いけにえ映画狂い

外国映画の感想文。お気に入りシーン備忘録など。ネタバレしてます!

2017年

『人類遺産』感想。

近代文明の消滅を描く、厳しくも美しい映像集。
この風景を旅することは、人類必須のテーマである。
個人的評価:★★★★★★★★☆☆ 80点
Homo Sapiens
2017年03月04日公開/94分/オーストリア・ドイツ・スイス
原題:HOMO SAPIENS
監督:ニコラウス・ゲイハルター

「こんなこと思ったよ!」ってことを書いているだけの感想。ちょっと特殊な映画だと思いました。観る前に知っていたのは、監督が『いのちの食べかた』を撮った人で今回は廃墟のドキュメンタリーであるということだけ。廃墟は元々けっこう好きです、写真集を眺める程度ですが。

Homo Sapiens00

あらすじ

『いのちの食べかた』などのニコラウス・ゲイハルター監督が、およそ4年の歳月を費やして世界各地に存在する70か所を超える廃虚の撮影を敢行。人々の姿は消え失せ、緑に覆われ、鳥が飛び、風が吹きすさび、朽ち果てるのを待つだけとなった廃虚の数々。団地群、テーマパーク、劇場など、かつて活気づいていた場所は……。
(以上シネマトゥデイより)

Homo Sapiens16

感想

登場するのは世界70箇所の廃墟のみ。人物はひとりも登場せず、ナレーションも字幕も劇伴も一切ありません。カメラは固定。一定時間(30秒ほど)で次のカットに切り替わり、ひたすら廃墟を映し続けるだけの一時間半。

良い映画だと思いました。すごく好き!

Homo Sapiens18

個人的にはこんな作品は初めて観ました。廃墟映画の傑作だと思います。こんなの映画じゃない!という人がいるのかいないのか知りませんが、こういうのも映画だと思います。けど、所謂「映画的な映画」ではないかもしれない。

本当にただ映しているだけなのでカメラが動いたりはしません。なので、写真のようでもありスライドショーに近い気もするんだけど、映像なので当然時間は流れます。それから、よく見ると実はいろいろ動いています。目立った動きはありません。埃が舞ったり、木々が揺れたり、雨が降ったり、それくらい。音はいろいろこだわっていたようでその場にいるような臨場感がありました(人間が動く音などは編集の際にすべて除去したらしい)。

Homo Sapiens20

見始めて20分くらいは正直「ナニコレ…これがずっと続くの!?」って感じだったんですが、それが意外と新鮮でした。娯楽感はまったくないといってもいいかもしれません。面白くしようとする素振りが見られないというか、なぜにこんなものを撮ったの?という疑問さえ浮かびます。それだけに、監督の意図などをいろいろと考えざるを得ないというか、画がほとんど動かないからこそ想像力をかきたてられるという感じかも…。

画面に映る映像は固定カメラで正面の風景をただ撮っているだけです。演出が何もないというのか、「何もしないことが演出」だったのかも知れません…。誰でもできるけど誰もやらない演出がすごいのかどうかはわかりません。が、個人的にはこういうのがあってもいいんじゃないかなーと思いました。大胆で面白かったし、潔さも感じました(序盤で頭の中に”手抜き”の文字が浮かんだけどすぐ消えた…)。それから、誰かがこの映像を撮っているという作為的なものをほとんど感じないのも良いと思いました。そのためかは分かりませんが映像世界への没入感は強かったです。

Homo Sapiens01

よくSF映画で「人類が滅亡した世界」(のようなもの)が描かれます。しかしだいたいは生き残った人間がいて、ストーリーがあって、ドラマがあったりします。本当に「人類が滅亡した世界」を描こうとすると、もしかしたらこうなるのかな…と本作を観て感じました。ということなので、個人的にはこれ以上ないくらいのディストピア感覚に浸れた作品。なので好き。良い。

何が良いって、人間がいないのが良い!そこが最高!

廃墟の空気に人間の気配が混じってないのが良い!

Homo Sapiens14

僕はこの映画を観て、世界各国を旅している感覚になりました。旅の目的は自分以外に生き残った人間を探すことであり、そのために世界を回っている、という感覚。何らかの事態(核戦争とか)が起こり世界は滅び、人間は死に絶えてしまった。残ったのは自分だけ。何ひとつ言葉で語られることがないため、これはただの個人的な妄想です。

絶望的な孤独から誰か他の生存者を探す旅に出ます。そして、世界を歩き回ることに…。しかしどこへ行っても誰もいない。映し出される映像は廃墟ばかりです。ただ荒れた土地というよりは「以前は人がいたらしい形跡の残る現在は誰もいない空間・場所」といったほうがいいかもしれません。場所が変わる毎になんだか絶望的な気持ちになっていきました。「ああ…やっぱもう誰もいないんだ…みんな死んだんだな…」みたいな。人類がいなくなった世界でひとり孤独に突っ立って廃墟を眺めている感覚です。廃墟っていうか人間の痕跡。

Homo Sapiens03

ですが、鳥はいるんですよねー。登場人物はいませんと書きましたけど、登場する動物はいます。「あ、鳥はいるのか!」と気づいた途端になんか救われた気分になるというか、この世界が心地よく思えてきて、いやーなんかうまく説明できないしコレ狙ってやってんのかどうかも分かんないんですけど、とにかくちょっと楽になりました(笑)。伝わんないと思うけど。

ハトが希望の象徴として登場する映画は多いと思うのですが、今回も本当にそれで、生き物がまったく映らない映画だったらさらに絶望していたように思います。鳥を見てマジで泣きそうになったんですよ。あ、ひとりじゃないんだな俺って…(なんかすごくキモい感想だけど)。

Homo Sapiens09

登場した廃墟は、下のような場所。ほんの一部です。
  • 【メソジスト教会】(アメリカ・インディアナ)
  • 【ヴィラ・エペクエン】(アルゼンチン)
  • 【ローラーコースター】(アメリカ/ニュージャージー州)
  • 【端島・軍艦島】(日本/長崎県)
  • 【ベルギー冷却塔】(ベルギー/モンソー=シュル=サンブル)
  • 【ザッケ・ヒューゴ炭鉱】(ドイツ/ノルトライン=ヴェストファーレン州)
いくつか知ってましたが、ほとんどが知らない廃墟でした…(笑)。全体的にシンメタリーな構図のものが多かった気がします、どれもホントに美しかったし退屈はしませんでしたよ(個人的には!)。

