いけにえ映画狂い

外国映画の感想文。お気に入りシーン備忘録など。ネタバレしてます!

コメディ

『カン・フューリー』感想。(劇場未公開)

超カッコイイぞ、カン・フューリー!80年代は最高だッ!ヒトラーを殺せ!!
個人的評価:★★★★★★★★★☆ 90点
Kung Fury
2015年05月22日公開(カンヌ)/31分/スウェーデン/映倫:---
原題:KUNG FURY
監督:デヴィッド・サンドバーグ
出演:デヴィッド・サンドバーグ、ヨーマ・タコンヌ、スティーヴン・チュウ、レオポルド・ニルソン、アンドレアス・カーリング 

いやーーースゴイ。ほぼ何も知らずに観ました。けっこう前の映画ですが…。動画は下に貼ってあるんで未見の方は(いないか)観てみてください↓↓



あらすじ

発端は一年前のことだった。警官であるカン・フューリーは相棒のドラゴンと共に謎のカンフーマスターを追っていた。ところが犯人を逮捕して気を緩めたドラゴンは一瞬でぶった斬られ殺されてしまう。ドラゴンはカン・フューリーにとって父親のような存在だった。許せん…許せんぞ!怒りに燃えた彼はカンフーマスターに銃を向ける。しかし、引き金を引こうとしたその瞬間、落雷の直撃を受けて気を失ってしまう…。意識を失った際に見た光景、それは少林寺でカンフーに励む僧侶たちの姿だった。目を覚ますとカン・フューリーの肉体は変異し、そこにはカンフーの精神が宿っていた…。なぜなら彼は選ばれし者だったからだ。相棒を殺されて悲しみに暮れるカン・フューリー…。その時、彼は誓った。超カンフーパワーで犯罪と闘うことを。

Kung Fury05
彼の名はカン・フューリー。世界一の警官だッ!!

感想

最高すぎ!!!!!!!ありがとうカン・フューリー!!!!!!!!

映画ってわけわからなくてもいいんですよね、面白ければ!という超当り前なことに気づかされたというか再確認させてくれるような映画でした。とにかく面白すぎ。むっちゃ好みですよー、こういうの。荒唐無稽で素晴らしい。超絶おバカな映画だコレは!感動した!全編にハイテンション!良い!好きだッ!

Kung Fury01

舞台は1985年、マイアミ。街は荒れ果てていた。殺しが日常と化したこの街では警官さえも無力だ…。そんなある日、ゲーセンで「クソゲー」と罵られたゲーム機が暴れ出す事件が発生。駆けつけた警官はなす術もなく殺人マシーンの餌食となってしまう。

ということで、冒頭から超スゴイ展開。ゲーム機(筐体)がトランスフォームして人を襲い始めます。連絡を受けたカン・フューリーはカウンタックに跳び乗って現場へ急行。そしてゲーム機とのおもしろバトルに突入し、月をバックに成層圏で殴り合いコイツを撃破…。もうね、こんなこというとアレだけど…ツッコミどころ満載ですよッ!見てて叫びだしたくなった(笑)!

クソゲーに文句垂れただけで頭部をぶっ飛ばされるガキ!素晴らしいぞ!

Kung Fury11

車に乗るだけでも超変だし、いちいち面白いことやろうとしてる感じ。普通のことしてもつまんないから異常なことやろうぜ!っていう精神かなー(笑)。まあ、そんな感じの世界観です(どんな感じだ)。「なんだこれ!?」と思う部分はすべて面白味といってもいいかもしれない。

なぜ相棒が半分恐竜かって?そのほうが面白いからだッ!的な。退屈なシーン一切なし。なので至福の30分でした。最高に濃密。面白いシーンだけがギュッと詰まってる感じ。「ありえねー!!」の連続です。とにかくスゴイ。

Kung Fury06

相棒のドラゴンが殉職したため、一匹狼になったカン・フューリー。しかし、署の規則のため新たな相棒と組まなければならない。で現れたのが、半分人間半分トリケラトプスのトリセラコップ(すげえ)!ファンタジー要素も充分!

「こんなヤツと組めるかよ!オレは警官を辞める!」

カン・フューリーはアッサリ辞職しようとする…。しかしそんなとき、現代にタイムスリップしてきたヒトラーに署長が撃ち殺されてしまう(ここは電話の使い方がスゴイ)。正義の人カン・フューリーはこれに激怒。「許せんッ!」ってことで最強のハッカーであるハッカーマンと共に調査を開始。手がかりである電話番号を逆探知したところ犯人がヒトラーであったことが判明する…。

Kung Fury02

ヒトラーが時を越えて現われた目的は、”選ばれし者”を抹殺するためだった。

1940年代、ヒトラーはカンフー王者だった(後に名前をカン・フューラーに改名…したらしい)。最強の座を狙うため、何年もの間ナチスで人体実験を繰り返すヒトラー。が、ついにはカン・フューリーの技を習得できず、突然消息を絶ってしまう。だがしかし、ヒトラーはカン・フューリーになることを諦めてはいなかったのだ…。

一子相伝的なやつなんでしょうね、たぶん。

Kung Fury14

ヒトラーの企みに気付いたカン・フューリーは、計画を阻止するため奴を抹殺することを決意する…。カン・フューリーのいる時代は85年。ということで、ハッカーマンの発明したタイムマシンで過去へとタイムスリップすることに(キーボードに乗ってスケボー感覚で)。

Kung Fury08

ビジュアルも画質も音楽も80年代テイスト!

Kung Fury15

そして無事タイムワープに成功!…かと思ったらトラブルのためにバイキング時代へとやってきてしまう…。さらに、到着早々レーザーラプターに襲われるハメに…。「クソっ、戻りすぎたぜ!」とか言ってるカン・フューリー。

もう面白すぎて、言葉が出ない。ニコニコしちゃう展開の連続!

そんな時、タイミングよく現われるヴァイキングの女。彼女に命を助けられて事なきを得たカン・フューリー。それから忠告に従い谷から非難し事情を説明したところ、「じゃあ、あの人に頼めばいいんじゃね?」ということで、雷神ソーを紹介してもらい、なんとか目的の時代へ行けることに。ちゃんとお礼にデカい携帯電話をプレゼントするところはさすがだ!バーバリアナ様も素敵!

Kung Fury04

で、ついにクライマックスです(全編クライマックスみたいな内容だけど)。最大の見せ場はナチスとの決戦シーン。ここもちょー最高!

恐竜、ロボット、半獣人、バイキング美女、雷神ソー…という濃すぎるメンツが大集合。さらに主人公がカンフー警官で敵がナチスなので、ものすごく濃厚な画面です。マジでいろんな要素ぶち込んだ闇鍋状態なんで、まあ見てるだけで幸せな気分になりますよ。ともかく、ナイスでイカすゴキゲンな仲間たち。ここからはこいつらがナチをバッタバッタと殺害しまくる…だけかも(笑)。

見せ場の連続っていうか、もう止まらないハイテンションっぷり。敵は基本的に雑魚しかいないので、殺される要員という感じ。とにかく爽快な人体破壊のオンパレードだし、悲壮感はゼロ。やってること滅茶苦茶なんだけど、キャラはそれぞれ信念持って行動している気がするし、そこもイイ。ナチ皆殺し映画の傑作だと思いますよ、個人的には。

登場人物みんな好き。なんでだろ…。アホっぽいからかな(褒めてる)。

Kung Fury12

後半の決戦シーンで個人的に大好きだったのは、カン・フューリーがガンガンナチ兵をぶっ倒していくこのシーン。格ゲー(横スクロール型)のパロディをやってるんですよねー、たぶん。敵の動き方なんかも相当意識していると思います。画面がなんとなくスーファミっぽいし、ここは90年代かも…。

奥行きがほとんどなくて、奥に群がるナチ兵達は完全にモブに徹しているのが面白かったです。あと、ここでもけっこう残酷な殺し方しているのが笑えました。首蹴り千切ったり、首捥ぎ取ったり…とにかく首!やっぱ生首量産タイプの殺人鬼が一番わかりやすくてサイコーっすね(個人的には超好みです)!

