を目的に空き巣を繰り返している3人組。アレックスの父親は警備会社で働いており、合鍵を利用して彼らは顧客の家に不法侵入。盗品はマニーの知り合いのブローカーに売りさばいているが、足元を見られているのかたいした金額にはならない…。ロッキーの母親は育児放棄して飲んだくれているダメ人間。父は幼い頃に別れてしまいそれっきり。そんな家庭環境にウンザリしている彼女はまだ幼い妹と町を出てカリフォルニアへと移住することを夢見ている。しかし、なかなか資金が貯まらない。そんな時にマニーがブローカーから「ある家に30万ドル以上もの大金が隠してある」というオイシイ話を持ちかけられて、「これが最後だ」と彼らは犯行に及ぶのでした…。

相手が盲目の老人ということでナメてかかっていたら、犯行グループのほうが逆にヒドい目に遭わされちゃうって話です。

DontBreathe13

老人はイラク戦争で国のために戦い、手榴弾の破片を喰らい失明してしまったのです。過去に一人娘を事故で亡くしており、睡眠中は彼女が映ったビデオをつけっぱなしている…。30万ドルという大金は娘を轢き殺した加害者からの慰謝料だったようです。最初はなんとなく同情してしまうキャラクターでした。

DontBreathe17

犯行前に侵入する家を偵察に行き、老人を観察する主人公たち。下準備をして、犯行は真夜中に決行。外にいた番犬は睡眠薬入りのエサで眠らせて、風呂場の窓には鉄格子がないため、そこから侵入することに…。二階で眠っている老人の様子を確認し、睡眠ガスで気絶させ、それから金品を探し始める3人だったが、気づくと二階で寝ているはずの老人目を覚ましている。そして鉢合わせになった結果、マニーが射殺されてしまう。

序盤の緊迫感は凄まじかったです。正直めっちゃドキドキしましたよ。ただ、ちょっと短絡的すぎる犯行だとも思いました。耳が聞こえないからってさすがにナメすぎてるような…(それだからこそ面白いんだろうけど)。老人の不在時を狙って侵入したほうが絶対よかった気がするし、睡眠ガスで気絶させるにしてもせめてちゃんと眠っていることを確認してほしかったですよ。「たぶん大丈夫でしょ」って感じで金の捜索を始めてしまうところは気になってしまいました。なんで目が覚めたんだろう?と思ったけど、老人がすでに侵入者の存在に気付いており息を止めてたってことなんでしょうか。あと、玄関に4つも鍵をつけて警備を厳重にしておいて風呂場の窓だけ鉄格子がなかったのも引っかかりました、二階だから大丈夫ってことだったんですかねー。

DontBreathe4

最初の殺人はタイミングが容赦なくて最高。一気に緊迫感が増しました。

DontBreathe2

マニーを殺した老人はすぐさま玄関を施錠し、風呂場の窓も内側から板を打ちつけて家全体を密室状態にしてしまう。その後、他にも仲間がいて金を盗まれたことに気づいた老人は激昂し、強盗をブチ殺すため狩りを開始。聴覚だけじゃなく嗅覚も優れており靴の臭いも察知してしまう。

ここからテンション上がっていきました。なんかもう最高のシュチュエーションですよ、強盗に入ったヤツらが完全に悪いんだし、ボコボコにされても殺されちゃっても自業自得。しょうがないですよねー。老人は何も悪くないし正当防衛でしょ!と思いつつも、かなり怖かったです。音を立てて老人に居場所がバレれば即座に殺されてしまうというハラハラするような恐怖がずーっと続きます。『ドント・ブリーズ(Don't breathe)』というタイトル通り、観ている側も息を止めちゃう感じ。音楽もほとんどなく、居心地の悪い沈黙が効果的だったと思います。こんな現場には絶対に居たくないですね!

DontBreathe15

暗闇から老人が現れるというよりは、カットが変わったりカメラが動いたら「いきなりいる!」っていうのが超イイですよ。タイミングとか間の取り方も絶妙だったと思います。さっきまでいなかった場所に急にジジイが立っている恐怖感が凄かった。あと、動作が機敏なのもよかったです。音に反応する殺人マシーンという感じで、ロッキーが金を奪った直後なんか超最高でした~!!携帯のバイブ音に発砲するシーンとかめちゃくちゃ好きです。

で、中盤から老人の異常性が明らかになっていきます。完全に気の狂った犯罪者ですよコイツ。事情はあったにせよ身勝手な誘拐犯だし、プライドの高さも垣間見えたりしてそこが一層気色悪い。

DontBreathe10

主人公たちが地下室へ行くと、新たな登場人物が現れます。彼女は老人の娘を轢き殺してしまった加害者です。ある目的のために地下室に監禁されていたのですが、それがけっこうキモい。娘を殺害してしまった代償として老人の子供を身籠っていたのです。娘が死んだから、もう一度子供を作るぜ!!って全然共感できないし、加害者が産んだ娘ってイヤじゃないのかな…。

序盤は身勝手な大学生の強盗行為だし老人は被害者の立場だし「ジジイ全員殺っちまえ!」って感じで見ていたのですが、ここからはロッキーたちを応援したい気持ちになりました。老人の復讐心も分からなくはないんですけどね…。いきなり『SAW』みたいなシュチュエーションで面白かったです(笑)。

DontBreathe7

ジジイの濃厚なザーメン!!!!