Homo Sapiens06

日本の風景が序盤にあることで世界が近くに感じられた気もします。自転車置き場など特に。で、後半の軍艦島で「帰国したー!」みたいな心境に。最初の廃墟は福島だったようです。現場が現場だけに選ばれたのも納得という感じ…(福島だったってことは観終わってから知りました)。

Homo Sapiens05

おそらく世界で最も有名な廃墟である【ブルガリア共産党ホール】(ブルガリア/バルカン山脈)から映画が始まり、最後はまた同じ場所に戻ってくるという構成になっていたと思います。ただしラストシーンでは全面に雪が降り積もっており、吹雪によって画面が真っ白になったところで映画が暗転し、終了。

人類が滅びた世界で地球最後の人間である主人公(観客)がラストショットで力尽きたようにも思えました。何か、すべてが終わったような…そんな感じ。まあそもそもこの視点が人間のものかどうかも判断できないし、アレですが。とにかく素晴らしかったです。人にはなかなか薦めづらい作品かもですがー。

感想を見ていたら「ひたすら雨乞いしてたと思うと笑える」という意見があって、これには「たしかに!」と思ってしまいました。そういう発想好き。

Homo Sapiens17

それにしても美しかった。たまらん…。


↑予告


『バーニング・オーシャン』感想。

世界最大級の「人災」と言われるこの事故はなぜ起こったのか?
施設内に残された126人の運命は?
個人的評価:★★★★★★★☆☆☆ 70点
Deepwater Horizon
2017年04月21日公開/107分/アメリカ/映倫:G
原題:DEEPWATER HORIZON
監督:ピーター・バーグ
出演:マーク・ウォールバーグ、カート・ラッセル、ジョン・マルコヴィッチ、ジーナ・ロドリゲス、ディラン・オブライエン、ケイト・ハドソン、ダグラス・M・グリフィン、ジェームズ・デュモン、ジョー・クレスト、ブラッド・リーランド、J・D・エヴァーモア、イーサン・サプリー、トレイス・アドキンス、ジャストン・ストリート

当時ニュースで見た記憶はあるんですが「なんか海面に石油が漂ってたな…」程度なので、まあ、詳細はほとんど何も知らずに観た感じです。

ここが好きとか嫌いとかダラダラ書いてるだけの感想文。ネタバレしてます!

Deepwater Horizon01

あらすじ

メキシコ湾沖80キロメートルにある石油掘削施設「ディープウォーター・ホライゾン」で、海底油田からの逆流によって上昇した天然ガスへの引火が原因で大爆発が発生。現場で働いていた作業員126人が施設内で足止めを食らう。事故により多数の行方不明者と負傷者を出す大惨事となり……。
(以上シネマトゥデイより)

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感想

いやー、めちゃくちゃ面白かったです。好き。2010年にメキシコ湾で起きた原油流出事故を元にした実録モノ。「なぜこんな事態になったのか?」という惨事に至るまでの過程と、そこからの生還を描いた話。

アメリカ史上最悪の人災らしいですね(よく知らないけど)。

実際に起きた事件ですし人も亡くなっているので「面白い」とか「楽しい」とか不謹慎に思われそうだから若干言いいずらい気もするけど(まあそんな映画いっぱいあるし気にしなくてもいいか)、最初っから最後まで退屈せずに楽しめましたよ。上映時間もちょうどよかったと思います。長さは感じなかった。

Deepwater Horizon14

最大の見せ場は、事故が起きてバーニングする瞬間。もう観る前から大惨事が起こってしまうのは知っちゃってるんですが「いったいいつ起こるのか!?」って部分でかなりワクワクできた気がします。ここの部分でわりと長めに引っ張っているんで、正直ちょっと前半は間延びしている印象もありました。けど個人的には「いい焦らし」だったなと(笑)。事故が起こりそうで起こらなかったりするんで、そのへんの焦らし加減が好きでした。今か今かと待ち続けて「来るぞ来るぞ………キターーー!!」って感じ。大噴射!大爆発!最高!!こういう部分もパニック映画の醍醐味なんじゃないかなーって思います。

『バトルシップ』みたいな荒唐無稽な展開よりは、事実を忠実に再現することを優先していた印象です。前作『ローン・サバイバー』に続いて硬派な作り。多人数をガシガシ捌いて魅せていく演出は『キングダム/見えざる敵』なんかも思い出しました。本作も脚本は同じマシュー・マイケル・カーナハン。

Deepwater Horizon11

上映時間ちょうど半分くらいで作業員たちが事態に気づき、その後30分ほどはよく見る災害現場の地獄絵図。けっこう血まみれだったし、ちゃんとしてた。痛そうな足も見せてくれたし満足です。映倫Gだしグロってほどではない…。起承転結がハッキリしていて前半のマッタリムードから後半への落差が激しいのも効果的で、それが悲惨な状況を際立たせていたと思います。

普通のパニック映画だったらもっと早めに何か起こりそうなもんですが一時間くらいはトラブルが発生しません。みっちり人間関係を描きつつ丁寧に状況を説明してました。ただ、キャラの掘り下げはあまりなく、主人公に焦点を当てすぎずに絶妙な距離感を保ってる感じ(娘とかはどうでもいい存在だった)。

…なのだけどイマイチ仕事内容が理解できない部分もあったりして、専門用語にも引っかかったり…。リアルな描写を求めるとそういうものも必要だったんだろうし、たぶん自分の理解力不足のためだと思いますが…。

Deepwater Horizon09

映像は大迫力で最高。爆発も噴射も炎の燃え方も好みでしたー。巨大セットを使って撮影したそうで、事故現場の様子は若干わかりにくい部分もあったけど臨場感は強く感じました。なので、炎が燃えているシーンは興奮しっぱなし。痛そうだし熱そうだし、デカいセット使ってるからか質感の説得力もありました。あと、CGも良かった。