カン・フューリーの動きもキレッキレで良かったと思う!カッコイイし!ナチ兵をスケボーにしてスイスイ滑ってバラバラにした後ヌンチャクにするのとか爆笑!!!!!!!!発想が狂ってる!!!!!!!!

Kung Fury13

終始ギャグが炸裂してました。タンクでナチを叩き潰して「Tank you」とかゲーム機を破壊して「ゲームオーバー」など、トドメの際の捨て台詞も秀逸。基本的に殺人はほぼほぼ全部ギャグ。「気骨が足りん。”骨抜き”だ!」で脊髄ごと頭を引っこ抜くシーンが一番好きかなー。声も最高にシブイっすね!

捨て台詞はシュワルツネッガーを意識してると思う。絶対そう!

Kung Fury16

しかし、最強すぎるカン・フューリーも機関銃には勝てなかった。ヒトラーに撃ち殺されてしまうのです…。死後の世界はアニメーションで表現されます。

死亡した途端にカン・フューリーは突然アニメ化され、スーパーカーに乗ってコブラとカーチェイス。しかも、だだっ広い砂漠の真ん中で…と思ったら次は場面が転換し、デジタル?宇宙?に移動して、テレポーテーションして天国へ到着………………書いてても意味が分かりませんが、たぶん見れば状況は理解できると思います(できないかも)。なんかのゲームが元ネタなのかな。

Kung Fury09

人の好さそうな善コブラ(神様?)と出合うカン・フューリー。状況を説明してくれるコブラ。一刻も早く現世に戻りたいカン・フューリー。それはムリだと言うコブラ。「ふざけんな!オレは警官だぞ!公務執行妨害だ!法を犯している!殺す!」ってことでコブラを蹴りつけてやっつけたら、なんとカン・フューリーが甦っちゃう…って、なんじゃそりゃ!と思ったら、ハッカーマンが傷の手当てをしてくれてたんですね。いいやつだなあ。

で、目が覚めたカン・フューリーは、ヒトラーのチンコをぶん殴ってバーン!
ぶっ飛んだヒトラーが地面に倒れたところをソーがハンマーでペッシャンコ!

「跡形も無いな…。」よし、任務完了!世界から脅威は去った…かと思われたのだが、現代に戻ったカン・フューリーはデジャヴを感じ気づいてしまう……ヒトラーがまだ死んでいなかったことに!!

おしまい

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『マイアミ・バイス』、『ロボコップ』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、『ターミネーター』等々のパロディがテンコ盛りの超絶80年代ムービーでした。もちろんVHSを感じる瞬間も。全編が80年代への愛情で満ち溢れていて、もう大感動&大爆笑。作り手側の「オレはこれが好きなんだ!これがやりたいんだよ!」っていう熱い想いをガンガン感じる良い映画だなって思いました。好きなもんブチ込んだ上でちゃんと面白くなってるから、そこがスゴイ。個人的には大傑作。スウェーデンにも中学生みたいな監督がいたんですねー。

続編やるのかな?やんないのかな?わかんないけどやってほしい!!

「お前泣いてんの?」「泣いてないよ…」「泣いてんだろ!」「泣いてないってば…」ということで、最高だったぞカン・フューリー!!!!

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まだまだ見たいよー。2シーズンくらい見たい。

Kung_Fury
ポスターデザインも超かっこよかった!!


『トッド・ソロンズの子犬物語』感想。

人生なんて孤独でみじめで悲しいもの、ダックスフントも人間もそれは同じ。
可愛いワンコ(♀)が飼い主の勝手な都合でヒドい目にあい続ける話…?
個人的評価:★★★★★★★★★☆☆ 80点
Wiener-Dog
2017年01月14日公開/88分/アメリカ/映倫:G
原題:WIENER-DOG
監督:トッド・ソロンズ
出演:エレン・バースティン、キートン・ナイジェル・クック、キーラン・カルキン、ジュリー・デルピー、ダニー・デヴィート、グレタ・ガーウィグ、トレイシー・レッツ、ゾーシャ・マメット

五年ぶりになるトッド・ソロンズの新作です。いやーもう大満足。毎度のことですが今回も露悪的な内容。なので賛否はあるでしょうが、個人的には傑作だと思いましたよ。すごく面白かったです。『ダークホース』では「皮肉な笑いが好きなんだ」ってことをネタにしていましたが、ますます開き直っていってるような気がします。犬好きの方が観たら激怒するようなオチでしたー。

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あらすじ

病気がちな子供を持つ母親(ジュリー・デルピー)は、ダックスフントを新しく家族として迎えるものの、あまりにも問題ばかり起こす子犬に音を上げる。結局その子犬は色々な家庭をたらい回しにされることに。子犬は映画学校の講師を兼任するピンチに陥った脚本家(ダニー・デヴィート)や、ひねくれた女性(エレン・バースティン)のところを渡り歩き……。
(以上シネマトゥデイより)

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感想

4つのエピソードを描いたオムニバスに近い作品だと思います。主人公は飼い主から次の飼い主へと渡り歩いてゆくダックスフント。元ネタはブレッソンの『バルタザールどこへ行く』だったようです。そちらの主人公は一頭のロバで飼い主に振り回されながらも苛酷な旅を続けてラストでのたれ死んでしまう…というブラックコメディです。ソロンズの犬は美しく眠るように死んだりはせず、どストレートな死にざまでした!笑っていいのかダメなのか迷うような…そんな映画です。犬が主人公と書きましたけど、おそらく実質の主人公は犬を取り巻く”腐った人間たち”でしょうねー。

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最初の飼い主は小児ガンを患った少年レミ。彼の父が誕生日にダックスフントをプレゼントしてくれるのです。すぐに仲良くなるレミでしたが、犬のエサにグラノーラ・バーを与えたことで大変な事態に……。結果的にはそれが原因となりダックスフントを手放さなければならなくなってしまうのです。

いつものように今回も冴えない人間しか登場しません。人々は各々なにかしら問題を抱えており、いつもなにかに悩み苦しんでいる…。

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少年の母親役のジュリー・デルピーは最高でした。いちいち毒々しいっていうか、犬への愛情がなくて面白かったですね。「去勢」とか「安楽死」の説明も雑だし、言ってることは正しいんだけど伝え方が最低で…。久しぶりに見たら下半身デブのしわくちゃオバサンに変貌していたのも衝撃的でした。役作りのために美貌を崩壊させちゃったんでしょうか…。デルピー完全に太ってた。

父親役には『KILLER JOE』を書いた劇作家トレイシー・レッツ!(好き!)

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ファレリー兄弟でもやらないようなウンコ描写はサイテーすぎて最高。長々と映し続けて『月の光』流すから、ここのシーンはさすがに馬鹿かと思った…。しかし”不快”を表現しているのなら上手くできているのかも!

「お前らドビュッシーかけときゃ美しく見えるんだろ!?」という皮肉かな。

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どうでもいいけど似てた。『ストーリーテリング』では『アメリカン・ビューティー』のパロディなんかもやってたし、これもそうなのかな…?

内容は真逆といってもいいかも。ってか、単に似ちゃっただけだと思うけど。肝心な部分が描けてないぞリンクレイター!というあてつけならスゴイ。

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その後、レミの両親はダックスフントを安楽死させることを決意して、地元の動物病院に預けることとなるのですが…。そこで働いていた助手のメガネ女子が犬を抱えて脱走してしまう!彼女のアダ名は”ウィーナー・ドッグ”(犬面)

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最初にグッときたのはやっぱり「ドーン・ウィーナーが生きていた!」ってことですねー。ドーンといえばソロンズの劇場デビュー作『ウェルカム・ドールハウス』の主人公だったメガネの女の子です(あの頃はまだ小学生でした)。『おわらない物語 アビバの場合』の冒頭はドーンの葬式でした。なので、彼女は自殺して死んだのだと思っていたのですが、実はまだ生きていたのです!!獣医の助手として元気に働いているなんて!!(役者はヘザー・マタラッツォからグレタ・ガーウィグに変わっていましたが…)

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もうそれを確認できただけでも嬉しかったですよ。その上、当時は彼女をいじめていたブランドンも登場。二人はスーパーでバッタリ再会し、最終的には、なんとなくイイ仲に…。ブランドンにダウン症の兄弟がいたという事実も驚きでしたし、演じていたキーラン・カルキンも合っていたと思います。一見するとボンクラに見えますが、寂しげで目に光がない感じがとても良かった。

第2話は比較的希望に溢れる終わり方。登場人物たちが前に進もうとする意欲も多少感じました。まだまだ続きそうな話だし次作があるのなら次も見たい!

