いけにえ映画狂い

外国映画の感想文。お気に入りシーン備忘録など。ネタバレしてます!

2016年

2016年外国映画ベストテン

今年観た映画のランキング。個人的な好みで選んでます!

HARDCORE-Henry01

新作ベストテン

  1. 『ハードコア・ヘンリー』
  2. 『エブリバディ・ウォンツ・サム!!』
  3. 『ノック・ノック』
  4. 『ソーセージ・パーティー』
  5. 『イット フォローズ』
  6. 『ザ・ギフト』
  7. 『ザ・ブラザーズ・グリムズビー』
  8. 『五日物語 ‐3つの王国と3人の女‐』
  9. 『デッドプール』
  10. 『COP CAR/コップ・カー』

今年は豊作だったようで、観た映画はどれも面白かったです。あんまり本数は観ていませんが、こんな感じになりました。鑑賞本数は自宅鑑賞も含めて全部で100本くらい(たぶん)。洋画のみのランキングです。邦画はこっちで→邦画しか観ません。

選評

henry

【第1位】『ハードコア・ヘンリー』

断トツの1位でした!とにかく観てる間の絶頂感が凄まじくって終始超絶ハイテンション!ノンストップで敵をブッ殺すだけの一人称視点アクション映画!バランス良くエロとグロがてんこ盛りで、もう最ッ高!大殺戮復讐劇ですよ!日本では4月の劇場公開が決まっておりますので、そういうのが好きな人にはオススメです…!観て( ゚∀゚)ノ

ews

【第2位】『エブリバディ・ウォンツ・サム!!』

同じ映画を映画館で何度も観るタイプの人間じゃないんですけど、これだけは今年唯一2回観に行きました。もう観てる間ずっと幸せ!多幸感が超ヤバい!何度だって観たくなる、そんな映画です!青春映画の大大大傑作!!

knockknock

【第3位】『ノック・ノック』

凄まじく容赦のないキアヌいじめに脱帽、イーライ・ロスはやはり鬼だった!今後見知らぬビッチが自宅を訪ねてきても絶対に居留守だ!!ということで、今年のベストおっぱい賞はアナ・デ・アルマスさん(金髪)が受賞しました。

sp

【第4位】『ソーセージ・パーティー』

チンコ!ウンコ!アナル!オナニー!生首!乱交!という気が狂うようなオゲレツ描写をピクサーみたいなクオリティで表現したR指定ポルノアニメ。もう見たかったもんは全部見せてくれました!文句なし!オチも最高!ありがとうセス・ローゲンと仲間たち!人間って残酷な生き物だよね!!

ItFollows

【第5位】『イット フォローズ』

性交を介してうつっていく「それ」。どこまでも徒歩でノロノロと追いかけてくる「それ」。なんだかよくわからない得体の知れない「それ」。いやーー、なんかね、こういうの好みなんですよ!演者も全裸で頑張った!キモい!

thegift

【第6位】『ザ・ギフト』

メチャ清々しい映画でした。ゴードありがとう。本当にありがとう…。他人の痛みを理解できないようないじめっ子には死よりも重い制裁を!!やったほうは忘れても、やられたほうは忘れないんだよ!!絶対にな!!

The_Brothers_Grimsby

【第7位】『ザ・ブラザーズ・グリムズビー』

今年観た映画の中では群を抜いてバカでした(笑)。海外のメディアではワースト映画として取り上げてるところも多いみたいで、うん…まあ…それも納得の内容。超過激な下ネタにドアホ展開。日本では今のところ公開予定なしなのかな…。衝撃的でした。でも、いつも通りのサシャ・バロン・コーエンか!

itsukamonogatari

【第8位】『五日物語 ‐3つの王国と3人の女‐』

エゴに狂った女たちのダークファンタジー。まるで絵画を見ているような映像美に圧倒されました。おとぎ話のような世界観がすごく素敵です。それでいて残酷。臓物も生首も素晴らしかった。ババアはマジでふざけんなと(怒)。

deadpool

【第9位】『デッドプール』

大好きな皆殺し映画です。もうね、アホっぽくて超カワイイ。終始ふざけまくってるし、愉快な人体破壊なども充実していて大満足。痛快でした。デップーにまた会いたい。続編もぜひぜひR指定でお願いします♪

CopCar5

【第10位】『COP CAR/コップ・カー』

ベーコン萌え映画の大傑作!!震えるベーコン、走るベーコン、焦るベーコン、落ち込むベーコン、牛にぶつかるベーコンなどなどいろんな髭ベーコンが楽しめるベーコン・オブ・ベーコン映画!!(※ケヴィン・ベーコン)



ついでに今年映画館で観た旧作のベストテンも発表しておきます!

旧作ベストテン

  • 『ウォーターパワー』
  • 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
  • 『悪魔のいけにえ2』
  • 『トゥインクル・トゥインクル・キラーカーン』
  • 『炎628』
  • 『What is it?』
  • 『カランバ』
  • 『1941』
  • 『ソドムの市』
  • 『ロッキー・ホラー・ショー』
(すべてカナザワ映画祭にて鑑賞)
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まとめ

なんといっても今年最も嬉しかった出来事は念願だった『ウォーターパワー(1978)』をスクリーンで見れたこと! あとはクリスピン・グローヴァーの『ビッグ・スライドショウ』二夜連続上映(サインもらった!)や、『ロッキー・ホラー・ショー』でのバージン喪失、『炎628』鑑賞直後の嘔吐…などいろいろとあり、こんな結果になりました(笑)。旧作が凄すぎたので比較すると印象が薄いのですが、新作も面白い作品が多かったと思います(が、言うほど観てない…)。なので、ワーストはなし!カックン大賞は『ローグ・ワン』(ゴメンナサイ!)。来年はなるべく観た映画全部の感想を書けたらいいなあと思います。良い一年でした。ありがとう、映画!

Knock5

来年も素敵な作品に出会えますように!

よいお年を(^^)/

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』感想。

面白かったのは終盤だけでした。
個人的評価:★★★★★★★☆☆☆☆ 60点
rogueone
2016年12月16日公開/133分/アメリカ/映倫:G
原題:ROGUE ONE A STAR WARS STORY
監督:ギャレス・エドワーズ
出演:フェリシティ・ジョーンズ、ディエゴ・ルナ、ベン・メンデルソーン、ドニー・イェン、マッツ・ミケルセン、アラン・テュディック、チアン・ウェン、リズ・アーメッド、フォレスト・ウィテカー、ジェームズ・アール・ジョーンズ

単体の作品として観ると、正直あまり楽しめないような気がします。あくまでもファンに向けて作られた映画という印象です。なので、最低でもEP4の『新たなる希望』は観てないとキツいかなと思います。なんだか当然のことを書いてるような気がしますが…。

とりあえず初日に観てきました。映画館が開く前から長蛇の行列ができていて、スターウォーズの人気っぷりを改めて実感できた気がします。旧三部作はかなり好きですが、オールタイムベストには入らない感じなので熱心なファンとは言えないと思います…。素人の感想文です。ネタバレしてます。あんまり褒めてません。ごめんなさい。

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<あらすじ>
帝国軍の誇る究極兵器デス・スターによって、銀河は混乱と恐怖にさらされていた。窃盗、暴行、書類偽造などの悪事を重ねてきたジン(フェリシティ・ジョーンズ)は反乱軍に加わり、あるミッションを下される。それはデス・スターの設計図を奪うという、困難かつ無謀なものであった。彼女を筆頭に、キャシアン(ディエゴ・ルナ)、チアルート(ドニー・イェン)、ベイズ(チアン・ウェン)、ボーティー(リズ・アーメッド)といったメンバーで極秘部隊ローグ・ワンが結成され、ミッションが始動するが……。
(以上シネマトゥデイより)