前半の演出はわりと淡々としていて、それに対して後半は対照的な感じ。全部が全部ってことでもないと思うけど大筋は実話だと思うので、ストーリーに対してはとくに何も言うことなし。変にドラマチックになりすぎないし、脚本は良かったんじゃないかと思います。

Deepwater Horizon03

序盤の家庭風景も楽しかったです。その後に起こる事故の大まかな状況を子供が説明してくれるのが最高で、しかも子供も理解できる分かりやすさ(振ったコーラ缶に穴を開けて噴射!!)。ここの和やかムードと実際に事故が起きた際の絶望具合にギャップがあったのも良かったと思います。「これから起こることを何も知らずに…」的なアバンタイトルによくあるやつ。

暗喩的なんだけど、直球すぎてギャグにも思えるシーンでした。不要といえば不要だし削っても成立しそうな部分なんですが、個人的には好き。なんとなくサービス精神のようなものを感じたので。

Deepwater Horizon02

人災の原因となる男はBP社の管理職員ヴィドリン。安全管理を怠るクソ野郎。演じているのはジョン・マルコヴィッチでした。こういう悪い役やるとホントに悪い顔にしか見えないし、超ハマり役。すごくイイ。

過剰な描き方とは思わなかったです。けっこう自然。

掘削作業が終わる前に必要なテストの担当者を独断で帰してしまい、登場から印象はあんまり良くない…。工期の遅れを取り戻そうと確認作業を疎かにしてしまうダメ責任者。さらに、セメントの強度確認テストでは異常値が出てんのに「大丈夫だろ、たぶん」って感じで作業を進めてしまい、その結果、仕事場が全部ブッ飛ぶ大惨事に…。

ヤバい事態になってからは、ほとんど喋らず押し黙ってるのがなんかリアルで良かったです。利益のために部下の命を危険に曝しといて、いざ危険な状況に追い込まれると自分の命が一番大切!って…もう最悪。救命ボートに乗り込んでいく姿には腹立ちましたよー。

事件の後、彼は殺人罪で起訴されたそうです。スッキリしたー。

Deepwater Horizon06

で、カート・ラッセルは今回もかっこよかった。

風呂場で全裸のままブッ飛ばされて気を失うんだけど、目覚めたら視覚がダメになってて全身傷だらけ。足にはガラス片がブッ刺さってるし。それでもノソノソ服を着て立ち上がり、危機を食い止めようと奔走する超カッコイイ上司。「やることやるぞ」って感じの姿にヤラれましたー。弱音も一切吐かないし。全裸で血まみれになる状況も個人的には好きです、無防備で。

そしてマルコヴィッチと向かい合って対峙する場面がもう最高。言葉は要らないし表情だけで言わんとすることがガンガン伝わってくる感じ。二人とも名優だなーと改めて思いました。すごい。カートは7年連続で安全賞を受賞しているスゴイ男という設定なんですが、電話対応で判断ミスをしちゃったのは気が緩んでたからなのかな…。タイミングも悪かったのかも。

Deepwater Horizon12

個人的に贔屓のデブ(イーサン・サプリー)が出演してんのも嬉しかった!!マルコヴィッチにせっつかれてしょうがなく連絡を取り不安を抱えたまま作業を行い、最終的に亡くなってしまう悲しい人…。終盤までは誰が生きてて誰が死んだのかあまり分からず、最後のほうで死んでたことに気づき…少し虚しい気持ちになりました…。死にざまが見たかった!

上司に反抗できない感じとか、生命の危険が迫っている緊急事態でも「権限が無いからできない!」とか、なんだか厭な上下関係なんだけど職場で日常的に目にする光景って感じでしたねー。イヤな上司ってホントにイヤだなー。

Deepwater Horizon13

個人的に胸アツだったのは、ヒロインっぽくない女(ジーナ・ロドリゲス)が終盤になって突然ヒロイン的な立場にポジションを変える展開とか。「跳ぶか死ぬか、どちらか選べ!」みたいな究極の選択も面白かったし急にヒーロー感がグングン増していく主人公も良かった。テンション上がりましたよ。

ここは「さすがバトルシップの監督だッ!」という感じで好き。

Deepwater Horizon10

「予想できない驚きの展開」とかはこれといってないんで大筋はけっこう普通なんだけど、実話ベースの内容だしそのへんは気にもなりませんでしたねー。ラストで裁判を受ける流れになるのですが、そこは案外アッサリ描き、最後は「現在の彼らはどうなったのか?」というもの。オーソドックスで手堅い作りだったなーと思いました。泣き叫ぶ遺族に胸ぐら掴まれる主人公とか…。

ネクタイの色が施設で最悪の事態が起こったときに点灯するマゼンタの警告灯と同じ縁起の悪い色…とか暗喩的なこともいろいろやってたようです。観てる間はちっとも気づかなかったけど。

ということで良かったです。こういう人災をしっかり娯楽にしちゃうアメリカって国はやっぱりすごいなーとも思いました。邦題は、実際に観てみたら本当にオーシャンでバーニングしてるような内容だったので、良いんじゃないの!って感じ。

Deepwater Horizon07

オチは実話ベース映画のお約束、ご本人さんの写真が登場パターン。

結果的には、現場にいた126人のうち11人の方々が亡くなったそうです。爆発とか噴射の規模を考えると奇跡的なのかもしれません…。正直もっといっぱい死んでんのかと思ってたんで驚きました。

明確に死にざまを描く描写はなかったと思います。まあ、けど、状況的に人が死んでてもおかしくないのは一目瞭然だし、実際に起こった人災を描いてるんでそのあたりの配慮は必要だったのかなと…。物足りないといえば物足りない気もするけどー。うーん。

ともかく、次のピーター・バーグは『パトリオット・デイ』!楽しみ!

Deepwater Horizon05

機械の説明書は何が一番重要かって、わかりやすいこと!