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世の中にはダウン症や障害者だっているわけで、そういった人達を排除せずに登場させるトッド・ソロンズはやっぱり愛に溢れた映画監督だと思いますよ。良くも悪くも無差別なんじゃないのかな。夫婦がダウン症のために避妊治療を受けさせられているというのは強烈な一撃でした。犬にも人にも子供にも老人にも容赦なし。しかし、これが現実だし、”普通”なんでしょう。世界は残酷。

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個人的にはダニー・デヴィートが主役の第3話目が一番面白くて好きでした。脚本を売り込もうと必死になるがプロデューサーに軽くあしらわれてしまい、講師を勤める映画学校の学生たちには小バカにされる。みじめで悲しい老いた脚本家が爆弾犯になるまでのストーリー。泣きたくなるくらい冴えない小男。けど、おかしくて笑ってしまう。よくできた喜劇だと思います。

若い頃に一本だけ映画を当てた老人を嘲笑う学生、彼もまた一本の映画が当たっただけの人間なのです。老人と同じような人生を歩むことになるかもしれないが、将来に不安などは感じていない様子…。全体的にはシニカル全開な内容なんですが、この辺のリアリティが一番あったかなー。「好きな映画は?」と問われて「大量に観すぎて思い浮かばないなあ」と延々と続ける学生なんかは単純に「こういう奴いるよなー!」って感じだし、しつこくて面白い!

ソロンズは長編デビュー作『Fear, Anxiety and Depression(恐れと不安と憂鬱)』でウッディ・アレンと作風が似てると言われたことを未だに根に持っているんでしょうか…。アレンが”前時代的”とか”化石”だとか台詞でボロクソに言わせちゃうのはそのまま自虐ネタになっているわけで…NY大学で教鞭をとっている監督ですし、脚本家のモデルはソロンズ自身に間違いないでしょうね。「俺の悪口を言う批評家は爆死させるぜ??」っていうことなのかなー(違うと思うけど)。マジで最高。

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最後の飼い主はエレン・バースティン。豪華なキャスティングですよねー。

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人生は枝分かれした選択肢を諦めていく作業なのです…。もし○○していたら現在はどうなっていたのだろう、と過去を悔いるように未来を見つめるエレン婆。もし芸術の勉強を続けていたのなら、孫に金を無心するだけの虚しい今も存在しなかったのかもしれない。ヌードモデルになって股を広げる人生は本当に正しかったのだろうか…?

死が近付いてくるとこんな心境になるのかも、とも思えましたが、なんとなく虚しいエピソードでした。人はいつでも後悔している生き物だし、それは死ぬまで終わらない…。あまりにも哀しくて虚しくてやるせない。

けど、きっとそんなもんなんでしょうね…。人生はなるようにしかならない。どれだけあがいたところで脚本家が考える「もしも・どうする」が通用しないのがノンフィクションの世界。オムニバス方式のように見えて、実はそれぞれ微妙に繋がっているのも面白かったです。第4話で犬は「ガン(cancer)」と名付けられていましたし…。それにしても、過去の自分が死ぬ間際にお迎えに来るって…イヤだなあ、会いたくない。悪夢でしょ!

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ラストでダックスフントはトラックに轢き殺されてペチャンコになりました。その後も後続の車にしつこく何度も踏み潰されて(4回だけだけど)、死骸の皮は再利用されてロボットになりましたとさ………おしまい。

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キレイゴトばっかり見たいわけじゃないですし「あー現実ってこうだよなぁ」と思わせてくれるトッド・ソロンズの視点はやっぱり面白い。ハリウッド映画が描かない(こともないけど)悲惨な現実を過剰に誇張しすぎずストレートに見せてくれている感じがします。犬がトラックに轢き殺されて死ぬなんてことリアルでは日常茶飯事だろうし、まあ、カワイソウではあるんだけど、人生が終わる瞬間だって似たようなものなんでしょう…。

アンモラルな終着点を想像すれば逆に予定調和かもしれません。ですが「人間って素晴らしい」みたいな安易な結末に落ち着かないのは、個人的に好きですね。死んだら全部が終わり。死体が何に利用されようと知ったこっちゃないですよ。それは人間も犬もどんな生き物も同じ…。

大オチは、正直「そこまでやる!?」って気もしましたけどね(笑)。

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登場するのは”普通”(以下?)の人間たちです。人間なんて誰でも不幸を抱えているもので、人には言えないネガティブな部分を包み隠さず切り取って映像化しちゃうのがトッド・ソロンズなりの優しさなのかなと勝手に思ってます。他人の不幸を見て激昂したりウンザリしちゃう人も多いとは思いますが、それを見て救われる人だっているわけで、そういう人に向けて作品を撮り続けているんですよね、たぶん!

ソロンズの映画にいつも感じることは、ネガティブな人間(小児ガンの少年、犬面の処女、シャブ中の元いじめっ子、ダウン症の夫婦、苦悩する脚本家、メクラの老女など)を肯定してくれるような優しい視点と価値観のフラットさ。そこは全作品に共通しているような気がします。誰にでも生や死や幸や不幸は平等に訪れる、さらに言えば「良い」や「悪い」が無価値であるということ。人生にやたらと意味を付けたがる…そんな映画への皮肉にも思えます。

そういう点も今回はキッチリ一貫していたのかなと。安心しました。
・・・ということで、大傑作。

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ちゃんと首チョンパも見せてくれた!(サービス精神としか思えない)

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あと、インターミッションも最高でしたよ。88分しかない短めの映画なんですが、中盤で休憩時間があるのは笑いましたわ…。トッド・ソロンズってこんなベタなギャグもやるのか!ってことで嬉しくもあり、おかしかったですねー。その間ダックスフントはいくつかの修羅場を渡り歩きながら飼い主から飼い主へと荒野を放浪。いやー面白くないんだけど笑っちゃう。


↑予告


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トッド・ソロンズの最高傑作!

『人魚姫(2016)』感想。

超サイコー!!ありがとうチャウ・シンチー!!
個人的評価:★★★★★★★★★☆☆ 80点
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2017年01月07日公開/94分/中国・香港/映倫:G
原題:美人魚 Mermaid
監督:チャウ・シンチー
出演:ダン・チャオ、ショウ・ルオ、キティ・チャン、ジェリー・リン、バイクー、ウェン・ジャン、リー・ションチン、クリス・ウー、ルー・ジェンユー、ツイ・ハーク

今年の映画一発目、観てきました。もう最高。見てよかったです。かなり笑いました、そして最後は泣けた…。娯楽ファンタジーって感じですね。幼児からお年寄りまで万人が楽しめるタイプの作品だと思います。超絶クダラナイ部分もずいぶんな量あるので「アホっぽい映画なんか大大大嫌い!」という人にはオススメできませんが、個人的には大好きです。今回は贔屓目な感想です。

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↑これが不快じゃなければ楽しめるはず!!

あらすじ

青年実業家のリウ(ダン・チャオ)はリゾート開発のため、香港郊外の海辺にある美しい自然保護区を買収。しかし、そこには絶滅の危機にひんする人魚族が住んでいた。人魚族は、刺客として美しい人魚のシャンシャン(リン・ユン)を人間の女性に変装させて送り込む。ところがリウとシャンシャンは惹(ひ)かれ合い、やがて人魚族の存在が人間に知られてしまう。
(以上シネマトゥデイより)

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感想

前半はガンガン笑わせ最後にホロッと泣かせてくれる、いつも通りのチャウ・シンチー映画!という印象でした。もう終始ボケまくり…。スゴイ。ギャグがいつも以上に超絶ベタだった気がします。冒頭の見世物小屋から漫画みたいなドタバタコメディ。小学生が喜びそうなギャグの連打が凄まじかったです…。なので『少林サッカー』が苦手な人には絶対に合わないと思います(そもそも観に行かないか)。序盤で失笑しちゃうと最後まで観るのがキツいかも!