4

1977年に公開された映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の冒頭で語られた一文を映像化した作品です。「デス・スターの設計図を帝国軍から盗み出すために大勢の犠牲が出ました…」ということで「いったいどんな壮絶な犠牲が!?」と、公開前から楽しみにしていたのですが…。

rogueone7

どちらかというと不満な部分のほうが多かったです。オチは最高だったんですが、そこに行き着くまでの過程がつまらなすぎました。まずイライラしたのが「帝国軍が持つデス・スターの設計図を反乱軍のはぐれ者たちが奪いに行く」というミッション、これに辿り着くまでがあまりにも長すぎることです。前半100分くらい(!)はまったくテンションが上がらず、重要な任務開始までの話が退屈すぎました…。盛り上がったのはラストだけという印象です…。途中までは予定調和な意味づけ作業のようなかったるさが強くて、好きなシーンもあるにはあったしアガるシーンではアガったのですが、全体としては単純に「つまんない映画だなあ」と…。

盗んだ設計図の情報が入ったディスクをバトンリレーのように渡していって、最後の最後でレイア姫がそれを受け取って終わり…なんですが、ここが一番の盛り上がりどころってのはどうかと思いましたよ。そりゃ感動するし鳥肌もんだけど、肝心の「帝国軍から設計図を奪い出すシーン」がイマイチ面白くないというのがとても残念です。ラストが良ければあとはどうでもいい!というような気分にもなれないし、誰もが思い描いていたラストだとも思うので予想外な驚きなどはありませんでした。前情報として”『新たなる希望』の10分前までを描く”ということは知っていたので「どうなるの?どうなるの?」というようなハラハラする感覚もありませんでした。”設計図を盗み出す”という重要なシークエンスを見ずにオチだけ見ても感動していた気がします(それは、まあいいんですが…)。

すでに結末がどうなるのかは知っているし予想通りではあるんですが、それでも震えちゃうのはやっぱり『新たなる希望』が偉大すぎるからで、そのため、「そりゃ感動するでしょ!」っていう想いも強くて、そこをラストに持ってくるってのは…いや、しょうがないと思うんですが、やっぱりなんかズルい作りだなあと思いますよ。めちゃくちゃ感動はしちゃうんですけど(笑)。でも、なんとなくEP4の魅力に頼りすぎてる感じがするし、楽しめたのは全部EP4ありき!とも思えるので、どうなんでしょう…。結末を知っているからこそ楽しめるのは当然ですが、なんだかモヤモヤします…。

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ちゃんとゴリラっぽかった。(CG)

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最も不満な点は、キャラクターに魅力が無さすぎるところでした。ローグ・ワンのメンバーは一人また一人と死んでいくんですが、正直もう誰が死んだってホントどうでもよかったです。キャラクターへの愛情がほとんど湧きませんでした。それぞれの個性が分かりづらかったし描き足りなかったと思います…。死にゆく者たちの話なんだから人物描写も重要な部分だと思うし、ここはかなりダメだったような気がします。キャラクターが登場してすぐに好きになれた『フォースの覚醒』とは大違い。とくに主人公ジンとキャシアンが魅力的とは思えない…。脇のキャラのほうがまだ目立ってましたよ。

終盤は画的に盛り上がるシーンが続くのに、仲間の死にまったく感動できないのが残念でした。「ここは感動して泣くべき場面なんだろうなあ…」ってのは理解できるんですが、全然グッとこず。正直、名前が覚えられないまま死んでいったメンバーなんかもいたりして(これは自分が悪いのかも)、死に方なんかもそれぞれつまらなかったですし、感動的にキスして死ぬにしてもあの演出はどうかと思いましたよ!(映像は美しいけども)

全体的に雰囲気が暗すぎたと思います。画面全体が終始暗めだし、登場人物たちも覇気がなく暗い集団に思えました。ミリタリー色が強すぎるのも、あまりノレませんでした(そういうのが好きな人には嬉しいのかもしれませんが)。キモい触手のクリーチャーが登場するシーンなんかは面白かったし、個人的にはファンタジーの要素をもう少し多めに取り入れてほしかったです。

チームものとしては最悪でした。皆それぞれバラバラに決断し死んでいってしまうし、主人公の成長も自己中心的なものに感じられました。一致団結感も感じなかったし、ローグ・ワンのメンバーが死んだ後の名も無き兵士たちのバトンリレーのほうが結束力を感じたくらいです…。

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ほとんど愛着を感じなかったキャラクターの中でも一番最悪だったのがフォレスト・ウィテカー演じるソウ・ゲレラですよ。コイツはもう大嫌いでした…。さっさと死んでほしかったです。説明的なセリフが多いし、ダラダラ話すし、演出も感動を煽るようなもので、話を呑みこんでいるいる最中に感情を押しつけられるような不快感がありました。お涙頂戴シーンの劇伴は無駄に重々しくて湿っぽい感じだし…。基本的に音楽は無駄に長々と使いすぎだし過剰に感傷的な感じがしました。ウィテカー出演シーンはマジで見ているのが苦痛でしたよ。あってもいいけどせめてもうちょっと短縮してほしかった。フォレスト・ウィテカーが善人って…タイプキャストすぎだし。演技はべつに文句もないんですが、こういうキャラクターは苦手です。不必要にも思えました。

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戦争映画を意識したような見せ方だからこそ不満が大きいのかもしれません。浜辺での戦闘は『プライベート・ライアン』だし、空撮は『地獄の黙示録』でしょう。他にも参考にしていた戦争映画は多かったようです(『大列車作戦』など)。こういう名作を想起させるような画的なリアリティがあるにも関わらず肝心な死にざまがほとんど描かれないので物足りなさが半端なかったです。爆発に巻き込まれれた=死というのは理解できるしレイティングなんかもあってしょうがないとは思いますが、ちょっとガッカリでした…。

”感動げ”な音楽で雰囲気だけ盛り上げてるのがさらに腹立たしかったです。リアルな戦争映画を意識するのならドン引きするような過激さがもう少しあってもよかったような気がします。かなり中途半端に思えました。中東っぽい市街戦もSW世界の出来事とは思えなくて、町並みが変に現実世界とリンクしてしまっているためかストームトルーパー(相変わらず弱い)が爆発でバンバン吹っ飛ぶのも浜辺で倒れているのも逆に嘘臭さが際立って見えました。せめてバラバラに砕け散るとか中の人の肉片が飛び散るとかそういうのダメなのかなー(個人的にはそういうほうが好み)。戦場の泥臭さを派手な爆発で誤魔化しているような気がして、ちょっとノリきれなかったですねー。戦争映画を意識しまくっているだけにキレイに浜辺で寝転がってるトルーパーたちが不自然に浮いて見えてしまいました。

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文句ばかり書いちゃいましたが、空中戦(宇宙戦?)はSW史上一番かっこよかったと思います。本気で最高。ちょっと言葉で説明できそうにないんですが…とにかく興奮しました。Xウィング!Yウィング!TIEファイター!スター・デストロイヤー!もうテンション上がりっぱなし!こういうのを前半でも見せてほしかった!シールド上に撃墜された機体が横滑りするシーンなんかも最高だし!それからイオン魚雷も良かった!Uウイング(?)は初めて見ました!あと、散々言われてると思いますが、デス・スターが超デカい!とにかく巨大!視覚的な恐ろしさが強烈で、このへんはホントに全部最高!やっぱこれEP4大好きな人に向けて作られた映画だと思いますよ。