↑予告


『ゴースト・イン・ザ・シェル』感想。

SF作品の金字塔『攻殻機動隊』をハリウッドで実写映画化!
個人的評価:★★★★★☆☆☆☆☆ 50点
GHOST IN THE SHELL
2017年04月07日公開/120分/アメリカ/映倫:G
原題:GHOST IN THE SHELL
監督:ルパート・サンダーズ
出演:スカーレット・ヨハンソン、ビートたけし、マイケル・ピット、ピルー・アスベック、チン・ハン、ジュリエット・ビノシュ、ラザラス・ラトゥーリー、ダヌーシャ・サマル、泉原豊、タワンダ・マニーモ、ピーター・フェルディナンド、ピート・テオ、福島リラ、桃井かおり

観てきましたー(ゴーストが囁いたので)。

今回のハリウッド版を観る前に『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を久々に見返したんですが、ドハマりしたのが十年以上前なので…けっこう忘れてる部分も多かったです。正直、あんまり詳しくはないと思います(笑)。原作は一度読んだだけっていう程度…。解説はしてません。個人的な感想。

全体的に愚痴っぽいこと書いちゃったけど後半はウトウトしてて字幕を見逃したりもしたので、たぶんいろいろ間違ってると思います…。眠たかった。

GHOST IN THE SHELL10

あらすじ

ネットに直接アクセスする電脳技術が発達すると共に、人々が自らの身体を義体化(=サイボーグ化)することを選ぶようになった近未来。脳以外は全て義体化された少佐率いるエリート捜査組織「公安9課」は、サイバー犯罪やテロ行為を取り締まるべく、日夜任務を遂行していた。そんな中、ハンカ・ロボティックス社の推し進めるサイバー技術の破壊をもくろんだテロ組織による事件を解決すべく、少佐は同僚のバトーらと共に捜査にあたるが、事件を調べていくにつれ、自分の記憶が何者かによって操作されていたことに気付く。やがて、真の自分の記憶を取り戻していく少佐は、自身の驚くべき過去と向き合うことになる。
(以上Wikipediaより)

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感想

映像はすげえ頑張ってたと思います。「攻殻機動隊/GHOST IN THE SHELL」を実写化することに全力を注いでいた印象。けどファンも初心者も楽しむことができる作りを目指した結果、よくある大味なハリウッド映画になっちゃって画は完全に攻殻機動隊なのに肝心のゴーストが宿っていない!って感じに…。単に模倣しただけのダイジェスト版みたいな。

「コレ見たことある!!」っていうシーンの連続で再現度がやたら高いので、そこは驚かされました。オリジナルに忠実なカットが何度も何度も…。『イノセンス』や『アヴァロン』などの小ネタも充実していたので押井守リスペクトの精神は感じました。見どころはビジュアル表現だけかも…。

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予告見て最初に思ったことは「スカジョが太い!ムチムチしすぎ!」ってことだったんですが、後半の展開で真実が明らかになっていって、最後はムリヤリ納得させられた感じです。草薙素子って言われるとすごい違和感があるけど、そもそもコイツって少佐だけどミラ・キリアンだし素子ではないんですよね(義体は)。なのに前半は素子のオマージュで再現再現再現…。なので、少し混乱させられました。「少佐」っていう役名(?)は良かったのかも。

演じてるスカーレット・ヨハンソンはもうちょい感情抑えてほしかったです。ずーっと眉間に皺寄せてムッとしてるので、そのへん少し気になりました。「私って何?」なストーリーだし、わかりやすいといえばわかりやすいけど、そこのわかりやすさはなくても伝わると思うし心理的な葛藤が表情にバンバン出ちゃうのはなんとなく違うような…。人間味がありすぎる。

あと、少佐の肉襦袢は分厚いし見た目面白すぎるし、肉々しすぎ。どうせなら普通に全裸で暴れ回ってくれたほうがもっと喜べたなー。ただの願望ですが。

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人体破壊が激しいシーンはちゃんとやってたと思います(義体だけど)。腕が引きちぎれるシーンなんかは見応えありました。できれば首が吹っ飛ぶところも再現してほしかった…とかいう「ないものねだり」的なことはいっぱいありますが、一応は見たいもん見せてもらえた感じです。香港(?)の街並みとか光学迷彩の表現は素直にスゴイと思ったし、けっこう好き。

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で、個人的に一番期待していたのはクゼだったんですが、いやー、盛り上がんなかった…。最大の敵みたいな扱いのわりにはアクションシーンでの見せ場がほぼないし、わざわざ登場させた必要性もそこまで感じなかったのでけっこう残念。物足りなさも感じました。地味だし、存在感もあまり感じず。

マイケル・ピット大好きなのでなんか悔しい気持ちになりましたよ…。少佐との関係性は、断定はできないし予想だけど「知ってた!」という感じ。もっと濁して表現しても良かったかもしれない、わかんないけど。

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ぶっちゃけ後半は眠たい内容でした。暗いし。中盤からは編集の雑さも感じたりなんかして、部分部分でシーンを切り張りしているようなガチャガチャした印象も受けました…。あと、薄っぺらくて説明的でクドい。「わかりやすい」ことが本作の売り!らしいんですが、うーん、そこも微妙だった。

オマージュ以外のアクションシーンはかなり凡庸だしハッキリ言って面白くなかったです。何か斬新な見せ場がひとつくらい欲しかった気もします…。スカジョは動きにキレがないしドタドタしてるし、面白かったのはたけしの銃殺くらいかも。既存のハリウッドアクション連発って感じで、あんまり良くない。

GHOST IN THE SHELL05

たけしは何喋ってんだか分かりずらくてセリフも棒読みだし存在感ないし全然ダメだ!って思ってたんですが、終盤の銃撃戦で突然『アウトレイジ』の顔になるのが面白かったです。起用された意図も理解できたような気がします…。もう人殺す役だけ死ぬまで演じ続けてほしい。

TAKESHI IS YAKUZA!!って感じで笑った。

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現実が原作の世界観に近づいてきているため、90年代に比べると多少は伝わりやすくなってる内容だとは思うんですが、どうしても話の古臭さは感じてしまい、やっぱりちょっと今更感ありました。ずっと言われてた実写化がようやく実現したのは嬉しかったんだけど、「攻殻機動隊/GHOST IN THE SHELL」と同じことやったからといってそれがスゴイのかというと…どうなんでしょう。脚本の改変部分に対しても驚きがないし…。「過去に何をしたのかではなく、これから何をするのかだ!」みたいなメッセージは好きでしたけどねー。

物語のテーマは2ndの「草迷宮」が元ネタだったみたいです。

アイデンティティ云々がテーマだったらもうちょっとゴーストに対して切り込んでいってほしかった気もします。尺の都合でしょうがない部分もあると思うし、娯楽SFなので哲学的な小難しさが切り落とされてしまうのは理解もできるけど、そこが攻殻機動隊の核となる一番面白いところじゃないの?とも思うので、どうなんだろう…。派手な見せ場ももちろん必要だけど。

てか、もういっそのことストーリーもオリジナルのままでよかったんじゃないの?とすら思いました、最終的に。再現だらけの内容なんだし!