毎回感じるんですが、シンチーの映画はテンポが最高。勢いがあってポンポンお話が進んでいくのが気持ちいい。ファンタジーなんだしリアリティの水準は低めでも問題ないと思います。二人が突然歌いだしても違和感なんかまったく感じませんよッ(笑)。

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ストーリーは超シンプル。リゾート開発を目論む大富豪たちが海を埋め立てたことで、人魚族は棲み処を奪われてしまう。復讐に燃えた彼らはキレイな海を取り戻すため、人間たちに戦いを挑んでいくのです。しかし、殺害しようとしていた首謀者の男が話をしてみると意外とイイヤツで、次第に愛情が芽生えてしまい「やっぱり殺せない!」と葛藤する人魚が主人公。環境破壊から自然を守る!というメッセージもありますが、基本的にはボケまくることがメインの爆笑(するかどうかは人それぞれだけど)コメディ映画だと思います。

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ヒロインのシャンシャンが問答無用に可愛かったので、もうそれだけで観てよかったと思えましたッ。登場した瞬間は「えっ、この子が主人公…」って感じ(今回も女優をブスメイクで汚すシンチー)だったんですけど、徐々に魅力的に見えてきて、最後は「死ぬな!絶対死ぬなよ!」という気持ちでした。顔はスー・チーっぽさありますね。ヒョコヒョコ歩きが可愛すぎた!!

対する敵の大ボスは巨乳に磨きをかけたキティ・チャン(サイボーグっぽくなってきたなあ)。シンチーの女優選びは今回も最高。

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ストーリーの大筋はファンタジーの王道をいってると思うので、まあけっこう意外性もなくフツーなんですが…面白いのはその過程で巻き起こるドタバタっぷりだと思います。全体的に笑いどころの多いコメディで、中でも一番好きなのはタコ兄が脚を調理されるシーンですねー。魚体破壊ギャグ(?)が素晴らしかった、展開がとにかくアホっぽい!

暗殺するターゲットであるリウの会社へ料理人に扮して潜入するタコ兄(石垣佑磨にしか見えない)。得意の足技でリウを抹殺しようと試みるのだが、その場の流れでタコ脚を食材として調理されるハメに…!

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タコ焼き食いたい!

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タコ焼き食いたい!

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うぎゃああああ!!!!!

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タコ脚を焼いたり、切ったり、叩き潰されたり、終いにはミンチにされてしまう…。キツい修羅場を必死に耐えるタコ兄。食材を擬人化した『ソーセージ・パーティー』のつらみなんかも思い出しました。シンチーのブラックなギャグが炸裂しているシーンだと思います。その後、拷問の痛みに耐えかねたタコ兄は墨を吐いて周りを攪乱し逃亡!

5本の脚を失い3本脚になってしまうタコ兄…。

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直後、第三の脚をチンコっぽくズボンの穴から出して……というシーン。

下ネタが下品になりすぎないのもシンチーの特色なのかなと思います。ジャッキーのHギャクと同じように家族で見ても気まずくならないような笑いに徹している気がします。ウンコを漏らしたりゲロ吐いたりっていう定番のオゲレツシーンもしっかりあるのですが、直接的には見せすぎない。不快にならないための配慮もちゃんとしていました。丁寧な演出だったと思います。タコ兄の脚切断ギャグで笑えたのは、そのちょっと前に草むらで危険な目にあっていたからだし、しっかり前フリもやってるのは脚本の上手さじゃないかなと思います。チャウ・シンチーの笑いは根が真面目というか、なんとなく誠実さを感じるんですよねー。クダラナイのだけど実はしっかり計算して練りに練ったバカギャグなんじゃないでしょうか。

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↑このシーンも大好き!ジョン・ウォーターズ風の髭は付け髭だった!

それから、リウが警察に被害届けを出しに行くシーンも楽しかったです。拉致されたリウは魚人族の棲み処(廃船)で殺されそうになるのですが、シャンシャンの助けによりなんとかその場から脱出することに成功。命の危機を感じた彼はひとまず警察署に駆け込むのだが…。

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リウ「人魚がいるんだ」
警察「人魚って?」
リウ「半分が人間で半分が魚のアレだよ!」

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警察「コレ?」
リウ「ちがうッ!左右じゃない!上下だ!」

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警察「なるほど、これな?」
リウ「顔が無いじゃないか!」

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警察「?」
リウ「そうじゃない!・・・・・・それに女の人魚だ」

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警察「これで女だ」

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リウ「・・・・・・・・・・・・ッッッ!!!!」

言語が通じなくても見てれば理解できるような古典的なボケとツッコミの応酬でした。かなりベタなギャグが多かった気がします。まあ警察にからかわれているんですが、ここのシーンはけっこうしつこい。賛否両論ありそうだな~と思いました。しかし本国でヒットするのも納得です、とにかくいちいちわかりやすい。世界に通じるオーソドックスなコントですよねー。

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残酷描写は、かなり生々しさ満点。前半の楽しげなファンタジーから虐殺へのギャップがデカかったです。なので、わりとショッキングでした…。血生臭い死傷が一気に押し寄せてきて、吐き気を催すレベルで容赦なかったです。ソナー被害にあった魚人がいくつか映し出されるのですが、どれも悲惨。ソナーで被害に遭う瞬間の描写はなく、すでに死にかけの魚人たちがバンバン登場。終盤はもっと酷くて、活きのイイ魚人は容赦なく銃殺していく人間たち。陸に上がっても武装した隊員にはなす術なく殴打され、リンチで弱らされて生け捕りにして袋詰め…って、ちょっとやりすぎ(笑)。魚人族の人権はゼロですね(当り前なのかな)、完全に魚扱い。グロってほどでもないんですが…。

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多民族を躊躇なく銃殺してしまうシーンは極度に排他的でアウシュビッツみたいでした。もう水中がホロコースト状態。バンバン撃ち殺されて、子供魚にも容赦なし。マッドサイエンティストがいるのはお約束ですよね。

水中で蠢く大量の魚人たちが登場するファーストショットは、”畸形”の見世物小屋みたいで、ぬるぬるしたCGで生臭さ倍増だし、ここはけっこう衝撃的。絵的には面白かったです。あと、シンチー作品のCGは浮遊感が毎回独特だな~と思いますね(笑)。大好きです。

sakana

強力なソナーで湾に生息するイルカを追いはらうのですが、これが最高。魚が嫌がる音波を出してるだけなのかと思ってたら小魚(金魚とか)なんかは爆発しちゃうんですよね…。ここをちゃんと見せてくれたのは嬉しかったですよ。しかも魚だけじゃなく人間にも効くらしく、終盤リウがソナーを浴びる緊迫感と説得力もこれで増した気がします。ソナーで弾ける魚人族も見てみたかったですが、それだとさすがにグロくなりすぎちゃうのかな…?

mermaid22

ラスボスは女の嫉妬に狂ったキティ・チャン。衣裳も女スナイパーみたいで…スゴイ。なんだか二時間サスペンスみたいな決着のつけ方で安っぽさも含めて面白かったです。結末は王道ファンタジーっぽいハッピーエンドでした。皆が幸せになる良いラストだったと思います。タコって自己再生能力があったんですね、そういえば…。忘れてました!

bijingyo

シンチーの過去作と比べるとちょっと”笑いを置きにいった感”も強かったですし、ぶっとび具合は『少林サッカー』、ギャグは『食神』、恋愛描写は『喜劇王』に劣るかも…とは思いますが、比べてもしょうがないしどうでもいいか!超サイコーでしたよッ『人魚姫』!ツッコミどころは満載ですしクダラナイと言われちゃったら何も言い返せないんですが!

