いけにえ映画狂い

外国映画の感想文。お気に入りシーン備忘録など。ネタバレしてます!

ロマンス

『パッセンジャー』感想。

90年早く目覚めた2人の壮絶な運命――。
映画史に残るスペース・スペクタル・ロマン(!?)。
個人的評価:★★★★★☆☆☆☆☆ 50点
Passengers
2017年03月24日公開/116分/アメリカ/映倫:G
原題:PASSENGERS
監督:モルテン・ティルドゥム
出演:ジェニファー・ローレンス、クリス・プラット、マイケル・シーン、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシア

モルテン・ティルドゥム監督の新作なので鑑賞。

うーん、かなり荒唐無稽でメチャクチャな話でした。そんなに嫌いでもないんですが…かといって良作とは思えないし、ほとんどバカ映画(悪い意味で)。デートムービーっぽい王道のSFラブロマンスですよねー。脚本はグーパンチでツッコミ入れたい感じ(笑)。残念。

Passengers09

あらすじ

近未来、5,000人を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号が、人々の移住地に向かうべく地球を出発。到着までの120年、冬眠装置で眠る乗客のうちエンジニアのジム(クリス・プラット)と作家のオーロラ(ジェニファー・ローレンス)だけが、予定より90年も早く目覚めてしまう。絶望的な状況を打破しようとする二人は、次第に思いを寄せ合うものの、予期せぬ困難が立ちはだかり……。
(以上シネマトゥデイより)

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感想

ベタというよりは陳腐って感じ。「宇宙で孤独」という古典的なテーマなので物語への既視感が強かったです。なんか見たことあるなーってシーンの連続。映像はそこそこキレイだったし後半のツイスト部分なんかには驚かされたりもして全体的にはそこそこ面白かったんですが、平凡な映画だと思いました…。

ツッコミどころの多い内容だし結末に対しての薄っぺらさなども感じてしまい普遍的で重々しいテーマのわりにはノリが軽い…。登場人物の行動には納得のいかない部分も多かったです。終盤は都合の良すぎる展開がヤバかったー。

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もしも冬眠中に目覚めちゃったら!という一発ギャグみたいなツカミで始まり「あれ?起きたの俺だけ?エッ?みんなまだ寝てる!到着地まで90年もかかるって…マジかよ。死ぬまで宇宙船の中で過ごさないといけないじゃんオレ…。二度寝もムリそうだし、孤独すぎて死にたい…ううう、寂しいよー。もう自殺しようかな…宇宙空間ちょー怖ええええ。あっ!イイ女がいるッ!好きだー!起こそうかなあ…うーん(ウジウジ)いや、ダメだ!」と葛藤する主人公。

Passengers03

予告では「二人だけが目覚めてしまった!」と思わせているのですが、実際に冬眠から目覚めてしまったのは主人公ただ一人。なぜそんなことになったのかというと、移住惑星への移動中に運悪く宇宙船が隕石と衝突してしまい、その結果システムに異常が発生したため。それによって主人公の冷凍ポッドだけが開いてしまい、「起きたのオレだけかよ!」という状態に。

船内での娯楽は、酒とダンスとバスケと映画鑑賞(?)くらいだったと思います。貧乏エンジニアなので飯は一番安い残飯みたいなやつ。自分の今いる状況を理解して絶望し、寂しすぎてニートみたいになっちゃうクリプラ…。

Passengers10

自殺の方法は、宇宙ならでは!という感じ。

Passengers11

ジェニファー・ローレンスの寝顔に一目惚れしたクリプラは、手始めに彼女のデータを漁って大興奮。夢を語るオーロラの動画をオカズに飯食ってたりするのでホントもうすごい…。この状況で自慰行為描写を排する不自然さは激しく引っかかったけど、万人向け映画だしそれはしょうがないのかなー。一番強く感じたのは孤独云々より性的欲求でした!