GHOST IN THE SHELL07

予告を見た時点でけっこうガックリきてしまって、「一応観とくかー」程度の気持ちで鑑賞したためか「ふざけんな!」とはまったくならなかったし、想像していたよりは良かったです。もっとヒドイ映画なのかと思ってた(笑)。

個人的には、桃井かおりが登場するところが一番好きだったかも。なるほど…と納得したし、都合のよさも最高。あと、ロボゲイシャが意外と楽しかったです(ぶっ壊れ方とか)。いまだに芸者って人気あるんですかねー、海外では。

GHOST IN THE SHELL03

福島リラが演じていたことは観終わってから知りました。


↑予告


『T2 トレインスポッティング』感想。(R15+)

彼らが選んだ―20年後の「未来」。
原作未読の感想です。
個人的評価:★★★★★★☆☆☆☆ 60点
T2 TRAINSPOTTING
2017年04月08日公開/117分/イギリス/映倫:R15+
原題:T2 Trainspotting
監督:ダニー・ボイル
出演:ユアン・マクレガー、ユエン・ブレムナー、ジョニー・リー・ミラー、ロバート・カーライル、ケリー・マクドナルド、シャーリー・ヘンダーソン、ジェームズ・コスモ、アンジェラ・ネディヤルコーヴァ、アーヴィン・ウェルシュ、アイリーン・ニコラス、ポーリーン・リンチ

名作『トレインスポッティング』の続編作品。めちゃくちゃ大ファンってわけでもないんですが、中学生くらいの頃にレンタルで洋画を観始めた時期に観た映画なので多少は思い入れもあって公開初日に観てきました。とりあえず客席はすごく混んでましたねー。やっぱり人気あるのかな。

なんか文句ばっかりの感想になっちゃったのでファンの方は読まないで!

T1 TRAINSPOTTING

あらすじ

スコットランド、エディンバラ。大金を持ち逃げし20年ぶりにオランダからこの地に舞い戻ってきたマーク・レントン(ユアン・マクレガー)。表向きはパブを経営しながら、売春、ゆすりを稼業とするシック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)。家族に愛想を尽かされ、孤独に絶望しているスパッド(ユエン・ブレムナー)。刑務所に服役中のベグビー(ロバート・カーライル)。想像通り?モノ分かりの良い大人になれずに荒んだ人生を疾走する彼らの再会、そして彼らが選ぶ未来とは――。
(以上公式サイトより)

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感想

嬉しさと悲しさが半々くらいでかなり微妙な気持ちになりました。序盤は本当に懐かしい友人と再会した感覚で「うおおおおお」って感じで少し泣きそうになったりもしたんですが…当り前だけど演者はみんな20年の歳を取っていて、ヨボヨボまではいかないけど若干枯れていて、しかし中身はあの頃のまんま。最終的にはなんだか絶望的な気持ちになって終わりました…。

前作はウンコ撒き散らしたり赤子の死体が首回したり主人公が便器に潜ったりする素敵な薬中映画でした。なので、T1に比べちゃうとそこまで過激な描写はなかったと思いますT2。個人的にトレスポに求めていたものはほとんどなくてオッサンの同窓会ですね。疾走感もほぼなし。モッサリした演出でした。

底辺を這いつくばってなんとか生きてるだけみたいなクズだった彼らは中年のオッサンになっても「ふつうの生活」を実現できず、選択する自由すらもなくなっていき、さらに悲劇的な雰囲気に…。若さが無いためか惨めさが際立って見えました。負のオーラが滲み出てるというか覇気がないというか、笑えない感じに衰えた印象。それが良くもあり悪くもあり…何とも言えず。

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ダニー・ボイルって何かにつけては登場人物を走らせたがるんだよなー!!と思っていたら、今回も冒頭から全力疾走だったので笑いました。12000ポンドを仲間から奪いオランダ・アムステルダムへ逃亡した主人公・レントン。それから20年が経ち、ヘロインはやめたものの今度はエンドルフィン中毒のためにジムで毎日ランニング漬けの日々。昔は路上を走って車にぶつかっていた彼ですが、今回はジムのルームランナーの上で快適にランニング。

そんなある日、心臓発作のために倒れてしまう…。

ここの対比は上手いと思いました。同じことをしていても過去と現在じゃ事情がまったく違い、長い年月が経たことも感じられたし、見せ方も良かった。

T2 TRAINSPOTTING14

勤めている会社が合併するため学歴のない自分のリストラを確信し、オランダで結婚したものの妻とは不仲…。そんな時に体がダメになり、もう何もかもが絶不調なレントン。そして20年ぶりに故郷のエディンバラへ帰ってくるのだが母親は亡くなっており、人生のドン底に…!

そんな主人公が昔の仲間と再会し、謝罪したり金を返したり強盗したりランニングしたりしながら当時の友情とか生きる希望を取り戻す(?)までを描いた群像劇だったと思います。レントンが選んだものはアディダスだった。

T1ではレントンの心情しか語られませんでしたが、今回は4人が対等に扱われている感じがしました。なので、それぞれのナレーションも多いです。話の軸となるのはレントンとスパッドの関係性で、最終的には過去に仲間を裏切った報いとして命を狙われるハメになりベグビーとの対決になっていきます。実質の主人公はスパッド(禿げてた!)と言ってもいいのかも。

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密閉嘔吐描写はサイコー!!