テーマはハッキリしてるし作りは真面目。どれだけ大金があろうともキレイな空気と水がなきゃ生きていけない!というメッセージもストレートで清々しいです。どっちかというと環境破壊への警鐘よりも人種差別への残酷さのほうを強く感じました。下半身が魚だったら衝撃的だし超ビビるけど、あの殺し方は酷かった…。富豪集団なんだから大量に生け捕りにして商売にしてやろうとか考えそうなもんですが…と、冷静に考えているといろいろと疑問に思うこともありますが、細かいアラとかどうでもよくなっちゃうくらいパワーのある映画だと思いました。

ということで、個人的にはベタでわかりやすい笑いが好みなので、こんな感じの感想です。今年はシンチーの前作『西遊記』の続編が本国で公開されますし、次も楽しみ!日本公開がいつになるのか気になります!

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常連俳優たちの嬉しいカメオ出演もありましたよ!ラム・ジーチョン!

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爆笑してるだけのティン・カイマン!

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ツイ・ハークの大物感も威圧的でハマってた!

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正直言うと、終盤のババア大暴れがあと10分くらい長く続いてくれたらもっと楽しかったです。戦闘シーンは短めでした。戦闘方法が津波で敵を飲み込んで壁に叩きつけて殺害するという不謹慎(でもないか…)なものなんですけど、アジア歴代興行収入No.1の大ヒット映画なのに日本での上映館数が少なかったのとは関係ないですよね……。たぶん何も関係ないです…。


おしまい


↑予告

『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』感想。(PG12)

青春群像劇の大傑作!チンコで心の扉を開け!最高だ!
個人的評価:★★★★★★★★★☆ 90点
EverybodyWantsSome
2016年11月05日公開/117分/アメリカ/映倫:PG12
原題:EVERYBODY WANTS SOME!!
監督:リチャード・リンクレイター
出演:ブレイク・ジェナー、ゾーイ・ドゥイッチ、グレン・パウエル、タイラー・ホークリン、ライアン・グスマン、ウィル・ブリテン、J・クィントン・ジョンソン、ワイアット・ラッセル、オースティン・アメリオ、テンプル・ベイカー、ターナー・カリーナ、ジャストン・ストリート、フォレスト・ヴィッカリー

いやーもう最高。最初っから最後までもう本当に最高すぎて、自然と顔がニコニコしちゃうような映画でしたー。エンドクレジットが終わる最後の一瞬まで本当に幸せ。「こんなに幸せな映画があんのかよ!」って言いたくなっちゃうくらいに本気で楽しい青春映画。大好きです。面白すぎたので珍しく映画館で二回観ちゃいました。「最高」以外の感想が出そうにないです…。

今回は「ここが好き!ここが最高!」とかそういうことしか書いてません!(毎回そんな感じですが…)

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<あらすじ>
1980年夏、ジェイク(ブレイク・ジェナー)は、野球の推薦入学生として大学に通うことになる。本格的に授業がスタートする前の数日間、彼は新しく知り合ったチームメイトたちと共にどんちゃん騒ぎを始める。話題は野球や女子たちのこと、好みの曲や下品なジョークまでといろいろで……。
(以上シネマトゥデイより)



オープニング曲はザ・ナックの『マイ・シャローナ』

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主人公の新入生・ジェイクが野球部の寮に転居してくるところから映画は始まります。入部する野球部は全米屈指の強豪チーム。舞台はテキサス。

個性的なチームメイトと共に毎晩ディスコで踊って酒を飲み、カワイイ女の子を口説いて回る。寮に戻るとマリファナ吸ったりゲームをしたりビールを飲んだり…。描かれるのは野球エリートたちのユルい日常。ジェイクが彼らと過ごす新学期の授業が始まるまでの3日間(+15時間)の物語。事件らしい事件はほとんど何も起こりませんし、青春映画特有の「ボクって何?」みたいな葛藤なんかもほぼ描かれません。そんなことよりも、とりあえず遊べ!酒を飲め!ナンパ!セックス!ちんこトーク!みたいな…最高におバカな内容。

「女の子とヤりたい!」

そんなリアルな若者の願望を濃縮したような「これぞ青春」な青春映画。人生で最も輝いていたあの頃…。永くは続かないからこそ、今という一瞬を全力で楽しめ!ってことなんだと思います。

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所謂リア充が主役ということで、「羨ましいよ!ふざけんな!」と言いたくなるような内容なんですが(ボクにはこんな青春はなかった…)、それでもキャラクターたちにムカつかず、むしろ愛おしくなっちゃうのは、やっぱり皆揃って強烈にアホっぽいからです(笑)。

アメリカのコメディ映画によくあるような底抜けにバカバカしいものではなくて、あくまでも「こんなやついるよな~」とギリギリ思える程度のアホっぽさ。映画で度々描かれてきた鬱屈した青春の悩みなんかよりも「いや、学生時代ってもっとみんなバカやってるでしょ?」という説教臭さゼロの清々しさが素直に楽しかったです。こんなに爽快な青春映画も珍しいんじゃなんでしょうか。青春とはウジウジ悩んで屈折することだ、そう思っている人間にとっては眩しすぎる映画だと思います。

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ちゃんとオッパイも映る!(この内容で隠してたらブチ切れてる)

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もう序盤から超楽しいんですよねー。車内で繰り広げられる会話の応酬が超おバカ。「ちんこ」という言葉がここまで連呼される映画も珍しいと思います。さらに、そんなしょうもな~い下ネタを真面目に論じていたりするから余計にアホっぽくて最高。初対面の先輩たちに連れ回されるこの感じはどこか懐かしく、何かが起こりそうなワクワク感もビンビン感じました。『ラッパーズ・ディライト』→ナンパ→ちんこトークの流れを見て、「あっ、オレ絶対この映画大好きだ!」と思った人は少なくないハズ!

「マイ・シャローナ」でこの映画のイメージが決定づけられた感じもありました。最初から最後までずーーーっと、女の子大好きッ!なボンクラ感。しかも主役がスクールカーストの頂点に君臨しているジョックス軍団。モテない底辺のオタク野郎なんかは出てきません。あえて排除して描かなかったのだと思います。なぜなら、スポーツという武器を取ってしまえばジョックス軍団も同じ人間で、考えていることは文科系とたいして変わらないのです。型にハマったような典型的な描かれ方はしていませんでした。

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野球部の寮での酒とセックスは禁止(しかしアッサリとルールを破る)。

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『6才のボクが、大人になるまで。』のボクのその後を描いた続編みたいな予告ですが、どっちかというと空気感は『バッド・チューニング』に近い気がしました。本作の時代設定は『バッド・チューニング』の4年後ですし(これの精神的続編であるという記事もいくつかありました)。リンクレイターの半自伝的内容というだけあって共通するものも多かったです。ケツを叩かれていたあの青年が成長して大学に入学したのだと思うと嬉しくて泣きそうになっちゃいます…。『ビフォア~』シリーズや『バッド・チューニング』のように今回も人生のある時間を一部分だけ切り取ったような話でした。リンクレイター節全開だと思いましたよ!

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野球部の面々は皆個性的で愛くるしいヤツばかり。頭の中は「女の子とヤりたい!」という願望と「他人に負けたくない!」という競争心。ティーンの男子にとってセックスしたいのは普通だし当り前。むしろ健全なことに思えます。そんな性的欲求をストレートに描いている感じがして、まったく厭味がなかったし、全員激しくアホっぽい(笑)。見ている間中そこに映る人間たちが心の底から愛おしくなってしまう…。大袈裟に書いているようですが、本当にそんな感じでした。自らの欲望に純粋だからなのか、愛着しか湧きませんでしたよ!