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暗闇から現れるダースベイダーは最強すぎて笑う。

gyares

ギャレス・エドワーズの映画は、初監督作の『モンスターズ/地球外生命体』がすごく好きで、その後『ゴジラ』を観てガッカリし、今回も微妙な感想になりました。うーん、もう苦手かもしれない…。とくに今回の感動演出は吐き気が出るくらいイヤでした…。その際の劇伴も最悪だったし、「無音でいいのに…」と思う場面でクドクドしい音楽が流れていたりして、音楽はホントに好みじゃなかったです。「もしこれがジョン・ウィリアムズだったらなぁ」とか何回も考えちゃいました、どうしようもないんですけど…。

そんな感じで全体的にはあんまり面白くなかったです、すいません…。やっぱり前半の話のつまらなさが後を引いてしまい、終盤でなんとか盛り返したもののエンタメ映画としてはどうなんだろう?と思うし、個人的にも普通(以下かも)という印象です。細かい部分をオタク的に楽しむにはいいかもしれませんが、自分は気づけていない小ネタが多かったですし、なんとなく分かりづらかったような気もします。とりあえずもう一度見直したいですけど、いやー、でも、やっぱり無駄が多いっていうのか、長すぎましたよ!もっと削ってもよかったんじゃないか前半!

映像は序盤からめちゃくちゃかっこよかったんですよ、笑っちゃうくらい美しくて…圧倒されました。それだけに話の退屈さがもどかしくてしょうがないんです。良いところもあるし酷いところもいっぱいある、そんな映画だと思います。賛否両論な映画なんじゃないのかな…。「夢と希望に満ち溢れた明るいSFファンタジー」を期待していると、暗すぎてビックリするかもしれません。スピンオフだし、これくらいギャップがあっても問題ない、むしろこのほうが「俺たちのスターウォーズだ!」という意見もあるみたいで、どうなんでしょう…。映画としての出来は大絶賛するにはキビしいと思いましたよ。

K-2SO

K-2SOの最期は期待していただけにガッカリ…。泣けない!

turkin

ターキン総督を演じたピーター・カッシング(1994年没)をCG技術で蘇生させたところには本気でビビりました。ここに関してはギャレスに「ありがとう」と叫びたい気分です。他にもR2-D2とC-3POのカメオ出演などもあり、レッドリーダーとゴールドリーダーの登場なんかはただただ嬉しかったです(正直これはまったく予想していませんでした)。

rogueone2

最後にドニーさんですが、カッコイイっていうか…面白かったです。「我はフォースと共にあり、フォースは我と共にある」とブツブツ唱えながら歩くドニーさん。激戦のド真ん中に設置してあるマスタースイッチまでスタスタ歩いていくシーンの「感動して泣いてください」という意図は理解できますが、逆に爆笑シーンになっちゃってるのがスゴイ!!(誰かに怒られそうで怖いなー)そこまでは盲人なのに盲人っぽくなかったドニーさんが急に盲人っぽい手探りの歩きになっちゃうのがホントにおかしくて…しかしアッサリ死亡。もしかしてフォースに目覚めたということなんでしょうか!?難しかったなー。


おしまい



↑予告↓



観てる間ずっと眠たかったです。

『ドント・ブリーズ』感想。(PG12)

強盗に入った家の主は、目が見えないけど耳が超良い異常者だった!
個人的評価:★★★★★★★★☆☆☆ 70点
DontBreathe
2016年12月16日公開/89分/アメリカ/映倫:PG12
原題:DON'T BREATHE
監督:フェデ・アルバレス
製作:サム・ライミ
出演:ジェーン・レヴィ、ディラン・ミネット、ダニエル・ゾヴァット、スティーヴン・ラング

輸入盤を自宅鑑賞。

監督のデビュー作『死霊のはらわた(2013)』はだいぶガッカリ映画だったんですが、今回はけっこう好きでしたよ。観てる間にマジで呼吸を止めちゃうような瞬間も何度かあって、全体的に緊張感がスゴかったと思います。不満もなくはないんですが、ちゃんとビビったし演出も良かったし、主演のジジイも面白かった。公開されたら映画館でも観たいです。いつも通りネタバレしてるので、未見の人は読まないでください!

DontBreathe9

<あらすじ>
街を出るための資金が必要なロッキーは、恋人マニー、友人アレックスと共に、大金を持っているといううわさの目の見えない老人の家に忍び込む。だが、老人(スティーヴン・ラング)は、驚異的な聴覚を武器に彼らを追い詰める。明かりを消され屋敷に閉じ込められた若者たちは、息を殺して脱出を図るが……。
(以上シネマトゥデイより)

DontBreathe5

主人公たちは金品を目的に空き巣を繰り返している3人組。アレックスの父親は警備会社で働いており、合鍵を利用して彼らは顧客の家に不法侵入。盗品はマニーの知り合いのブローカーに売りさばいているが、足元を見られているのかたいした金額にはならない…。ロッキーの母親は育児放棄して飲んだくれているダメ人間。父は幼い頃に別れてしまいそれっきり。そんな家庭環境にウンザリしている彼女はまだ幼い妹と町を出てカリフォルニアへと移住することを夢見ている。しかし、なかなか資金が貯まらない。そんな時にマニーがブローカーから「ある家に30万ドル以上もの大金が隠してある」というオイシイ話を持ちかけられて、「これが最後だ」と彼らは犯行に及ぶのでした…。

相手が盲目の老人ということでナメてかかっていたら、犯行グループのほうが逆にヒドい目に遭わされちゃうって話です。

DontBreathe13

老人はイラク戦争で国のために戦い、手榴弾の破片を喰らい失明してしまったのです。過去に一人娘を事故で亡くしており、睡眠中は彼女が映ったビデオをつけっぱなしている…。30万ドルという大金は娘を轢き殺した加害者からの慰謝料だったようです。最初はなんとなく同情してしまうキャラクターでした。

DontBreathe17

犯行前に侵入する家を偵察に行き、老人を観察する主人公たち。下準備をして、犯行は真夜中に決行。外にいた番犬は睡眠薬入りのエサで眠らせて、風呂場の窓には鉄格子がないため、そこから侵入することに…。二階で眠っている老人の様子を確認し、睡眠ガスで気絶させ、それから金品を探し始める3人だったが、気づくと二階で寝ているはずの老人目を覚ましている。そして鉢合わせになった結果、マニーが射殺されてしまう。

序盤の緊迫感は凄まじかったです。正直めっちゃドキドキしましたよ。ただ、ちょっと短絡的すぎる犯行だとも思いました。耳が聞こえないからってさすがにナメすぎてるような…(それだからこそ面白いんだろうけど)。老人の不在時を狙って侵入したほうが絶対よかった気がするし、睡眠ガスで気絶させるにしてもせめてちゃんと眠っていることを確認してほしかったですよ。「たぶん大丈夫でしょ」って感じで金の捜索を始めてしまうところは気になってしまいました。なんで目が覚めたんだろう?と思ったけど、老人がすでに侵入者の存在に気付いており息を止めてたってことなんでしょうか。あと、玄関に4つも鍵をつけて警備を厳重にしておいて風呂場の窓だけ鉄格子がなかったのも引っかかりました、二階だから大丈夫ってことだったんですかねー。

DontBreathe4

最初の殺人はタイミングが容赦なくて最高。一気に緊迫感が増しました。

DontBreathe2

マニーを殺した老人はすぐさま玄関を施錠し、風呂場の窓も内側から板を打ちつけて家全体を密室状態にしてしまう。その後、他にも仲間がいて金を盗まれたことに気づいた老人は激昂し、強盗をブチ殺すため狩りを開始。聴覚だけじゃなく嗅覚も優れており靴の臭いも察知してしまう。

ここからテンション上がっていきました。なんかもう最高のシュチュエーションですよ、強盗に入ったヤツらが完全に悪いんだし、ボコボコにされても殺されちゃっても自業自得。しょうがないですよねー。老人は何も悪くないし正当防衛でしょ!と思いつつも、かなり怖かったです。音を立てて老人に居場所がバレれば即座に殺されてしまうというハラハラするような恐怖がずーっと続きます。『ドント・ブリーズ(Don't breathe)』というタイトル通り、観ている側も息を止めちゃう感じ。音楽もほとんどなく、居心地の悪い沈黙が効果的だったと思います。こんな現場には絶対に居たくないですね!