T2 TRAINSPOTTING13

懐古主義的なもんをバンバン感じる映画でした。

T1の回想シーンが多すぎてどうなの?と思いましたよ…。しかもどれも描き方が中途半端な上に要所要所にしつこく入れこんでくる感じ。ファン向けに作るのならそういうの排除しても全然伝わると思うし、あくまでも万人に向けての作品だからこうなってんだろうけど説明セリフの多さには興醒め。そういうのが無くてもいきなり話を始められるのが続編映画の魅力だとも思うんですが、「前回のおさらい」が長い上に細切れで…正直しんどかった。

親切といえば親切なんだけど、過剰な接待は嫌いです。

今を楽しむために映画館まで金払って来てんのに「昔は良かったよね、現在は最悪だけどさー☆」とか言われてもなあ(画的に)。監督自身がトレスポの大ファンってのは理解できるしオマージュの数々は嬉しいんだけど「T1サイコーだったよね~!」みたいな映像はもっと削ってもよかった気がします。

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「昔は良かったなぁ…」ってよりは「昔はクソだった、でも今のほうがもっとクソだ!」って感じの内容かもしれない。どっちもあんまり変わんないけど。

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テーマは前作と変わらず「人生を選べ」。けど、結局はクズが何を選んだって行き着くところは同じなんですよねー。なんかもう死にたくなる…。

セリフでベラベラ「みんな何かの中毒だ」的なこと言うわりにはしっかり依存を見せてくれる場面が少ないのも気になりました。ドラッグとかセックスとか酒とか暴力とか何でもいいんだけど、要素としては提示するのに描き足りなかったと思います。ヘロインも1シーンだけ(だったと思うけど自信ない…)。なので、鑑賞後に食い足りなさが残りました。唯一ガッツリと描いてるのは「懐古への依存」なんだけど…。

つまり一番描きたいのはそこで、ドラッグは添え物なのかも。

T2 TRAINSPOTTING12

SNSに批判的な意見を投げつけといて若者文化でちゃっかり楽しんじゃってんのもどうかと思いました…。過去を美化しつつ今も楽しむって、どっちつかずで中途半端だし言動と行動が微妙にブレてる部分もなくはなかったような…。

T2 TRAINSPOTTING11

クズだらけの主演陣とは違って唯一まともな大人に成長していたケリー・マクドナルドの登場は嬉しかったです。”世界一汚いトイレ”が一瞬映って喜ぶのと同じ感覚の単なるファンサービスにも思えましたが、素直に嬉しかったなー。結局テンション上がったシーンのほとんどが前作T1の引用というかオマージュ的なやつだった気もしてきました…。T2のオリジナル部分にはそこまで魅力を感じなかったというか、むしろ悲しい気持ちになることが多かった…。脚本があんまり良くないのかも。ジョン・ホッジは苦手。

ゴミの山はしつこいし、これ見よがしな象徴はあんまり好きじゃない。

T2 TRAINSPOTTING03

ぶっちゃけベグビーに対しては不満タラタラです。ぼくの好きなベグビーではなかったです。T1の時のような手のつけようのないイカれた奴みたいな印象はあまり感じませんでした。激しく老いたし、丸くなった気がします。脱獄方法なんかは普通に気が狂ってて面白かったんだけど。出所後はキチガイっぽさが抑えられてて、老いを感じさせるような仕草もありました。

インポテンツでバイアグラに頼るようなベグビーは見たくなかった。オカマが相手でもギンギンにそそり立つのがベグビーなのに!

突然ブチ切れる変な奴だった頃のピリピリした空気感が好きだっただけに辛い過去を明かされるのはそんなに嬉しいことでもありませんでした…。その瞬間から人間味が増してしまい、トランクに閉じこめられたままフェイドアウトってのも哀れに見えました。仲間への報復は果たせないし、スパッドには甘々だし、息子への感動するような接し方も生ぬるく思えました…。レントンからのベグビーへの想いも響かなかったし泣きたくなった。「いや原作がこうだからしょうがない!」とか言われたら何も言い返せないけど。

ただ、ロバート・カーライルを久々に映画館で見れたのは嬉しかったです。

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55歳だからしょうがないと思うけど、だいぶ太りましたよねー。

T2 TRAINSPOTTING06

終盤はもう気持ち離れすぎてて全くノレず…。いかにもな感動エンディングでWolf Aliceの『Silk』なんかが流れてるのもホントにもう最悪で…最後の最後にレントンが自室でレコードをかけて『ラスト・フォー・ライフ』バーン!!って、ズルすぎ。途中イントロだけ寸止めで聴かせたりしていたので、「いつ流れるんだろうな~」と思っていたらラストでした。

しかもT1で禁断症状が出た時の演出がロングバージョンで延々と…。レントンはドラッグやらずにトリップ状態(?)に突入して、そこに過去の映像なんかカブせてくるから、もう卑怯。ダニー・ボイルは卑怯なやつ。イギー・ポップが流れれば問答無用にテンション上がるしさあ…。やっぱりズルい!

個人的には、踊り狂うにしてもせめて静脈にキツいヘロインを一発ブチ込んでほしかった…。このラストが「俺にとっては郷愁こそが麻薬だッ!」とかいう意味だったらマジで最低(イギー・ポップ=快楽=麻薬なら納得するかも)。

T1 TRAINSPOTTING01

T3はさすがにないと思うけど4人とも長生きしてください。

T1 TRAINSPOTTING02

「トレインスポッティング(1996)って面白かったんだな!」ということを再認識させられたので、前作を引き立てる作品としては良い映画なのかもしれません。T2のおかげでT1が以前よりさらに楽しめるような作りにもなってると思います、たぶん。

いろいろ不満もあるけど、みんな元気に生きてたし「まあいいか」という気分にもなりましたね。ぶっちゃけ予告の時点で感動して感涙してしまったので、その分本編に期待しすぎたんです…。全体的に展開は面白かったしスパッドの隠れた才能にはビックリしましたよ。演出と劇伴はダサいと思う部分もあったけど、むしろそこが魅力でもあったりするので、うーん…すごくどっちつかずな感想になりました、すいません。当時とセンスは変わってないと思う。

ということで、「人生を選べ」とかホントどうでもいいし深く思い悩んだって結果は同じ。あと、青春時代なんかクソでいい。ありがたがって懐古するのはクズのやることだッ!…と、アーヴィン・ウェルシュが言っているかどうかは分かりませんが、個人的な解釈はそんな感じ。

Dazed and Confused (1)
Dazed and Confused (2)

『バッド・チューニング』は人生。

porno

原作の『ポルノ』はポルノ映画製作でひとヤマあてようと企む話らしいです。どの程度の脚色してんのかも気になりました。国内版は絶版っぽいですが…。読みたいなー。気になる。