野球の技術的なものなどはあまり描かれません。野球以外のゲームをやっている時間のほうが長いくらいです。とにかく全員が死ぬほど負けず嫌いな性格で、それは野球に限りません。「くだらないゲームにこそ人間の本性が出るのさ」というセリフはまさにその通りだと思いました。トップまで登り詰めるには卓球やデコピンで負けて本気でブチ切れるくらいのハングリーさが必要なのかもしれませんね。強豪校の精神性には説得力がありました。

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みんな最高だし大好きなんだけど一番好きなキャラクターはフィンでした。

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チンコで心の扉を開いてご満悦なナンパの天才・フィン。憧れるわー。

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「若い時は時間を大切にしろ」なんて説教臭いことは言いません。惹き句にもなっていた「後悔するのは、やったことじゃない。やり残したことさ」というようなセリフも、具体的に何をするかというと下着での取っ組み合いだったりするからもう最高。欲望をぎゅうぎゅうに詰め込んだ上にすべてキッチリやってしまっている、にもかかわらず厭な感じがないという奇跡みたいな多幸感に溢れた傑作だと思います。

パーティーはトッド・フィリップスの『プロジェクトX』みたいな盛り上がりよう。下着の女の子たちがツイスターゲームをやっていたり、外では男女で泥んこレスリングが行われる幸せすぎる空間。「あれもこれも全部やりたい」を全部やれちゃう男たち。羨ましいけど憎めない!!!!

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あー、羨ましい………羨ましい羨ましい羨ましい!!

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80年代(というより70年代!?)の音楽、ファッション、ゲームなども楽しかったです。生きた経験がないのに、なんだか懐かしくなってしまうのが不思議でした。そこまで関係は深くないんだろうけど、この感覚には『ブギーナイツ』を思い出さずにはいられませんでした。
夜が来るまでの退屈な午後も全力で遊ぶチームメイトたち。ゲームはいろいろあって、バスケットボール、ビリヤード、ピンボール、卓球、拳ゲーム(これは超サイコー!)など。何もせず無為に過ごすなんて時間がもったいないだけだ!という感じ。見ていると、まさにその通りとしか思えません。

それから”名古屋撃ち”という翻訳にグッときた。

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マリファナを吸っていても対決になっちゃいます。「誰が一息でいっぱい吸えるか~」「大学記録を作ったぜ、エヘヘ」とか、もうなんか可愛らしくて愛おしくなってきます。あと、ここのシーンではリンクレイターらしく(?)宇宙哲学なども語られていて、脱力しながら気持ちよくなっちゃう感じです。

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恋愛描写は必要最小限に描いていた印象です。お互いが一瞬で恋に落ちちゃう感じがとてもイイ。よくあるラブコメみたいに無駄なかけひきもないしホントに清々しくて潔い展開でした。ヒロインであるビバリー役のゾーイ・ドゥイッチはリー・トンプソン(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』)の娘!!!!(知らなかった~)

電話してる最中にビバリーがずっと落書きしているのとかカワイイですよね。

WhenHarryMet Sally

『恋人たちの予感』を思い出しました(よくある二分割だけど…)。

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それからカート・ラッセルとゴールディ・ホーンの息子であるワイアット・ラッセルも出演していました。『22ジャンプストリート』での演技を見ていたので存在は知っていましたが、観終わるまでまったく気づきませんでしたよー。これはけっこう嬉しかったです。30歳のドラッグ野郎の設定でしたが、実年齢も30歳だったみたいですね。ずっと大学生でいたかったという感覚もこの映画を見ればすごく共感できます。こんな楽しい生活を体験してしまったら年齢を偽ってでも学生になりたい!すごくわかるよその気持ち!

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予告では野球のシーンがけっこう強調されていたのですが、ほとんど野球してません(笑)。最後まで野球しないのか…と思っていたら一応は練習シーンもありました。野球の技術を魅せつけるような感じではなく、ここも描かれるのは負けず嫌いなキャラクターたちの人間性。それと新入生歓迎の儀式も残酷で面白かったです(あれ目に当たったら失明しそうで怖いよね…)。

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登場人物は皆、半端じゃなく負けず嫌いで、どうしようもないことで喧嘩してしまうのですが、わりとアッサリと仲直りしてしまう。男っていいな~と思えました。グチグチ引きずらずに素直に「ごめんね」って言える関係性がすごく素敵でした。それに対して「気にすんなよ」と普通に返してくれるのもグッときます。初日にちょっとした諍いでギクシャクした関係となっていた新入生も、部室でのイタズラ遊び(ケツを顔につける)を経て、気がついたら仲間の輪に戻っていたりする。変にドラマチックにせずに坦々と流れていく空気感は「これぞ日常!」という感じで、なんかよかったですね。実際はきっとこんなもんですよ。

自分は野球未経験なので「俳優たちの野球経験の有無」はわからないしどうでもよかったです。リンクレーター自身が野球経験者ですし、『がんばれベアーズ』の経験もあるため見せ方は巧かったんじゃないかと思ってます。ちゃんと強豪野球部に見えました。

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ジェイクの高校時代のチームメイトも好きでした。彼は野球をやめてしまった人間で、再会するとパンクロッカーになっています。「野球やめちゃったけど俺はサイコーに幸せだぜ!ひゃっほー!」って感じなんですよね。スポーツエリートから脱落してしまった存在もしっかり描いていて、しかしまったく悲観的ではなく「こっちはこっちでサイコーだぜ!」って感じなのが嬉しかったです。ジョックス軍団だけが幸せな世界なのではなく、ナードもスラッカーも皆入学初日までは平等に心をときめかせているのです。

ディスコ、カントリー、パンクと音楽のジャンルにこだわらずどんなノリでも楽しめるというところも素敵でした。何に対しても固執せず自由に楽しんでいるのがすごくよかったです。差別がなく分け隔てなく付き合える人種としてのジョックスは新鮮でした。ディスコもカントリーもパンクだって演劇だって面白そうなものはなんでもやる、こういう柔軟性と適応能力(とくにフィル)には憧れちゃいます。

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パンクのライブでサークルモッシュ!(若者に混じるオジサン感)

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「バカやってるだけで楽しかったあの頃はもう戻ってこないんだな…」とかそういうこと考えてしまうと少し寂しくなっちゃうかもしれません…。野球しか取り柄のない、まだ何者でもない存在であることに薄々気づいてしまっている不安感。もし将来プロ野球選手になれなかったら、今後どうなっていくんだろう…。そんな葛藤も描かれていましたが、この映画は「そんなこと考えてる暇があったら今を楽しめ!」ってことを言ってるんだと思うんですよねー。悲観的な描写は微塵もないし、もうずーーっと見ていたいような映画でした。描かれるのは8月の終わりの金曜日から月曜日の朝までの3日間。おそらくこんな宴が毎週末、あと4年間も繰り返されていくのでしょう。

何気なく過ごす日常の一瞬一瞬が輝いて見えてしまうのは、見ている誰もがいつかは終わることを知ってしまっているからなんでしょうね…。だからこそダラダラ過ごした無駄な時間が貴重なものに思えてくる。しかし大学生活はこれから始まるのです。これを”まだ4年間もある”か、”たった4年間しかない”と感じるかで微妙に観た人の感想が分かれそうな気もしました。序盤の「時間ならタップリあるさ」というセリフ(最初のナンパの直後)とは対照的に「永くは続かない」というセリフもあって、メッセージを押しつけず、どう思うかを観客の側に委ねていた印象です。

richard-linklater

リチャード・リンクレイター監督の映画はけっこう好きでほぼ観てるんですが(2作だけ未見)、これが最高傑作だと思いました。個人的には一番好きです。仲間と過ごした意味のない日常が後々振り返ってみると実はとても貴重な時間だったりするんですよね。何も起こらないし、ただ下ネタを言い合って女の話ばかりしていただけなのに、なぜあんなにも楽しかったのか…。この主人公たちと自分との共通点なんてほとんどありません。むしろ正反対の所謂”リア充”。それなのに見ていて嫉妬心が湧かないのは、やっぱりみんなアホっぽかったからだと思います。変にかっこつけずありのままを曝け出しており、そこが本当に素晴らしい。もしかしたらジョン・ヒューズへのリスペクトもあったのかなー。

SNSもスマホもない時代。テクノロジーの進化によって失われてしまった”人との関わり”を描いていたようです。TVさえも排しているのが象徴的でした。

EverybodyWantsSome4

"開拓すべき場所は自分でみつけるもの "

ラストで目を閉じる主人公はすでにこれを理解していたんじゃないかな。

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しかし、そんな良いオチを破壊する超絶アゲアゲなエンドロール!!