DontBreathe15

暗闇から老人が現れるというよりは、カットが変わったりカメラが動いたら「いきなりいる!」っていうのが超イイですよ。タイミングとか間の取り方も絶妙だったと思います。さっきまでいなかった場所に急にジジイが立っている恐怖感が凄かった。あと、動作が機敏なのもよかったです。音に反応する殺人マシーンという感じで、ロッキーが金を奪った直後なんか超最高でした~!!携帯のバイブ音に発砲するシーンとかめちゃくちゃ好きです。

で、中盤から老人の異常性が明らかになっていきます。完全に気の狂った犯罪者ですよコイツ。事情はあったにせよ身勝手な誘拐犯だし、プライドの高さも垣間見えたりしてそこが一層気色悪い。

DontBreathe10

主人公たちが地下室へ行くと、新たな登場人物が現れます。彼女は老人の娘を轢き殺してしまった加害者です。ある目的のために地下室に監禁されていたのですが、それがけっこうキモい。娘を殺害してしまった代償として老人の子供を身籠っていたのです。娘が死んだから、もう一度子供を作るぜ!!って全然共感できないし、加害者が産んだ娘ってイヤじゃないのかな…。

序盤は身勝手な大学生の強盗行為だし老人は被害者の立場だし「ジジイ全員殺っちまえ!」って感じで見ていたのですが、ここからはロッキーたちを応援したい気持ちになりました。老人の復讐心も分からなくはないんですけどね…。いきなり『SAW』みたいなシュチュエーションで面白かったです(笑)。

DontBreathe7

ジジイの濃厚なザーメン!!!!

DontBreathe6

その後、主人公たちと老人の暗闇での鬼ごっこ。彼女たちを殺そうとするのだが、誤って加害者の女を撃ち殺してしまう…。せっかく子供を作ろうと身籠らせたのに自らの手で殺害してしまい怒りと悲しみに震える老人。さらに追いかけ合いは続き、アレックスがボコボコにされ、ロッキーは犬に追いかけられて捕らえられてしまう。そして老人は子供を死なせた責任を取らせるため、今度はロッキーを孕ませようとするのです。

「俺はレイピストじゃない」と言って冷凍保存してあった精子を解凍。宙釣りにしたロッキーの女性器にスポイトで精子を注入して受精を試みることに…。

DontBreathe16

老人の子種を植え付けられそうになるロッキー。しかし、死んだと思っていたアレックスがタイミングよく助けに現れて、窮地を救う。なんとか絶体絶命の危機から逃れた二人は老人に手錠をかけて地下室から脱出。そして急いで逃げ出すのだが、玄関までやってきたところで手錠を外した老人が追いかけてきて、アレックスが撃ち殺されてしまう…。

すごくテンポよくて勢いはあるんですが、主人公たちの詰めが甘いような気もしました。仲間が一人殺されてるんだし、もっと厳しく攻撃してもよかったんじゃないかと思います。せっかく逃げられそうになったのにすぐに手錠外されちゃうのもなんだかなあ…。ちょっとツッコミを入れたくなる展開でしたよ。ジジイがスゴイってことなのかもしれないけど、見てると主人公たちがダメダメに思えてしまって、焦ってるんだししょうがないんだろうけど、お互い犯罪者同士なんだからもっと容赦なくやり合ってほしかったです。耳に何かブッ刺して聴覚を奪うくらいの残酷さがあってもよかったんじゃないかなー。

アレックスを一度は倒したのにしっかり始末してないジジイもジジイですよ…。ここもちょっと残念でした。凄腕の軍人だったんだろうしキッチリ息の根を止めておけよ!と思ってしまいました。アレックスの殺害描写はド派手にゴアゴアで観客をドン引きさせるくらいでもよかったですよ。殺るべき場面でちゃんと殺してくれないところが不満でした…。

DontBreathe12

ウゲェ!!ってなる精飲シーン(笑)

DontBreathe11

結局アレックスは脱出の直前で射殺されてしまい、ロッキーはジジイとなんだかんだやりあって一度は逃げ出すものの車内で犬との格闘などを経て、「終わった…」と思ってホッと一息ついていたら突然背後からジジイが現れたりして再び家に連れ戻されるわけです。そして冒頭の道路をズルズル引きずられているシーンに戻るんですね。帰宅してからもさらに対決は続き、絶体絶命のロッキーは警報を鳴らしてジジイの聴覚を攪乱させる。なんとかジジイを地下室に突き落として勝負に勝利。そして脱出。ジジイは駆けつけた警察によって病院へと搬送されるが、盗難の報告はせずに映画が終わる(説明がヘタクソなのでわけわかんないと思います)。一応は金を奪って逃れたものの、まだまだ話が続きそうな終わり方でした。終盤は「一難去ってまた一難」的な展開の連続!

恐怖の余韻が残るのを狙ったのか知りませんが、個人的には全員殺すかジジイが死ぬかしてほしかったです…。なので、ちょっとスッキリしませんでした。続編の製作も決まっているようだし、次作はどんな話になるのかすごく気になります。地下室で監禁された女性のように今度はロッキーへの復讐を企てるんでしょうか。そういえば老人が実は100万ドル以上もの大金を隠し持っていたのはなぜだったのか、金の出所は謎でした。ちょっともやもやするー!

DontBreathe8

(友人は2人死んだけども大金はまんまと盗めたので)意外とハッピーエンドでしたよね…。なんとなく『パニック・ルーム』とか思い出しましたー。

最初は「悪いのは強盗に入った人間たちだし全員死ねばいいのに…」くらいの感覚で見ていたんですが、中盤から明らかになっていく老人の異常性によって主人公たちを応援したくなっちゃう構成です。最終的にはどっちの側もかわいそうなんだけどそこまで感情移入もないし、犯罪者にはもっとキツめの制裁が必要だった気もします…。一番タチが悪いのって子供を犯罪に走らせたクズ親なんじゃないのかなー。家族を事故で亡くした心境なんかは気分が暗くなるだけだしまったく楽しくないので考えたくもないのでした。

StephenLang

老人を演じたスティーヴン・ラング。普段は笑顔が素敵な人なんですね!

DontBreathe14

『クジョー』みたいな犬の使い方は抜群!狭い車内での格闘は最高でした!

EvilDead

主役を演じたジェーン・レヴィは『死霊のはらわた(2013)』で最後まで生き残ってた女性だったんですね。金髪になっていたのでまったく気づかなかったです…。監督のお気に入り女優なんですかね。


おしまい


↑予告


死霊のはらわた [Blu-ray]


追記:後日映画館でも鑑賞。絶対に映画館で観たほうがイイ!!