↑予告


『パッセンジャー』感想。

90年早く目覚めた2人の壮絶な運命――。
映画史に残るスペース・スペクタル・ロマン(!?)。
個人的評価:★★★★★☆☆☆☆☆ 50点
Passengers
2017年03月24日公開/116分/アメリカ/映倫:G
原題:PASSENGERS
監督:モルテン・ティルドゥム
出演:ジェニファー・ローレンス、クリス・プラット、マイケル・シーン、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシア

モルテン・ティルドゥム監督の新作なので鑑賞。

うーん、かなり荒唐無稽でメチャクチャな話でした。そんなに嫌いでもないんですが…かといって良作とは思えないし、ほとんどバカ映画(悪い意味で)。デートムービーっぽい王道のSFラブロマンスですよねー。脚本はグーパンチでツッコミ入れたい感じ(笑)。残念。

Passengers09

あらすじ

近未来、5,000人を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号が、人々の移住地に向かうべく地球を出発。到着までの120年、冬眠装置で眠る乗客のうちエンジニアのジム(クリス・プラット)と作家のオーロラ(ジェニファー・ローレンス)だけが、予定より90年も早く目覚めてしまう。絶望的な状況を打破しようとする二人は、次第に思いを寄せ合うものの、予期せぬ困難が立ちはだかり……。
(以上シネマトゥデイより)

Passengers01

感想

ベタというよりは陳腐って感じ。「宇宙で孤独」という古典的なテーマなので物語への既視感が強かったです。なんか見たことあるなーってシーンの連続。映像はそこそこキレイだったし後半のツイスト部分なんかには驚かされたりもして全体的にはそこそこ面白かったんですが、平凡な映画だと思いました…。

ツッコミどころの多い内容だし結末に対しての薄っぺらさなども感じてしまい普遍的で重々しいテーマのわりにはノリが軽い…。登場人物の行動には納得のいかない部分も多かったです。終盤は都合の良すぎる展開がヤバかったー。

Passengers04

もしも冬眠中に目覚めちゃったら!という一発ギャグみたいなツカミで始まり「あれ?起きたの俺だけ?エッ?みんなまだ寝てる!到着地まで90年もかかるって…マジかよ。死ぬまで宇宙船の中で過ごさないといけないじゃんオレ…。二度寝もムリそうだし、孤独すぎて死にたい…ううう、寂しいよー。もう自殺しようかな…宇宙空間ちょー怖ええええ。あっ!イイ女がいるッ!好きだー!起こそうかなあ…うーん(ウジウジ)いや、ダメだ!」と葛藤する主人公。

Passengers03

予告では「二人だけが目覚めてしまった!」と思わせているのですが、実際に冬眠から目覚めてしまったのは主人公ただ一人。なぜそんなことになったのかというと、移住惑星への移動中に運悪く宇宙船が隕石と衝突してしまい、その結果システムに異常が発生したため。それによって主人公の冷凍ポッドだけが開いてしまい、「起きたのオレだけかよ!」という状態に。

船内での娯楽は、酒とダンスとバスケと映画鑑賞(?)くらいだったと思います。貧乏エンジニアなので飯は一番安い残飯みたいなやつ。自分の今いる状況を理解して絶望し、寂しすぎてニートみたいになっちゃうクリプラ…。

Passengers10

自殺の方法は、宇宙ならでは!という感じ。

Passengers11

ジェニファー・ローレンスの寝顔に一目惚れしたクリプラは、手始めに彼女のデータを漁って大興奮。夢を語るオーロラの動画をオカズに飯食ってたりするのでホントもうすごい…。この状況で自慰行為描写を排する不自然さは激しく引っかかったけど、万人向け映画だしそれはしょうがないのかなー。一番強く感じたのは孤独云々より性的欲求でした!

ヒロイン・オーロラを発見した主人公は唯一の話し相手であるロボットに相談しながら起こすべきか否か悩みます。目覚めさせてしまえば自分と同じように船内で一生を終えることになってしまう。そのため「ダメだ!絶対ダメ!」と思いながら一年以上も孤独な生活に耐えることに…。

Passengers07

しかし、ついには想いを断ち切ることが出来ずに彼女を目覚めさせてしまう。

そして、起こしたことは彼女にバラさずに仲良くなっていく姑息なクリプラ。葛藤する描写は弱かった気がします。もっと厳しくしてもよかったと思う…。予告の時点でジェニファー・ローレンスが目覚めることは既に知ってしまっていたので「起こすの?起こさないの?」というドキドキ感はとくにありませんでした…。

他に誰もいない状況なので二人の恋愛はトントン拍子に進んでいき、気づけばラブラブ状態。一人で宇宙空間へ出た時は絶望で涙を流した主人公でしたが、今度はオーロラと二人で宇宙服に着替えて無重力での遊泳デートを堪能。壮大な宇宙の星々を見て彼女が感動しているタイミングであっさりと口説き落とすことに成功し、彼氏彼女になったら即セックスという流れ…!

キスシーンで宇宙服が邪魔になって「キスしづらいな…」と思った直後に全部脱ぎ捨てて全裸で抱き合ってるのとかすごく好きでした。

Passengers12

ヒロインは文学系の知的ドスケベ(にしか見えなかった!)。ただ、濡れ場は見せ場としては弱いし乳首も隠してるので30点。カメラアングルが残念。

セックスしてからラブラブなデートを重ね、出合ってからさらに一年が経った彼女の誕生日に愛の告白をしようとする主人公。しかし、そんな最悪のタイミングで隠し事がバレてしまう…というラブコメお約束のパターン。

目覚めさせたことがバレるシーンは「愛した男は自分のストーカーだった!」みたいな感じで最高だし、貧乏エンジニアが美味い朝飯を奢ってもらうシーンなんかは女に養ってもらうヒモ感があって良かったです。

かっこつけてシリアスぶった演出してないで思い切ってコメディにしちゃえばよかったんじゃないかなーって思いました。笑いになるシーンを台無しにしていた印象です。もったいない!