キャラクターが入れ代わりながら順番に自己紹介ラップをしていくというもの。ここが一番テンション上がるシーンといってもいいです。もうねー、完全にアホでしょ(笑)。マジで最高。鑑賞後に残ったのは「超絶楽しい」という感情でした。ありがとう、リンクレイターと愉快な仲間たち…。


おしまい

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今を楽しめ!!!!どうせそのうちみんな死ぬ!!!!


↑予告


ホントどうでもいいですが「ヤルかヤラナイの人生なら、俺はヤル人生を選ぶ」っていう『テレクラキャノンボール2013』のキャッチコピーを思い出しました。言ってることは同じだったと思いますよー。ウンコ食わない人生よりウンコ食った人生のほうが素晴らしいに決まってる!年齢は関係ない!!

『ソーセージ・パーティー』感想。(R15+)

強烈にブッとんでてヤバい作品でした!大好きです!
個人的評価:★★★★★★★★★☆ 90点
SausageParty
2016年11月04日公開/89分/アメリカ/映倫:R15+
原題:SAUSAGE PARTY
監督:コンラッド・ヴァーノン、グレッグ・ティアナン
出演:セス・ローゲン、クリステン・ウィグ、ジョナ・ヒル、ビル・ヘイダー、マイケル・セラ、ジェームズ・フランコ、ダニー・マクブライド、クレイグ・ロビンソン、ポール・ラッド、ニック・クロール、デヴィッド・クラムホルツ、エドワード・ノートン、サルマ・ハエック

公開初日に観てきましたー。東京では連日満席で大盛り上がりみたいですが、自分が観た回は半分以上空席でした(田舎なので)。初めて予告を見たときの衝撃がデカすぎて、もうそれだけで今年のベスト級!ってくらいに大好きで、そのぶん過度に期待して、公開日は本当に待ちに待ったという感じでした…。

で、感想なんですが、いやーまあスゴかった。マジで最高。観てる間中ずっと興奮しっぱなし。爆笑シーンの連続だし、ものすごく残酷オゲレツなシーンも多々あり、オエッてなったりホッコリなったり歓喜したりで、もう何もかもが幸せすぎました。ただ、個人的には大好きですけど、賛否両論になるのはしょうがないような内容ですよねー。半端じゃなく狂ってます。『ソーセージ・パーティ』というタイトルもスラングとして解釈すると「男(チンコ)だらけのパーティ」という意味だそうで、凄まじいド下ネタでしたよ!

声優陣は米コメディ映画俳優(アパトー・ギャングなど)が大集合って感じで、クレジットを眺めていたらラストでうるっときてしまいました…。R指定アニメだし今回もどうせビデオスルーだろ!と思っていたので、劇場公開されただけでも嬉しかったですよ、マジで…。

SausageParty7

<あらすじ>
物語の舞台となるのはスーパーマーケット「ショップウェル」。ソーセージのフランクは、恋人であるパンのブレンダと一緒に”ドアの向こう側”へ行き、二人でひとつに結ばれてホットドッグになることを夢見ていた。棚に並んだ食品たちは、神様(お客様)に購入してもらい”ドアの向こう側”へ行けば必ず幸せになれるはず、外の世界は【楽園】なのだと信じている。独立記念日の感謝祭前日、ついにその夢が叶う時がやってくる。神に選ばれ、二人揃ってカートに入れられるフランクとブレンダ。しかし喜んだのもつかの間、直後にアクシデントが起こってしまう。カート同士がぶつかった衝撃で中にいた食品たちが床に投げ出されてしまったのだ…。なんとか命は助かったもののフランクとブレンダはスーパー内に取り残されてしまう…。一方、カートに残っていた食品たちは無事にお買い上げされて”ドアの向こう側”へ。夢にまで見たキッチンに到着するのだが、そこには残酷な真実が待ち受けていた。なんと、神は皆大量殺戮者であり、食材を切り刻み、焼き、茹で、料理して食べていたのだ…!!

SausageParty11

メインのキャラクターは食品です。人間が食材を調理して食べるという当り前のことが、人格を持った食品たちの目から見ると超残酷な行為となってしまうんですね。「もしも食品が人格を持ち、まるで人間のように生きてたら…!」っていうアイデアは、誰でも一回くらいは考えたことあるんじゃないのかな。食べ物が実は生きていて、モノを考えて喋って動くという根本のイメージは、やっぱり『トイ・ストーリー』だったり、ディズニーを意識していたと思います。リスペクトは強く感じました。食品たちの黒い腕に白いグローブってのはミッキーマウスみたいですしね!

そんな彼らが世界の真実に気づいてしまって「食われてタマるか!」と、人間たちに戦いを挑んでいくお話です。

SausageParty8

個人的に一番注目してたのは残酷描写です。まあ予告の時点で何度も見ちゃってたんですが、これが本気で超サイコーですよねー。食品たちの死亡シーンを見てるだけでもめちゃくちゃ楽しかったです。けっこう大量に死んでました。一秒に満たない死亡シーンもいっぱいあって、容赦はまったくなかったし、もしこれが人間だったらと思うとおぞましい描写の連続でした…。まあでも人間じゃないから腹抱えて笑えましたよ!

擬人化しているので食品が破損するとそのキャラクターは当然死にます。瓶詰めのマスタードが大破して飛び散ったり、バナナの皮が剥けちゃったり、トマトが切断されたり、ポップコーンが弾け飛んだり、それぞれが素材を生かした多種多様な死に様を見せてくれました。これがすごく面白い!普段、日常的に消費している食品を擬人化すると超残酷だよねッ!ってことで基本的にはそれがギャグになっていることが多かったと思います。凄惨な死に様ばかりなんですが、キャラクターが可愛いからか、悲壮感がないし万人にウケるポップな印象を受けました。腸や血が中身の具材で表現されていたりして、食材が破壊される描写はどれも面白かったです。

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最初に死ぬのがハニーマスタードなんですが、ここも良かったです。購入されて外の世界へと旅立っていくハニーマスタード。しかし、「種類を間違えた」という理由で再び店の商品棚に戻されてしまう。”ドアの向こう側”で残酷なる真実を目撃してしまった彼は、世界に絶望し飛び降り自殺をしてしまう。

「顔面に精子をぶっかけられて真実が何も見えていなかったんだ!」

言ってることはまっとうな意見っぽいんですが、キャラクターのセリフ回しはみんな下品でアホっぽかったです。ファックという言葉の数も尋常じゃなく、90分で150回くらい連発されていたようです。サイコー。

SausageParty10

食品がそれぞれ性的欲求を感じているってところが面白かったです。食品同士でセックスするなんて、思いついたとしても誰もやらないですよね!スゴい!もしもピクサーがR指定のエログロ映画を製作したら、こんな感じになるのかなー。偏差値は限りなく低めです。暴力よりも性描写のほうが狂っている気がしました…。

中東問題への皮肉とか、真面目に深く語りたくなるような象徴的なものもいくつかあるんですが(もしかしてシネフィルに向けて撒いた餌じゃないの?)、そんなものをすべて破壊してしまうのが終盤に描かれるフリーセックスの宴でした! 神々(人間)を抹殺することに成功した食品たちは食種(人種?)、そしてLGBTの垣根を乗り越えて大乱交! 食材ならではのセックスが凄い! しっかり射精している奴もいた! ここのシーンはホントに最高で、言葉を失ってただただ笑うのみでした! アイデアが超ブッ飛んでます!! とにかく下品!!そして、ちゃんとエロい!!!!

