理不尽で最高。今年の暫定ベストおっぱい映画。
個人的評価:★★★★★★★★☆☆ 80点
2016
2017年05月20日公開/86分/アメリカ/映倫:R15+
原題:THE AUTOPSY OF JANE DOE
監督:アンドレ・ウーヴレダル
出演:エミール・ハーシュ、ブライアン・コックス、オフィリア・ラヴィボンド、マイケル・マケルハットン、オルウェン・ケリー

監督は『トロール・ハンター』の人。ネタバレしてます。

The Autopsy Of Jane Doe 02

あらすじ

バージニア州の田舎町に住む経験豊富な検死官・トミーは、息子のオースティンと共に遺体安置所と火葬場を経営している。ある夜、地元の保安官から緊急の検死依頼が入る。それは、3人が惨殺された家屋の地下から裸で見つかった身元不明の美女“ジェーン・ドウ”の検死であった。いつも通りの検死だと思われたが、解剖を進めていくと、その遺体に隠された"戦慄の事実′′が判明し、怪奇現象が次々に発生!外では嵐が吹き荒れる中、遺体安置所という閉ざされた空間で、逃げ場のない恐怖がはじまろうとしていた......。

The Autopsy Of Jane Doe 01

感想

いやー、こういうの大好き!面白かった!良作ホラー!!

解剖医の親子が検死することになった身元不明の美女【ジェーン・ドウ】は「激ヤバ案件」だった!っていう話です。警察から遺体を引き渡されて夜明けまでに検死解剖するよう頼まれる主人公たち。しかし解剖を進めていくものの死因が見つからず、しだいに遺体安置所で不可解な怪奇現象が発生していくというストーリー(上に書いてあるけど)。

前半は謎を解いていくミステリー仕立てな展開で、後半戦はガンガンにホラー映画という印象でした。オチャラケ要素は一切なし。全体的に作りは真面目。「ジェーン・ドウ(ドゥ?)」というのは身元不明の人物に付けられる名称だそうです。男性の場合は「ジョン・ドゥ」(こっちは有名かも)。

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もうねー、こういうの好きすぎます!グロテスクな人体解体ショーでしたよ!断面もしっかり見せてくれるし脳ミソも内臓も皮剥ぎも拝めて大満足!

とりあえず何がイイって、【ジェーン・ドウ】を演じるオルウェン・ケリーが美しすぎるっていうところ。鼻血垂らして体内からハエ飛ばしてても全然問題なし。この全裸死体が画面に映ってるだけで画がもつし、これを解剖していく話なんだからもう最高。完全に好みの映画です。

そんで、この遺体が何もしないのがすごく良い。執拗といってもいいくらいに顔面のショットが多い映画なんですが、ジェーンは終始仰向けになって寝てるだけ。当然ですが、死体なので微動だにせず動きません(この演技も凄い)。襲いかかってくるモンスターには「逃亡する」とか「攻撃する」とか物理的に多少は抵抗できそうなもんですがジェーンはただそこにいるだけ(しかし怪奇現象を発動)。これが恐ろしい部分でもありました。

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検死解剖は全部で4段階。まず始めに外部の観察、それから心臓や肺等の体内の剖検。そして消化器官に至り、最後に脳を解剖すると。

父親役のブライアン・コックスがむっちゃ良かった。リアクションにいちいち説得力があるので状況の奇怪さがガンガン伝わってきて序盤からグイグイ引き込まれました。ルーティーンだから当り前だろうけどグロにまったく躊躇せずテキパキ解体してくれるのも気持ちいい!

巧い役者さんだなーと思いましたよ。

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ジェーンの身体は外傷やタトゥーのないキレイなもの。しかし、調べてみると舌は切り取られており、手首と足首は複雑骨折。さらに膣の内部や臓器は傷だらけ、肺は真っ黒く焼けており、胃からは毒草、腸の中からは謎の布と彼女の歯がそれぞれ出てきます。

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解剖を見ているだけで楽しいんですけど、個人的に絶頂だったのは皮膚をベローンと開く瞬間。画的にも面白いし、同時に「この遺体は本格的にヤバい!」と親子が気づく瞬間でもあり、皮膚を剥ぐシーンがこの映画で一番の盛り上がりどころかなーと思いました。皮膚の裏側に紋章が…!

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で、ホラー全開モードに突入。手始めに電燈が割れて暗闇に!

そして安置していた死体たち(全3体)が動き出し親子を襲い始めます。本編のほとんどが遺体安置室なので密室劇といってもいいかもしれません。

「鏡にヤバいもんが写る」「電話が通じない」「外に出れない」などのホラー映画のお約束要素も多くて楽しかったですよ。ただ、ここはオーソドックスな展開が連続するので「よくあるホラー」って感じもしましたね。音でビビらせてきたり、ドアの隙間から縫われた口を覗いたり…。再び解剖を再開するまでの間は、退屈でもないんだけど、うーん…けっこう普通だったかも。

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怪奇現象を終わらせるため、遺体にオイルをぶっかけて火をつけるものの火が天井に燃え移ってしまい消化器で消すなど、親子は無力…。ジェーン・ドウは燃えていたはずなのに無傷のまま。「もうここから脱出するしかない!」ってことでエレベーターに乗ると敵の死霊に追いつめられてしまい、父親が手斧で反撃したところ誤って(?)主人公のガールフレンドを殺ってしまう!

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で、終盤で明らかになるのは「ジェーン・ドウが実は生きていた!」っていうことでした。脳ミソの組織を顕微鏡で覗いた時にそのことに気づく主人公…。序盤から多用される顔のアップショットは、これを示唆する意味合いもあったと思います。この辺りは中盤で察しがつくので驚きはなし。

彼女は生前魔女狩りの被害にあっており、人体につけられた傷は生贄の儀式の際に負ったもの。手足を縛られ舌を切られ毒を飲まされ麻痺したところで布を飲まされ体内に傷をつけられ最後は燃やされて死んだジェーン・ドウ。復讐を果たすべく成仏できずにこの世に留まっていたのだ!という残酷黒歴史をサクッと解明してくれる終盤。こういうの大好き。

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しかし、いったいなぜこの親子を??というのが恐ろしいところで、けっこう理不尽な話でしたよ。関わった時点でもうダメだったのかも…。結局は冒頭の惨殺家族もすべてジェーン・ドウの仕業だったんだと思います。そして彼女が行く先々で死体の山を量産することを暗示するようなバッドエンド。

最後まで親子に非があったとは思えず、ただただ不運だったとしか…。普通の映画だったら息子だけでも生き残りそうなもんだけど(2人とも死亡)救いを与えずにドン底まで突き落としてくれたのは個人的には嬉しかったですねッ、厭な映画って感じで。不幸の連鎖にはちょっとJホラーっぽさも感じました。あと、全体的にジョン・カーペンター。

主演がオッサン二人だからかビビらせて絶叫させるみたいな恐怖演出はなかったんですが、スッキリと謎を解明しきってくれないところがまた後に残る感じで、個人的にはけっこう怖かったです…(笑)。観終わってからジワジワくるタイプの恐怖かもしれません。それと、最高なのが上映時間の短さ(86分)。

ということで、良いホラー映画だったと思います!好きだー!

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昔は死人と昏睡状態の人間は見分けがつきにくかったため遺体の足首にベルを付けていたそうです。安置所でベルの音が鳴ったら、それは遺体が動いているというサインだったんだとか…。この辺りの伏線もちゃんと回収していたし、最後まで効果的でしたよ。

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内臓が映ってるだけで楽しいしグロ描写にも大満足。


↑予告

トロール・ハンター [Blu-ray]

こっちも最高。好き。