『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』感想。(PG12)

青春群像劇の大傑作!チンコで心の扉を開け!最高だ!
個人的評価:★★★★★★★★★☆ 90点
EverybodyWantsSome
2016年11月05日公開/117分/アメリカ/映倫:PG12
原題:EVERYBODY WANTS SOME!!
監督:リチャード・リンクレイター
出演:ブレイク・ジェナー、ゾーイ・ドゥイッチ、グレン・パウエル、タイラー・ホークリン、ライアン・グスマン、ウィル・ブリテン、J・クィントン・ジョンソン、ワイアット・ラッセル、オースティン・アメリオ、テンプル・ベイカー、ターナー・カリーナ、ジャストン・ストリート、フォレスト・ヴィッカリー

いやーもう最高。最初っから最後までもう本当に最高すぎて、自然と顔がニコニコしちゃうような映画でしたー。エンドクレジットが終わる最後の一瞬まで本当に幸せ。「こんなに幸せな映画があんのかよ!」って言いたくなっちゃうくらいに本気で楽しい青春映画。大好きです。面白すぎたので珍しく映画館で二回観ちゃいました。「最高」以外の感想が出そうにないです…。

今回は「ここが好き!ここが最高!」とかそういうことしか書いてません!(毎回そんな感じですが…)

EverybodyWantsSome3

<あらすじ>
1980年夏、ジェイク(ブレイク・ジェナー)は、野球の推薦入学生として大学に通うことになる。本格的に授業がスタートする前の数日間、彼は新しく知り合ったチームメイトたちと共にどんちゃん騒ぎを始める。話題は野球や女子たちのこと、好みの曲や下品なジョークまでといろいろで……。
(以上シネマトゥデイより)



オープニング曲はザ・ナックの『マイ・シャローナ』

EverybodyWantsSome19

主人公の新入生・ジェイクが野球部の寮に転居してくるところから映画は始まります。入部する野球部は全米屈指の強豪チーム。舞台はテキサス。

個性的なチームメイトと共に毎晩ディスコで踊って酒を飲み、カワイイ女の子を口説いて回る。寮に戻るとマリファナ吸ったりゲームをしたりビールを飲んだり…。描かれるのは野球エリートたちのユルい日常。ジェイクが彼らと過ごす新学期の授業が始まるまでの3日間(+15時間)の物語。事件らしい事件はほとんど何も起こりませんし、青春映画特有の「ボクって何?」みたいな葛藤なんかもほぼ描かれません。そんなことよりも、とりあえず遊べ!酒を飲め!ナンパ!セックス!ちんこトーク!みたいな…最高におバカな内容。

「女の子とヤりたい!」

そんなリアルな若者の願望を濃縮したような「これぞ青春」な青春映画。人生で最も輝いていたあの頃…。永くは続かないからこそ、今という一瞬を全力で楽しめ!ってことなんだと思います。

EverybodyWantsSome16

所謂リア充が主役ということで、「羨ましいよ!ふざけんな!」と言いたくなるような内容なんですが(ボクにはこんな青春はなかった…)、それでもキャラクターたちにムカつかず、むしろ愛おしくなっちゃうのは、やっぱり皆揃って強烈にアホっぽいからです(笑)。

アメリカのコメディ映画によくあるような底抜けにバカバカしいものではなくて、あくまでも「こんなやついるよな~」とギリギリ思える程度のアホっぽさ。映画で度々描かれてきた鬱屈した青春の悩みなんかよりも「いや、学生時代ってもっとみんなバカやってるでしょ?」という説教臭さゼロの清々しさが素直に楽しかったです。こんなに爽快な青春映画も珍しいんじゃなんでしょうか。青春とはウジウジ悩んで屈折することだ、そう思っている人間にとっては眩しすぎる映画だと思います。

EverybodyWantsSome18

ちゃんとオッパイも映る!(この内容で隠してたらブチ切れてる)

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もう序盤から超楽しいんですよねー。車内で繰り広げられる会話の応酬が超おバカ。「ちんこ」という言葉がここまで連呼される映画も珍しいと思います。さらに、そんなしょうもな~い下ネタを真面目に論じていたりするから余計にアホっぽくて最高。初対面の先輩たちに連れ回されるこの感じはどこか懐かしく、何かが起こりそうなワクワク感もビンビン感じました。『ラッパーズ・ディライト』→ナンパ→ちんこトークの流れを見て、「あっ、オレ絶対この映画大好きだ!」と思った人は少なくないハズ!

「マイ・シャローナ」でこの映画のイメージが決定づけられた感じもありました。最初から最後までずーーーっと、女の子大好きッ!なボンクラ感。しかも主役がスクールカーストの頂点に君臨しているジョックス軍団。モテない底辺のオタク野郎なんかは出てきません。あえて排除して描かなかったのだと思います。なぜなら、スポーツという武器を取ってしまえばジョックス軍団も同じ人間で、考えていることは文科系とたいして変わらないのです。型にハマったような典型的な描かれ方はしていませんでした。

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野球部の寮での酒とセックスは禁止(しかしアッサリとルールを破る)。

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『6才のボクが、大人になるまで。』のボクのその後を描いた続編みたいな予告ですが、どっちかというと空気感は『バッド・チューニング』に近い気がしました。本作の時代設定は『バッド・チューニング』の4年後ですし(これの精神的続編であるという記事もいくつかありました)。リンクレイターの半自伝的内容というだけあって共通するものも多かったです。ケツを叩かれていたあの青年が成長して大学に入学したのだと思うと嬉しくて泣きそうになっちゃいます…。『ビフォア~』シリーズや『バッド・チューニング』のように今回も人生のある時間を一部分だけ切り取ったような話でした。リンクレイター節全開だと思いましたよ!

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野球部の面々は皆個性的で愛くるしいヤツばかり。頭の中は「女の子とヤりたい!」という願望と「他人に負けたくない!」という競争心。ティーンの男子にとってセックスしたいのは普通だし当り前。むしろ健全なことに思えます。そんな性的欲求をストレートに描いている感じがして、まったく厭味がなかったし、全員激しくアホっぽい(笑)。見ている間中そこに映る人間たちが心の底から愛おしくなってしまう…。大袈裟に書いているようですが、本当にそんな感じでした。自らの欲望に純粋だからなのか、愛着しか湧きませんでしたよ!

野球の技術的なものなどはあまり描かれません。野球以外のゲームをやっている時間のほうが長いくらいです。とにかく全員が死ぬほど負けず嫌いな性格で、それは野球に限りません。「くだらないゲームにこそ人間の本性が出るのさ」というセリフはまさにその通りだと思いました。トップまで登り詰めるには卓球やデコピンで負けて本気でブチ切れるくらいのハングリーさが必要なのかもしれませんね。強豪校の精神性には説得力がありました。

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みんな最高だし大好きなんだけど一番好きなキャラクターはフィンでした。

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チンコで心の扉を開いてご満悦なナンパの天才・フィン。憧れるわー。

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「若い時は時間を大切にしろ」なんて説教臭いことは言いません。惹き句にもなっていた「後悔するのは、やったことじゃない。やり残したことさ」というようなセリフも、具体的に何をするかというと下着での取っ組み合いだったりするからもう最高。欲望をぎゅうぎゅうに詰め込んだ上にすべてキッチリやってしまっている、にもかかわらず厭な感じがないという奇跡みたいな多幸感に溢れた傑作だと思います。

パーティーはトッド・フィリップスの『プロジェクトX』みたいな盛り上がりよう。下着の女の子たちがツイスターゲームをやっていたり、外では男女で泥んこレスリングが行われる幸せすぎる空間。「あれもこれも全部やりたい」を全部やれちゃう男たち。羨ましいけど憎めない!!!!