個人的には、ヒトラーがウケ側に回っているのとかツボでしたよ。

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キャラクターデザインも素晴らしかった。とくにヒロインのパン・ブレンダ。ちゃんと胸の膨らみなども表現しており、衝撃的だったのが口ですね。これが縦についていてパクパク喋る。体の中心は割れ目になっていて、途中から女性器にしか見えなくなりました。ド直球でバカっぽいですけど、こういう鬼畜な発想をそのまま絵にしちゃうのはスゴいなーと思います。心底から感動しましたよッ(アホです)。

SausageParty18

悪役はビデでした。ビデってのは膣洗浄器だそうです。ノズルを女性器に突っ込んで使用するみたいです。フランクたちと一緒にカートの外に放り出されてしまい、店内に取り残されたのはフランクの行動が原因だと言って因縁をつけてきます。自己中心的なヤツでした。

コイツ最高でしたよ。まず存在自体がちょっと卑猥だし(入れられてる箱のパッケージもすごい)、行動も容赦なくて面白かったです。落下した衝撃でビデの容器が割れてしまって中の液が漏れ出してしまい、このままだと死んでしまう…ということで液体の食品(ジュースとか)を殺害して、相手の液体を飲むことで命を保っていくんです。最初にジュースを殺すシーンは、完全にレイプみたいに撮ってました。紙パックのジュースの股間にちょうどよく穴が開き、それをゴクゴク飲み干すビデ。ほとんど犯しているようでした(完全に狙ってやってます)。しかも相手の食品は男性だったと思います。その後も何体もの食品を殺害して、生き血を啜るように生き延びていくキャラクターでした。目的はソーセージへの復讐を果たすこと。そのためにしつこく追いかけてきます。ラストでは店員の男性のアナルにノズルを挿入して、両手で金玉袋を引っ張って人間ををロボットのように操縦し…。いやーもう考えた人(セス・ローゲン)頭おかしいですね(笑)。そんな感じで、面白かったですよ!

SausageParty17

キャラのほとんどが食品ですが、トイレットペーパー、コンドーム、ビデといった股間回りに関わる(?)消耗品などだけは登場します。徹底的に下ネタなんですよね。上の画像は、使い捨てられたコンドームが神の残酷さを悲痛に訴えるシーン。見た目ちょっと可愛らしいんですが、何に使用されたのか考えるとものすごくエグい。

「やつらはドピュッと出したんだ!!」

SausageParty5

監督の前作『モンスターVSエイリアン』でもそうだったように、今回の『ソーセージ・パーティ』も映画のパロディ満載でした。たとえば、食品たちがカートから床に放り出されるシーンは『プライベート・ライアン』でした(音が一瞬途切れて、目覚めると周りは血まみれの戦場に!仲間たちは内臓が飛び出ていたり顔の皮膚が剥がれていたりと凄惨な状態)。ほかにも、敵を取り囲んで指をパチパチ鳴らすシーンは『ウエスト・サイド物語』だし、銃弾を喰らったガムが自己再生するシーンは『ターミネーター2』のT-1000(わかりやすく音楽まで流れる!)、それから銃弾の弾道は『マトリックス』みたいだったし、楽園に行けると思っていたが実は違う…!と気づくシーン(ポテトは皮をひん剥かれるところ)は『アイランド』だッ(違うかも)! 学者の机に何十年もへばりついていたために天才になってしまったガムはホーキング博士にしか見えないし、冒頭のミュージカルシーンは『美女と野獣』の「ビー・アワー・ゲスト」へのオマージュだと思います(スーパーが開店してお客様が入ってくるシーンだし)。そんな感じで、いろいろ元ネタがありそうだと思いました。ラストではなんと『スターゲイト』が登場するSF要素まで!

とくに食品たちの死に様は「コレってアレだろ!」と言いたくなるものが何個もあったので、元ネタ大辞典ができそうな感じしましたよ。単純に似ちゃっただけとか、ただの思い込みもあると思いますが、面白かったです。

SausageParty6

車のナンバープレートが「DIXAR」になっているのは、やはり「PIXAR」へのリスペクト?

SausageParty16

いつもドラッグをキメてラリっているセス・ローゲン脚本なので(『スモーキング・ハイ』など)、今回もガッツリ薬に溺れている中毒男が登場。”バスソルト”という名称のダウナー系の合成麻薬(?)を、ちゃんとスプーンに盛って煮沸して注射器で注入。カメラのアングルとカット割りはほぼ『パルプ・フィクション』完コピという感じで、音楽は『レザボア・ドッグス』の「Little Green Bag」が流れていたのでタランティーノリスペクトってことなんでしょうか。食品たちも何故かマリファナをプカプカ吸いまくっていて、みんな気持ちよさそうでしたねー。

SausageParty19

独立記念日の感謝祭前夜にお客様にお買い上げされた食品たち。人間たちへの復讐を決行したのは感謝祭当日。7月4日ですね。この日には毎年アメリカ全土でソーセージがバカ売れするんだとか。感謝祭にはBBQと花火がつきものだそうです(よく知りませんが)。大ボスである悪役を最後には爆死させるんですが、どう見ても花火だし、アメリカが植民地支配から独立したように、食品たちが人間の支配から解放されたことを表していたんだと思います(たぶん)。

SausageParty20

最終的にスーパーにいる人間たちは皆殺し!

SausageParty12

食べ物だからいつかは腐っちゃうし(賞味期限のない永久保存食品も出てきますが)、この話ってハッピーな終わり方難しいよなあ…と思いながら後半のほうは観ていたんですが、さすが『ディス・イズ・ジ・エンド』の脚本家集団、ラストはちょっとブッ飛んでます。残酷な真実を知り、人間との戦争に勝利した食品たち。しかし、さらなる真実を知ることとなるのです……。それは、「お前ら、アニメのキャラクターなんだよ!」ということでした。

「フランクの声優は、セス・ローゲンというユダヤ人のコメディ俳優だ!」

えええ!!!!と呆気にとられているうちに、気分がアガるカッコいいオチでエンドクレジットへ…。

「食べ物は大切に食べましょう」みたいな説教臭い方向へ行かず最後の最後までアホっぽくて良かったです…。描写がクソ面白かったし、ボイスキャストも豪華だし、絵も大好きな感じで、もう観る前から絶対好きになれるだろうなと期待値はものすごく高めで観たのですが、最高でしたね!本編に対しての不満はとくにありません。強いて言うなら、もっと観ていたかった!ってことぐらいです。体感的には、あっという間で「もっと見せてくれ!」という気持ちも若干ありました。でも、ホントに面白かったんで、「下ネタなんか絶対ヤダ!!」という人じゃなければ強めにオススメしたい作品です。できることならこのチームでまたR指定アニメを作ってほしいなー。

SausageParty2

もちろん人間の生首も登場してましたよ!(斧での事故死)

SausageParty4

ボトルの生首もあった!(生き血を啜るシーン)

SausageParty9

ダダッダッダダ!ダダッダッダダ!

SausageParty14

最後に、日本語字幕について…。

本編中ずーっとFUCKやらSHITやら連発してんのに、字幕は妙に”お上品”だな~!ってのは感じてしまいました。時間の都合とか文字数の都合とかいろいろあるのはわかりますし、普段こんなところ気にして観てませんけど、唯一引っかかってしまった点です。作品に非はないし、残念ってほどでもないんだけど、もっと汚い言葉のほうが良かったかなーとは思いました。英語喋る人間じゃないのでエラそうなことは言えませんが、もっと「チンポ吸い」とか「腐れオマンコ」とか馬鹿で下品な偏差値低いやつでもよかったんじゃないの!?

SausageParty13

うんこ!!!!!!!!!!

SausageParty15

目ん玉!!!!!!!!!!

SausageParty22

オナニー!!!!!!!!!!

SausageParty25

アナル!!!!!!!!!!

10vbv7

・・・ということで、”好み”の描写満載。大好きでしたよ!

SausageParty23

カットされた別エンディング(?)では、スターゲイトに吸い込まれていったキャラクターたちが店でホットドッグを食べている声優陣(セス・ローゲン、マイケル・セラ、エドワード・ノートン)を呆然と眺めている、というものでした(笑)。このエンディング超絶アホっぽくて大好きですよ!もしかしたらこっちのバージョンのほうが面白かったかも!!



おしまい

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