喰うか喰われるかのファッション業界を描いたモデル残酷物語。
(以上シネマトゥデイより)
前作『オンリー・ゴッド』よりはわかりやすい内容でした。象徴的な要素もいくつかあるんですが、ストーリーはわりと一本道で難解ってほどでもなかったと思います。レフン監督なので色彩感覚は相変わらず強烈で映像は超絶キレイでした。画面の構図はシンメトリーを意識していたのかキューブリックっぽい画作りが多かった気がします。
個人的にはアートのような美意識の高さが今回ちょっと苦手だったのと、やっぱりストーリーが単調すぎたのでそこまでノレず…。世界観に酔い痴れるってほどにはのめり込めませんでした。鑑賞中なんとなく息苦しかったです。いろいろと意味を散りばめてんだろうけど、見てて疲れましたよ…。
とりあえず一番引っかかった点を最初に書いときます。
エル・ファニングが絶世の美女扱いされてんです…。ここめちゃくちゃ重要なポイントだと思うんですが、彼女が”究極の美”とか”誰もが羨む”ってのが若干納得いきませんでした。カワイイんだけど、同業者がブッ殺したくなるくらいのスーパーモデル(になる逸材?)には見えませんよ…。というのも、すぐ隣にはアビー・リー・カーショウみたいなガチの超絶美女がいたりするもんだから、シーンによってはエルがキュートなブタに見える瞬間なんかもあったりして、「美しい」というよりは「カワイイ」という感じなんですよね。なので、そこまでの説得力は感じませんでした。ふっくらもちもちしすぎ。
前半はかなり面白かったです。退屈しなかったし、ニヤニヤしっぱなし。話の推進力は弱いんですが「彼女はいったいどうなっていくんだろう…?」というラストへの興味で集中力は保てた感じ。
モデルウォークのシーンがすごく好きでした。セリフは極力少なめだし俳優の表情で魅せているのが気持ちよくて、ここから鏡割り&流血までの一連のシークエンスは無駄が無かったし、微妙な表情の変化だけでキャラクターの心情を表現しているのは上手いなあと思います。丁寧な演出でした。
その後、勝負に負けたアビーはエルに喰らいつき…。
相手を食べるって行為の意味がイマイチ理解できてないんですが、美貌を体内に取り入れることで自らも昇華するってことなんですかね。呪術のための食人とか儀式としての食人とか場合によっていろいろ意味合いが変わりそうですけど、このへんは解説が聞きたいです。処女ってことも重要なんでしょうか…。モヤモヤします。どうでもいいけどエルの部屋に山猫が入りこむシーンはここへの暗喩だったんだとか…よくわかんないですね!
ドギツい色彩感覚は今回も抜群で、『サスペリア』っぽい色使いが印象的でした。音も意識してんじゃないかと思います。このへんはなんとなく…模倣っていうか亜種っぽくて、どうなんでしょう…。監督が大好きなんだろうけど。
個人的にレフン映画に期待してんのは容赦のない瞬発的な超暴力なんですが、弱かったです。というか直接的な描写はほぼなかったです。終盤、水のないプールにエルがぶっ倒れて流血した瞬間、「始まる!」と思ったらカットが変わってコトが終わっており、加害者の3人が血まみれで…。ちょっとガッカリ。
エルの隣の部屋で巻き起こっていたであろうバイオレンスも見せてくれないし残念です。この壁一枚隔てた部屋で起こっている惨事はめちゃくちゃ気になりました…。キアヌが少女を犯してたんだと思うんですけど(違うかも…)。「見せて!」と思うシーンはけっこうあって、消化不良感が残りました。
で、オチなんですが、狂気というよりは滑稽で…。
ゲロまでの微妙なタメはどうかと思いました。撮影前のメイクしてる時点で「うっ…」ってなってんのに長々と引っぱって吐き出したら少量…。やってることはサイコーに気が狂ってんのに演出が地味。大残酷にも笑いにもならない中途半端さがもったいなかったです。しかし目ん玉丸呑みしますかね…。
もっと残酷なゴア描写でドン引きしちゃうようなシーンがあってもよかったんじゃないかな~と思いました。具体的にはエルの遺体を解体してガツガツ喰らうシーンですよね。そこがないのは物足りない。悪趣味な題材なんだからそのへん気合い入れて10分くらい見せてくれてもよかったのに…。肝心の遺体解体描写も食人描写も完全にカットされてんですよねー。見せない恐怖とか大嫌いですよ、全然コワくない。グロもたいしたことないし。
後半は象徴的なものがクドクドしく思えてきて、正直ダルかったです。
キアヌはけっこうチョイ役でした。さして印象にも残らず「そういえば出てたねー」くらいの感じ。どうしてもキアヌ・リーヴスじゃないとダメ!って感じはしなかったし、可もなく不可もなく…。彼とその舎弟みたいな男のやりとりなんかは面白かったんでもっと見ていたかった気もしましたけど、そんなことより壁の向こう側が見たかった、コイツどんな異常者だったんだろう…。
こんな映画を妻(Liv Corfixen)に捧げるって…どういう心境なんですかね。椅子からズリ落ちそうになりました。レフンなりのいいわけ?