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あー、羨ましい………羨ましい羨ましい羨ましい!!

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80年代(というより70年代!?)の音楽、ファッション、ゲームなども楽しかったです。生きた経験がないのに、なんだか懐かしくなってしまうのが不思議でした。そこまで関係は深くないんだろうけど、この感覚には『ブギーナイツ』を思い出さずにはいられませんでした。
夜が来るまでの退屈な午後も全力で遊ぶチームメイトたち。ゲームはいろいろあって、バスケットボール、ビリヤード、ピンボール、卓球、拳ゲーム(これは超サイコー!)など。何もせず無為に過ごすなんて時間がもったいないだけだ!という感じ。見ていると、まさにその通りとしか思えません。

それから”名古屋撃ち”という翻訳にグッときた。

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マリファナを吸っていても対決になっちゃいます。「誰が一息でいっぱい吸えるか~」「大学記録を作ったぜ、エヘヘ」とか、もうなんか可愛らしくて愛おしくなってきます。あと、ここのシーンではリンクレイターらしく(?)宇宙哲学なども語られていて、脱力しながら気持ちよくなっちゃう感じです。

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恋愛描写は必要最小限に描いていた印象です。お互いが一瞬で恋に落ちちゃう感じがとてもイイ。よくあるラブコメみたいに無駄なかけひきもないしホントに清々しくて潔い展開でした。ヒロインであるビバリー役のゾーイ・ドゥイッチはリー・トンプソン(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』)の娘!!!!(知らなかった~)

電話してる最中にビバリーがずっと落書きしているのとかカワイイですよね。

WhenHarryMet Sally

『恋人たちの予感』を思い出しました(よくある二分割だけど…)。

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それからカート・ラッセルとゴールディ・ホーンの息子であるワイアット・ラッセルも出演していました。『22ジャンプストリート』での演技を見ていたので存在は知っていましたが、観終わるまでまったく気づきませんでしたよー。これはけっこう嬉しかったです。30歳のドラッグ野郎の設定でしたが、実年齢も30歳だったみたいですね。ずっと大学生でいたかったという感覚もこの映画を見ればすごく共感できます。こんな楽しい生活を体験してしまったら年齢を偽ってでも学生になりたい!すごくわかるよその気持ち!

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予告では野球のシーンがけっこう強調されていたのですが、ほとんど野球してません(笑)。最後まで野球しないのか…と思っていたら一応は練習シーンもありました。野球の技術を魅せつけるような感じではなく、ここも描かれるのは負けず嫌いなキャラクターたちの人間性。それと新入生歓迎の儀式も残酷で面白かったです(あれ目に当たったら失明しそうで怖いよね…)。

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登場人物は皆、半端じゃなく負けず嫌いで、どうしようもないことで喧嘩してしまうのですが、わりとアッサリと仲直りしてしまう。男っていいな~と思えました。グチグチ引きずらずに素直に「ごめんね」って言える関係性がすごく素敵でした。それに対して「気にすんなよ」と普通に返してくれるのもグッときます。初日にちょっとした諍いでギクシャクした関係となっていた新入生も、部室でのイタズラ遊び(ケツを顔につける)を経て、気がついたら仲間の輪に戻っていたりする。変にドラマチックにせずに坦々と流れていく空気感は「これぞ日常!」という感じで、なんかよかったですね。実際はきっとこんなもんですよ。

自分は野球未経験なので「俳優たちの野球経験の有無」はわからないしどうでもよかったです。リンクレーター自身が野球経験者ですし、『がんばれベアーズ』の経験もあるため見せ方は巧かったんじゃないかと思ってます。ちゃんと強豪野球部に見えました。

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ジェイクの高校時代のチームメイトも好きでした。彼は野球をやめてしまった人間で、再会するとパンクロッカーになっています。「野球やめちゃったけど俺はサイコーに幸せだぜ!ひゃっほー!」って感じなんですよね。スポーツエリートから脱落してしまった存在もしっかり描いていて、しかしまったく悲観的ではなく「こっちはこっちでサイコーだぜ!」って感じなのが嬉しかったです。ジョックス軍団だけが幸せな世界なのではなく、ナードもスラッカーも皆入学初日までは平等に心をときめかせているのです。

ディスコ、カントリー、パンクと音楽のジャンルにこだわらずどんなノリでも楽しめるというところも素敵でした。何に対しても固執せず自由に楽しんでいるのがすごくよかったです。差別がなく分け隔てなく付き合える人種としてのジョックスは新鮮でした。ディスコもカントリーもパンクだって演劇だって面白そうなものはなんでもやる、こういう柔軟性と適応能力(とくにフィル)には憧れちゃいます。

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パンクのライブでサークルモッシュ!(若者に混じるオジサン感)

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「バカやってるだけで楽しかったあの頃はもう戻ってこないんだな…」とかそういうこと考えてしまうと少し寂しくなっちゃうかもしれません…。野球しか取り柄のない、まだ何者でもない存在であることに薄々気づいてしまっている不安感。もし将来プロ野球選手になれなかったら、今後どうなっていくんだろう…。そんな葛藤も描かれていましたが、この映画は「そんなこと考えてる暇があったら今を楽しめ!」ってことを言ってるんだと思うんですよねー。悲観的な描写は微塵もないし、もうずーーっと見ていたいような映画でした。描かれるのは8月の終わりの金曜日から月曜日の朝までの3日間。おそらくこんな宴が毎週末、あと4年間も繰り返されていくのでしょう。

何気なく過ごす日常の一瞬一瞬が輝いて見えてしまうのは、見ている誰もがいつかは終わることを知ってしまっているからなんでしょうね…。だからこそダラダラ過ごした無駄な時間が貴重なものに思えてくる。しかし大学生活はこれから始まるのです。これを”まだ4年間もある”か、”たった4年間しかない”と感じるかで微妙に観た人の感想が分かれそうな気もしました。序盤の「時間ならタップリあるさ」というセリフ(最初のナンパの直後)とは対照的に「永くは続かない」というセリフもあって、メッセージを押しつけず、どう思うかを観客の側に委ねていた印象です。

richard-linklater

リチャード・リンクレイター監督の映画はけっこう好きでほぼ観てるんですが(2作だけ未見)、これが最高傑作だと思いました。個人的には一番好きです。仲間と過ごした意味のない日常が後々振り返ってみると実はとても貴重な時間だったりするんですよね。何も起こらないし、ただ下ネタを言い合って女の話ばかりしていただけなのに、なぜあんなにも楽しかったのか…。この主人公たちと自分との共通点なんてほとんどありません。むしろ正反対の所謂”リア充”。それなのに見ていて嫉妬心が湧かないのは、やっぱりみんなアホっぽかったからだと思います。変にかっこつけずありのままを曝け出しており、そこが本当に素晴らしい。もしかしたらジョン・ヒューズへのリスペクトもあったのかなー。

SNSもスマホもない時代。テクノロジーの進化によって失われてしまった”人との関わり”を描いていたようです。TVさえも排しているのが象徴的でした。

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"開拓すべき場所は自分でみつけるもの "

ラストで目を閉じる主人公はすでにこれを理解していたんじゃないかな。

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しかし、そんな良いオチを破壊する超絶アゲアゲなエンドロール!!

キャラクターが入れ代わりながら順番に自己紹介ラップをしていくというもの。ここが一番テンション上がるシーンといってもいいです。もうねー、完全にアホでしょ(笑)。マジで最高。鑑賞後に残ったのは「超絶楽しい」という感情でした。ありがとう、リンクレイターと愉快な仲間たち…。


おしまい

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今を楽しめ!!!!どうせそのうちみんな死ぬ!!!!