予告を見て最初に連想したのは下の動画とか↓



題材が古典的なので元ネタありそうですよねー。

Passengers02

密閉空間でロボットしか話し相手がいない状況は『月に囚われた男』、宇宙で孤独ってのは『オデッセイ』、宇宙空間でのダンスは『WALL・E』、二人だけの世界ってのは『惑星ソラリス』、終盤で主人公が一躍ヒーローになるのは『アルマゲドン』(?)からの『ゼロ・グラビティ』の宇宙遊泳、最後の植物は『サイレント・ランニング』!?(ただの思い込みの羅列ですが)

とにかくもうSF要素テンコ盛りで、いろいろと連想してしまって新鮮味は全く感じられませんでした。宇宙という限定された空間だから意図せずカブってしまう部分もあると思うのでそれはべつにいいんですけど、そういうものと比較するとテーマに対しての回答も人物の描き方も浅すぎて…中途半端。

shining

密閉空間で頭がおかしくなる男というシュチュエーションは『シャイニング』を意識していたのだと思います。バーテンダーの服装なんかは完コピしているし、有名な床の柄なんかも再現してました…。つまり、クリプラがヒロインを目覚めさせたのは気が狂ったゆえの行動ってことでしょうか?

個人的にはもっと強烈なインパクトがほしかったです。狂気が足りない…。

Passengers05

唯一斬新だと思ったのはプールのシーン。

システム異常によって無重力装置にも不具合が発生し、ジェニファーが船内のプールで泳いでいると突然無重力になってしまい、軽く溺れます(笑)。

映画で登場するプールはなんとなく不吉なイメージがあっていつも注目してるんですが、これは面白くて好きでしたよー。なかなか見ない状況だし水の表現も良かった。気を抜いてる時に突如襲ってくる恐怖って見てて楽しいですね。他の二人との対比もうまくいっていたしローレンス・フィッシュバーンの浮かなさ加減はちょっと笑いました。怖さは感じませんでしたが…。

Passengers06

後半に入ってから3人目が起床します。これも宇宙船のシステムの不具合で。このへんからご都合主義がヒートアップ!

「え…3人目が登場するの!?」ってことで最初はテンション上がりました。しかし最終的にはローレンス・フィッシュバーンの使い勝手が良すぎて失笑。正直、この人はパスコードを教えてくれるだけの存在だったと思います。で、果たすべき役目を終えたら死んでいく…。使い捨て感ハンパナカッタ。

本作に登場するキャラクターは、バカップルとロボットとパスコードおじさんの4人だけ。大オチでアンディ・ガルシアなんかも登場しますが、カメオ出演だしセリフもなかったと思います。

Passengers13

その後、不具合の原因を探るべく調査を開始する二人…。宇宙船にデカい穴(2年前に破損したやつ)が開いていることにようやく気付いた彼らは人力でお手軽に修復してしまう。スゴイ。

さらに調べてみるとリアクター(原子炉?)が大変なことになっており正常に戻すためには船外に出て手動で扉を開けて排熱しなければならない。さもなければ乗客<パッセンジャー>の命が危険に…!というややムリヤリな展開…。

「オレの命なんかどうだっていい!大切なのは5000人の命を救うことだ!」

クリプラは汚名返上のため立ち上がり、溶ける覚悟で船外活動。ここで燃え尽きて死ぬのか…と思ったら意外と強度抜群の宇宙服で熱に耐えてしまい、瀕死状態で不具合の修復に成功。さらにオーロラの助けにより宇宙空間をスイスイ泳いで帰還。しかし、力尽きたクリプラは死んでしまう…。

Passengers14

「孤独になるのは絶対イヤ~」って感じで泣き叫びながらオーロラは死亡したクリプラの蘇生に挑戦。船内に連れ帰り人体蘇生装置で生き返らせようとしたところ、ハイテク機器によって案外簡単に復活してしまうクリプラ…。

「おおー!死ななかった!…え、結局死ぬんかい!と思ったら生き返った!」と、心の中で叫んでいるうちにクライマックスは終わりました…。

監督はどうしてもジェニファーをタンクトップ姿にしたかったようですね。

Passengers16

さらにその後、冷凍睡眠のポッドが使用可能に…!(爆笑)

「調べたらやっぱり冬眠できるっぽいけど…どうするぅ?」

「現在を選ぶ?未来にする?」とヒロインに新たな選択肢が!


・・・もうどうでもいいよッ!マジで勝手にやってろって感じでした!

Passengers08

オチでのヒロインの選択も理解できませんでしたよ。「アンタのしたことってほとんど殺人と一緒よ!」という気持ちを貫いてほしかった。クリプラが起きて、さらに誰かを起こさないと一人ではどうにもならず…おそらく結果的には全員死んでいたんだろうし言いたいことは分かるんだけど、都合良すぎ。

もし自分がオーロラだったらクリプラに「ありがとう、あなたはヒーローよ」とか言い残して速攻ポッドに入って未来に飛びますねー。船内暇そうだし。

ハッキリ言って過度な救済は面白くないし、最終的には二人とも頭オカシイ人にしか見えませんでした。主人公に対して甘すぎる。

Morten Tyldum

というわけで、あんまり面白くなかったです!

『イミテーション・ゲーム』を撮った監督の作品とは信じられないくらい酷い出来。…と思っていたんですが、脚本が『プロメテウス』の人と知ってすべて納得。ジョン・スペイツは要注意っすね(個人的なブラックリストに追加)。

キャラクターに都合が良いってのもあるんですが、作家にとっての都合の良さが見え見えで…それがイヤ(気に食わない)でした!

起承転結がハッキリしていて話が分かりやすいのは良いんですが、展開してからの流れがどれもこれも予定調和なので盛り上がりに欠けるし平坦なイメージが強かったです。孤独になったことの絶望も二人でいることの幸福も過剰さがほとんどなくて退屈だし、ノレそうでノレずにモヤモヤしたまま終了…。

Passengers15

ツッコミどころとはまた別に、若干気になる点もいくつか残ったまま終わってしまいました。地球に送ったメッセージは55年後に返信があったのか?等々。

なので消化不良感もスゴイ…。伏線っぽいもんを散りばめておいて回収せずに終わる気持ちの悪さ…。ダメ。暫定ワースト。

speed

オーロラの病名:ストックホルム症候群


↑予告


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