個人的評価:★★★★★★★☆☆☆☆ 60点
2017年01月13日公開/118分/アメリカ・フランス・デンマーク/映倫:R15+
原題:THE NEON DEMON
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
出演:エル・ファニング、キアヌ・リーヴス、クリスティナ・ヘンドリックス、ジェナ・マローン、アビー・リー、デズモンド・ハリントン、ベラ・ヒースコート、カール・グルスマン
原題:THE NEON DEMON
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
出演:エル・ファニング、キアヌ・リーヴス、クリスティナ・ヘンドリックス、ジェナ・マローン、アビー・リー、デズモンド・ハリントン、ベラ・ヒースコート、カール・グルスマン
「あなた、他の子に仕事を取られたことある?」
「ええ」
「それで、どうしたの?」
「彼女を食べたわ」
「…キモッ!」あらすじ
16歳の美しい少女ジェシー(エル・ファニング)は、ジョージアの片田舎からロサンゼルスに出てきたばかり。彼女はインターネットで知り合いになったカメラマンを目指しているディーン(カール・グルスマン)が撮影してくれた写真を手に、モデル事務所に足を運ぶ。そしてオーナーのロバータ(クリスティナ・ヘンドリックス)は、彼女の才能を見抜き、即座に契約する。(以上シネマトゥデイより)
感想
食人映画(ネタバレ)ってことでかなり期待していたんですが、好きと嫌いが半々くらいです。悪趣味な要素を随所に盛り込みつつストーリーはシンプルに。テーマは「美と狂気」。美しいことだけが取り柄の田舎娘が調子こいてたら、嫉妬に駆られた先輩モデルたちに喰われちゃうって話(?)です。前作『オンリー・ゴッド』よりはわかりやすい内容でした。象徴的な要素もいくつかあるんですが、ストーリーはわりと一本道で難解ってほどでもなかったと思います。レフン監督なので色彩感覚は相変わらず強烈で映像は超絶キレイでした。画面の構図はシンメトリーを意識していたのかキューブリックっぽい画作りが多かった気がします。
個人的にはアートのような美意識の高さが今回ちょっと苦手だったのと、やっぱりストーリーが単調すぎたのでそこまでノレず…。世界観に酔い痴れるってほどにはのめり込めませんでした。鑑賞中なんとなく息苦しかったです。いろいろと意味を散りばめてんだろうけど、見てて疲れましたよ…。
とりあえず一番引っかかった点を最初に書いときます。
エル・ファニングが絶世の美女扱いされてんです…。ここめちゃくちゃ重要なポイントだと思うんですが、彼女が”究極の美”とか”誰もが羨む”ってのが若干納得いきませんでした。カワイイんだけど、同業者がブッ殺したくなるくらいのスーパーモデル(になる逸材?)には見えませんよ…。というのも、すぐ隣にはアビー・リー・カーショウみたいなガチの超絶美女がいたりするもんだから、シーンによってはエルがキュートなブタに見える瞬間なんかもあったりして、「美しい」というよりは「カワイイ」という感じなんですよね。なので、そこまでの説得力は感じませんでした。ふっくらもちもちしすぎ。
パッと見はアビー・リーのほうが遥かに美しい!手足長い!小顔!