↑予告


ホントどうでもいいですが「ヤルかヤラナイの人生なら、俺はヤル人生を選ぶ」っていう『テレクラキャノンボール2013』のキャッチコピーを思い出しました。言ってることは同じだったと思いますよー。ウンコ食わない人生よりウンコ食った人生のほうが素晴らしいに決まってる!年齢は関係ない!!

『ソーセージ・パーティー』感想。(R15+)

強烈にブッとんでてヤバい作品でした!大好きです!
個人的評価:★★★★★★★★★☆ 90点
SausageParty
2016年11月04日公開/89分/アメリカ/映倫:R15+
原題:SAUSAGE PARTY
監督:コンラッド・ヴァーノン、グレッグ・ティアナン
出演:セス・ローゲン、クリステン・ウィグ、ジョナ・ヒル、ビル・ヘイダー、マイケル・セラ、ジェームズ・フランコ、ダニー・マクブライド、クレイグ・ロビンソン、ポール・ラッド、ニック・クロール、デヴィッド・クラムホルツ、エドワード・ノートン、サルマ・ハエック

公開初日に観てきましたー。東京では連日満席で大盛り上がりみたいですが、自分が観た回は半分以上空席でした(田舎なので)。初めて予告を見たときの衝撃がデカすぎて、もうそれだけで今年のベスト級!ってくらいに大好きで、そのぶん過度に期待して、公開日は本当に待ちに待ったという感じでした…。

で、感想なんですが、いやーまあスゴかった。マジで最高。観てる間中ずっと興奮しっぱなし。爆笑シーンの連続だし、ものすごく残酷オゲレツなシーンも多々あり、オエッてなったりホッコリなったり歓喜したりで、もう何もかもが幸せすぎました。ただ、個人的には大好きですけど、賛否両論になるのはしょうがないような内容ですよねー。半端じゃなく狂ってます。『ソーセージ・パーティ』というタイトルもスラングとして解釈すると「男(チンコ)だらけのパーティ」という意味だそうで、凄まじいド下ネタでしたよ!

声優陣は米コメディ映画俳優(アパトー・ギャングなど)が大集合って感じで、クレジットを眺めていたらラストでうるっときてしまいました…。R指定アニメだし今回もどうせビデオスルーだろ!と思っていたので、劇場公開されただけでも嬉しかったですよ、マジで…。

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<あらすじ>
物語の舞台となるのはスーパーマーケット「ショップウェル」。ソーセージのフランクは、恋人であるパンのブレンダと一緒に”ドアの向こう側”へ行き、二人でひとつに結ばれてホットドッグになることを夢見ていた。棚に並んだ食品たちは、神様(お客様)に購入してもらい”ドアの向こう側”へ行けば必ず幸せになれるはず、外の世界は【楽園】なのだと信じている。独立記念日の感謝祭前日、ついにその夢が叶う時がやってくる。神に選ばれ、二人揃ってカートに入れられるフランクとブレンダ。しかし喜んだのもつかの間、直後にアクシデントが起こってしまう。カート同士がぶつかった衝撃で中にいた食品たちが床に投げ出されてしまったのだ…。なんとか命は助かったもののフランクとブレンダはスーパー内に取り残されてしまう…。一方、カートに残っていた食品たちは無事にお買い上げされて”ドアの向こう側”へ。夢にまで見たキッチンに到着するのだが、そこには残酷な真実が待ち受けていた。なんと、神は皆大量殺戮者であり、食材を切り刻み、焼き、茹で、料理して食べていたのだ…!!

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メインのキャラクターは食品です。人間が食材を調理して食べるという当り前のことが、人格を持った食品たちの目から見ると超残酷な行為となってしまうんですね。「もしも食品が人格を持ち、まるで人間のように生きてたら…!」っていうアイデアは、誰でも一回くらいは考えたことあるんじゃないのかな。食べ物が実は生きていて、モノを考えて喋って動くという根本のイメージは、やっぱり『トイ・ストーリー』だったり、ディズニーを意識していたと思います。リスペクトは強く感じました。食品たちの黒い腕に白いグローブってのはミッキーマウスみたいですしね!

そんな彼らが世界の真実に気づいてしまって「食われてタマるか!」と、人間たちに戦いを挑んでいくお話です。

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個人的に一番注目してたのは残酷描写です。まあ予告の時点で何度も見ちゃってたんですが、これが本気で超サイコーですよねー。食品たちの死亡シーンを見てるだけでもめちゃくちゃ楽しかったです。けっこう大量に死んでました。一秒に満たない死亡シーンもいっぱいあって、容赦はまったくなかったし、もしこれが人間だったらと思うとおぞましい描写の連続でした…。まあでも人間じゃないから腹抱えて笑えましたよ!

擬人化しているので食品が破損するとそのキャラクターは当然死にます。瓶詰めのマスタードが大破して飛び散ったり、バナナの皮が剥けちゃったり、トマトが切断されたり、ポップコーンが弾け飛んだり、それぞれが素材を生かした多種多様な死に様を見せてくれました。これがすごく面白い!普段、日常的に消費している食品を擬人化すると超残酷だよねッ!ってことで基本的にはそれがギャグになっていることが多かったと思います。凄惨な死に様ばかりなんですが、キャラクターが可愛いからか、悲壮感がないし万人にウケるポップな印象を受けました。腸や血が中身の具材で表現されていたりして、食材が破壊される描写はどれも面白かったです。

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最初に死ぬのがハニーマスタードなんですが、ここも良かったです。購入されて外の世界へと旅立っていくハニーマスタード。しかし、「種類を間違えた」という理由で再び店の商品棚に戻されてしまう。”ドアの向こう側”で残酷なる真実を目撃してしまった彼は、世界に絶望し飛び降り自殺をしてしまう。

「顔面に精子をぶっかけられて真実が何も見えていなかったんだ!」

言ってることはまっとうな意見っぽいんですが、キャラクターのセリフ回しはみんな下品でアホっぽかったです。ファックという言葉の数も尋常じゃなく、90分で150回くらい連発されていたようです。サイコー。

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食品がそれぞれ性的欲求を感じているってところが面白かったです。食品同士でセックスするなんて、思いついたとしても誰もやらないですよね!スゴい!もしもピクサーがR指定のエログロ映画を製作したら、こんな感じになるのかなー。偏差値は限りなく低めです。暴力よりも性描写のほうが狂っている気がしました…。

中東問題への皮肉とか、真面目に深く語りたくなるような象徴的なものもいくつかあるんですが(もしかしてシネフィルに向けて撒いた餌じゃないの?)、そんなものをすべて破壊してしまうのが終盤に描かれるフリーセックスの宴でした! 神々(人間)を抹殺することに成功した食品たちは食種(人種?)、そしてLGBTの垣根を乗り越えて大乱交! 食材ならではのセックスが凄い! しっかり射精している奴もいた! ここのシーンはホントに最高で、言葉を失ってただただ笑うのみでした! アイデアが超ブッ飛んでます!! とにかく下品!!そして、ちゃんとエロい!!!!