DontBreathe6

その後、主人公たちと老人の暗闇での鬼ごっこ。彼女たちを殺そうとするのだが、誤って加害者の女を撃ち殺してしまう…。せっかく子供を作ろうと身籠らせたのに自らの手で殺害してしまい怒りと悲しみに震える老人。さらに追いかけ合いは続き、アレックスがボコボコにされ、ロッキーは犬に追いかけられて捕らえられてしまう。そして老人は子供を死なせた責任を取らせるため、今度はロッキーを孕ませようとするのです。

「俺はレイピストじゃない」と言って冷凍保存してあった精子を解凍。宙釣りにしたロッキーの女性器にスポイトで精子を注入して受精を試みることに…。

DontBreathe16

老人の子種を植え付けられそうになるロッキー。しかし、死んだと思っていたアレックスがタイミングよく助けに現れて、窮地を救う。なんとか絶体絶命の危機から逃れた二人は老人に手錠をかけて地下室から脱出。そして急いで逃げ出すのだが、玄関までやってきたところで手錠を外した老人が追いかけてきて、アレックスが撃ち殺されてしまう…。

すごくテンポよくて勢いはあるんですが、主人公たちの詰めが甘いような気もしました。仲間が一人殺されてるんだし、もっと厳しく攻撃してもよかったんじゃないかと思います。せっかく逃げられそうになったのにすぐに手錠外されちゃうのもなんだかなあ…。ちょっとツッコミを入れたくなる展開でしたよ。ジジイがスゴイってことなのかもしれないけど、見てると主人公たちがダメダメに思えてしまって、焦ってるんだししょうがないんだろうけど、お互い犯罪者同士なんだからもっと容赦なくやり合ってほしかったです。耳に何かブッ刺して聴覚を奪うくらいの残酷さがあってもよかったんじゃないかなー。

アレックスを一度は倒したのにしっかり始末してないジジイもジジイですよ…。ここもちょっと残念でした。凄腕の軍人だったんだろうしキッチリ息の根を止めておけよ!と思ってしまいました。アレックスの殺害描写はド派手にゴアゴアで観客をドン引きさせるくらいでもよかったですよ。殺るべき場面でちゃんと殺してくれないところが不満でした…。

DontBreathe12

ウゲェ!!ってなる精飲シーン(笑)

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結局アレックスは脱出の直前で射殺されてしまい、ロッキーはジジイとなんだかんだやりあって一度は逃げ出すものの車内で犬との格闘などを経て、「終わった…」と思ってホッと一息ついていたら突然背後からジジイが現れたりして再び家に連れ戻されるわけです。そして冒頭の道路をズルズル引きずられているシーンに戻るんですね。帰宅してからもさらに対決は続き、絶体絶命のロッキーは警報を鳴らしてジジイの聴覚を攪乱させる。なんとかジジイを地下室に突き落として勝負に勝利。そして脱出。ジジイは駆けつけた警察によって病院へと搬送されるが、盗難の報告はせずに映画が終わる(説明がヘタクソなのでわけわかんないと思います)。一応は金を奪って逃れたものの、まだまだ話が続きそうな終わり方でした。終盤は「一難去ってまた一難」的な展開の連続!

恐怖の余韻が残るのを狙ったのか知りませんが、個人的には全員殺すかジジイが死ぬかしてほしかったです…。なので、ちょっとスッキリしませんでした。続編の製作も決まっているようだし、次作はどんな話になるのかすごく気になります。地下室で監禁された女性のように今度はロッキーへの復讐を企てるんでしょうか。そういえば老人が実は100万ドル以上もの大金を隠し持っていたのはなぜだったのか、金の出所は謎でした。ちょっともやもやするー!

DontBreathe8

(友人は2人死んだけども大金はまんまと盗めたので)意外とハッピーエンドでしたよね…。なんとなく『パニック・ルーム』とか思い出しましたー。

最初は「悪いのは強盗に入った人間たちだし全員死ねばいいのに…」くらいの感覚で見ていたんですが、中盤から明らかになっていく老人の異常性によって主人公たちを応援したくなっちゃう構成です。最終的にはどっちの側もかわいそうなんだけどそこまで感情移入もないし、犯罪者にはもっとキツめの制裁が必要だった気もします…。一番タチが悪いのって子供を犯罪に走らせたクズ親なんじゃないのかなー。家族を事故で亡くした心境なんかは気分が暗くなるだけだしまったく楽しくないので考えたくもないのでした。

StephenLang

老人を演じたスティーヴン・ラング。普段は笑顔が素敵な人なんですね!

DontBreathe14

『クジョー』みたいな犬の使い方は抜群!狭い車内での格闘は最高でした!

EvilDead

主役を演じたジェーン・レヴィは『死霊のはらわた(2013)』で最後まで生き残ってた女性だったんですね。金髪になっていたのでまったく気づかなかったです…。監督のお気に入り女優なんですかね。


おしまい


↑予告


死霊のはらわた [Blu-ray]


追記:後日映画館でも鑑賞。絶対に映画館で観たほうがイイ!!

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