しかし、大御所っぽい奴らがみんなエルに一目惚れ…。
とりあえず脱がす。そんで金粉を塗りたくる。ここは最高だけど。
エルは乳首NGだったんですかね??(アイドル女優なのか)
前半はかなり面白かったです。退屈しなかったし、ニヤニヤしっぱなし。話の推進力は弱いんですが「彼女はいったいどうなっていくんだろう…?」というラストへの興味で集中力は保てた感じ。
モデルウォークのシーンがすごく好きでした。セリフは極力少なめだし俳優の表情で魅せているのが気持ちよくて、ここから鏡割り&流血までの一連のシークエンスは無駄が無かったし、微妙な表情の変化だけでキャラクターの心情を表現しているのは上手いなあと思います。丁寧な演出でした。
その後、勝負に負けたアビーはエルに喰らいつき…。
相手を食べるって行為の意味がイマイチ理解できてないんですが、美貌を体内に取り入れることで自らも昇華するってことなんですかね。呪術のための食人とか儀式としての食人とか場合によっていろいろ意味合いが変わりそうですけど、このへんは解説が聞きたいです。処女ってことも重要なんでしょうか…。モヤモヤします。どうでもいいけどエルの部屋に山猫が入りこむシーンはここへの暗喩だったんだとか…よくわかんないですね!
ドギツい色彩感覚は今回も抜群で、『サスペリア』っぽい色使いが印象的でした。音も意識してんじゃないかと思います。このへんはなんとなく…模倣っていうか亜種っぽくて、どうなんでしょう…。監督が大好きなんだろうけど。
個人的にレフン映画に期待してんのは容赦のない瞬発的な超暴力なんですが、弱かったです。というか直接的な描写はほぼなかったです。終盤、水のないプールにエルがぶっ倒れて流血した瞬間、「始まる!」と思ったらカットが変わってコトが終わっており、加害者の3人が血まみれで…。ちょっとガッカリ。
エルの隣の部屋で巻き起こっていたであろうバイオレンスも見せてくれないし残念です。この壁一枚隔てた部屋で起こっている惨事はめちゃくちゃ気になりました…。キアヌが少女を犯してたんだと思うんですけど(違うかも…)。「見せて!」と思うシーンはけっこうあって、消化不良感が残りました。
で、オチなんですが、狂気というよりは滑稽で…。
ショボい嘔吐描写。派手にブチ撒けてほしかった…。長いタメもダルい。
自決は最高だけど。
ゲロまでの微妙なタメはどうかと思いました。撮影前のメイクしてる時点で「うっ…」ってなってんのに長々と引っぱって吐き出したら少量…。やってることはサイコーに気が狂ってんのに演出が地味。大残酷にも笑いにもならない中途半端さがもったいなかったです。しかし目ん玉丸呑みしますかね…。
もっと残酷なゴア描写でドン引きしちゃうようなシーンがあってもよかったんじゃないかな~と思いました。具体的にはエルの遺体を解体してガツガツ喰らうシーンですよね。そこがないのは物足りない。悪趣味な題材なんだからそのへん気合い入れて10分くらい見せてくれてもよかったのに…。肝心の遺体解体描写も食人描写も完全にカットされてんですよねー。見せない恐怖とか大嫌いですよ、全然コワくない。グロもたいしたことないし。
後半は象徴的なものがクドクドしく思えてきて、正直ダルかったです。
ジェナ・マローンがネクロフィリア(死体愛好)ってのは最高。しかもレズ。
キアヌはけっこうチョイ役でした。さして印象にも残らず「そういえば出てたねー」くらいの感じ。どうしてもキアヌ・リーヴスじゃないとダメ!って感じはしなかったし、可もなく不可もなく…。彼とその舎弟みたいな男のやりとりなんかは面白かったんでもっと見ていたかった気もしましたけど、そんなことより壁の向こう側が見たかった、コイツどんな異常者だったんだろう…。
おしまい
こんな映画を妻(Liv Corfixen)に捧げるって…どういう心境なんですかね。椅子からズリ落ちそうになりました。レフンなりのいいわけ?
ネットで知り合うカメラマンは『LOVE 3D』でチンコ出して射精してた人。
↑予告