個人的には、ヒトラーがウケ側に回っているのとかツボでしたよ。

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キャラクターデザインも素晴らしかった。とくにヒロインのパン・ブレンダ。ちゃんと胸の膨らみなども表現しており、衝撃的だったのが口ですね。これが縦についていてパクパク喋る。体の中心は割れ目になっていて、途中から女性器にしか見えなくなりました。ド直球でバカっぽいですけど、こういう鬼畜な発想をそのまま絵にしちゃうのはスゴいなーと思います。心底から感動しましたよッ(アホです)。

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悪役はビデでした。ビデってのは膣洗浄器だそうです。ノズルを女性器に突っ込んで使用するみたいです。フランクたちと一緒にカートの外に放り出されてしまい、店内に取り残されたのはフランクの行動が原因だと言って因縁をつけてきます。自己中心的なヤツでした。

コイツ最高でしたよ。まず存在自体がちょっと卑猥だし(入れられてる箱のパッケージもすごい)、行動も容赦なくて面白かったです。落下した衝撃でビデの容器が割れてしまって中の液が漏れ出してしまい、このままだと死んでしまう…ということで液体の食品(ジュースとか)を殺害して、相手の液体を飲むことで命を保っていくんです。最初にジュースを殺すシーンは、完全にレイプみたいに撮ってました。紙パックのジュースの股間にちょうどよく穴が開き、それをゴクゴク飲み干すビデ。ほとんど犯しているようでした(完全に狙ってやってます)。しかも相手の食品は男性だったと思います。その後も何体もの食品を殺害して、生き血を啜るように生き延びていくキャラクターでした。目的はソーセージへの復讐を果たすこと。そのためにしつこく追いかけてきます。ラストでは店員の男性のアナルにノズルを挿入して、両手で金玉袋を引っ張って人間ををロボットのように操縦し…。いやーもう考えた人(セス・ローゲン)頭おかしいですね(笑)。そんな感じで、面白かったですよ!

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キャラのほとんどが食品ですが、トイレットペーパー、コンドーム、ビデといった股間回りに関わる(?)消耗品などだけは登場します。徹底的に下ネタなんですよね。上の画像は、使い捨てられたコンドームが神の残酷さを悲痛に訴えるシーン。見た目ちょっと可愛らしいんですが、何に使用されたのか考えるとものすごくエグい。

「やつらはドピュッと出したんだ!!」

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監督の前作『モンスターVSエイリアン』でもそうだったように、今回の『ソーセージ・パーティ』も映画のパロディ満載でした。たとえば、食品たちがカートから床に放り出されるシーンは『プライベート・ライアン』でした(音が一瞬途切れて、目覚めると周りは血まみれの戦場に!仲間たちは内臓が飛び出ていたり顔の皮膚が剥がれていたりと凄惨な状態)。ほかにも、敵を取り囲んで指をパチパチ鳴らすシーンは『ウエスト・サイド物語』だし、銃弾を喰らったガムが自己再生するシーンは『ターミネーター2』のT-1000(わかりやすく音楽まで流れる!)、それから銃弾の弾道は『マトリックス』みたいだったし、楽園に行けると思っていたが実は違う…!と気づくシーン(ポテトは皮をひん剥かれるところ)は『アイランド』だッ(違うかも)! 学者の机に何十年もへばりついていたために天才になってしまったガムはホーキング博士にしか見えないし、冒頭のミュージカルシーンは『美女と野獣』の「ビー・アワー・ゲスト」へのオマージュだと思います(スーパーが開店してお客様が入ってくるシーンだし)。そんな感じで、いろいろ元ネタがありそうだと思いました。ラストではなんと『スターゲイト』が登場するSF要素まで!

とくに食品たちの死に様は「コレってアレだろ!」と言いたくなるものが何個もあったので、元ネタ大辞典ができそうな感じしましたよ。単純に似ちゃっただけとか、ただの思い込みもあると思いますが、面白かったです。

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車のナンバープレートが「DIXAR」になっているのは、やはり「PIXAR」へのリスペクト?

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いつもドラッグをキメてラリっているセス・ローゲン脚本なので(『スモーキング・ハイ』など)、今回もガッツリ薬に溺れている中毒男が登場。”バスソルト”という名称のダウナー系の合成麻薬(?)を、ちゃんとスプーンに盛って煮沸して注射器で注入。カメラのアングルとカット割りはほぼ『パルプ・フィクション』完コピという感じで、音楽は『レザボア・ドッグス』の「Little Green Bag」が流れていたのでタランティーノリスペクトってことなんでしょうか。食品たちも何故かマリファナをプカプカ吸いまくっていて、みんな気持ちよさそうでしたねー。

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独立記念日の感謝祭前夜にお客様にお買い上げされた食品たち。人間たちへの復讐を決行したのは感謝祭当日。7月4日ですね。この日には毎年アメリカ全土でソーセージがバカ売れするんだとか。感謝祭にはBBQと花火がつきものだそうです(よく知りませんが)。大ボスである悪役を最後には爆死させるんですが、どう見ても花火だし、アメリカが植民地支配から独立したように、食品たちが人間の支配から解放されたことを表していたんだと思います(たぶん)。

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最終的にスーパーにいる人間たちは皆殺し!

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食べ物だからいつかは腐っちゃうし(賞味期限のない永久保存食品も出てきますが)、この話ってハッピーな終わり方難しいよなあ…と思いながら後半のほうは観ていたんですが、さすが『ディス・イズ・ジ・エンド』の脚本家集団、ラストはちょっとブッ飛んでます。残酷な真実を知り、人間との戦争に勝利した食品たち。しかし、さらなる真実を知ることとなるのです……。それは、「お前ら、アニメのキャラクターなんだよ!」ということでした。

「フランクの声優は、セス・ローゲンというユダヤ人のコメディ俳優だ!」

えええ!!!!と呆気にとられているうちに、気分がアガるカッコいいオチでエンドクレジットへ…。

「食べ物は大切に食べましょう」みたいな説教臭い方向へ行かず最後の最後までアホっぽくて良かったです…。描写がクソ面白かったし、ボイスキャストも豪華だし、絵も大好きな感じで、もう観る前から絶対好きになれるだろうなと期待値はものすごく高めで観たのですが、最高でしたね!本編に対しての不満はとくにありません。強いて言うなら、もっと観ていたかった!ってことぐらいです。体感的には、あっという間で「もっと見せてくれ!」という気持ちも若干ありました。でも、ホントに面白かったんで、「下ネタなんか絶対ヤダ!!」という人じゃなければ強めにオススメしたい作品です。できることならこのチームでまたR指定アニメを作ってほしいなー。

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もちろん人間の生首も登場してましたよ!(斧での事故死)

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ボトルの生首もあった!(生き血を啜るシーン)

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ダダッダッダダ!ダダッダッダダ!

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最後に、日本語字幕について…。

本編中ずーっとFUCKやらSHITやら連発してんのに、字幕は妙に”お上品”だな~!ってのは感じてしまいました。時間の都合とか文字数の都合とかいろいろあるのはわかりますし、普段こんなところ気にして観てませんけど、唯一引っかかってしまった点です。作品に非はないし、残念ってほどでもないんだけど、もっと汚い言葉のほうが良かったかなーとは思いました。英語喋る人間じゃないのでエラそうなことは言えませんが、もっと「チンポ吸い」とか「腐れオマンコ」とか馬鹿で下品な偏差値低いやつでもよかったんじゃないの!?

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うんこ!!!!!!!!!!

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目ん玉!!!!!!!!!!

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オナニー!!!!!!!!!!

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アナル!!!!!!!!!!

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・・・ということで、”好み”の描写満載。大好きでしたよ!

SausageParty23

カットされた別エンディング(?)では、スターゲイトに吸い込まれていったキャラクターたちが店でホットドッグを食べている声優陣(セス・ローゲン、マイケル・セラ、エドワード・ノートン)を呆然と眺めている、というものでした(笑)。このエンディング超絶アホっぽくて大好きですよ!もしかしたらこっちのバージョンのほうが面白かったかも!!



おしまい

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