ヒロイン・オーロラを発見した主人公は唯一の話し相手であるロボットに相談しながら起こすべきか否か悩みます。目覚めさせてしまえば自分と同じように船内で一生を終えることになってしまう。そのため「ダメだ!絶対ダメ!」と思いながら一年以上も孤独な生活に耐えることに…。

Passengers07

しかし、ついには想いを断ち切ることが出来ずに彼女を目覚めさせてしまう。

そして、起こしたことは彼女にバラさずに仲良くなっていく姑息なクリプラ。葛藤する描写は弱かった気がします。もっと厳しくしてもよかったと思う…。予告の時点でジェニファー・ローレンスが目覚めることは既に知ってしまっていたので「起こすの?起こさないの?」というドキドキ感はとくにありませんでした…。

他に誰もいない状況なので二人の恋愛はトントン拍子に進んでいき、気づけばラブラブ状態。一人で宇宙空間へ出た時は絶望で涙を流した主人公でしたが、今度はオーロラと二人で宇宙服に着替えて無重力での遊泳デートを堪能。壮大な宇宙の星々を見て彼女が感動しているタイミングであっさりと口説き落とすことに成功し、彼氏彼女になったら即セックスという流れ…!

キスシーンで宇宙服が邪魔になって「キスしづらいな…」と思った直後に全部脱ぎ捨てて全裸で抱き合ってるのとかすごく好きでした。

Passengers12

ヒロインは文学系の知的ドスケベ(にしか見えなかった!)。ただ、濡れ場は見せ場としては弱いし乳首も隠してるので30点。カメラアングルが残念。

セックスしてからラブラブなデートを重ね、出合ってからさらに一年が経った彼女の誕生日に愛の告白をしようとする主人公。しかし、そんな最悪のタイミングで隠し事がバレてしまう…というラブコメお約束のパターン。

目覚めさせたことがバレるシーンは「愛した男は自分のストーカーだった!」みたいな感じで最高だし、貧乏エンジニアが美味い朝飯を奢ってもらうシーンなんかは女に養ってもらうヒモ感があって良かったです。

かっこつけてシリアスぶった演出してないで思い切ってコメディにしちゃえばよかったんじゃないかなーって思いました。笑いになるシーンを台無しにしていた印象です。もったいない!

予告を見て最初に連想したのは下の動画とか↓



題材が古典的なので元ネタありそうですよねー。

Passengers02

密閉空間でロボットしか話し相手がいない状況は『月に囚われた男』、宇宙で孤独ってのは『オデッセイ』、宇宙空間でのダンスは『WALL・E』、二人だけの世界ってのは『惑星ソラリス』、終盤で主人公が一躍ヒーローになるのは『アルマゲドン』(?)からの『ゼロ・グラビティ』の宇宙遊泳、最後の植物は『サイレント・ランニング』!?(ただの思い込みの羅列ですが)

とにかくもうSF要素テンコ盛りで、いろいろと連想してしまって新鮮味は全く感じられませんでした。宇宙という限定された空間だから意図せずカブってしまう部分もあると思うのでそれはべつにいいんですけど、そういうものと比較するとテーマに対しての回答も人物の描き方も浅すぎて…中途半端。

shining

密閉空間で頭がおかしくなる男というシュチュエーションは『シャイニング』を意識していたのだと思います。バーテンダーの服装なんかは完コピしているし、有名な床の柄なんかも再現してました…。つまり、クリプラがヒロインを目覚めさせたのは気が狂ったゆえの行動ってことでしょうか?

個人的にはもっと強烈なインパクトがほしかったです。狂気が足りない…。

Passengers05

唯一斬新だと思ったのはプールのシーン。

システム異常によって無重力装置にも不具合が発生し、ジェニファーが船内のプールで泳いでいると突然無重力になってしまい、軽く溺れます(笑)。

映画で登場するプールはなんとなく不吉なイメージがあっていつも注目してるんですが、これは面白くて好きでしたよー。なかなか見ない状況だし水の表現も良かった。気を抜いてる時に突如襲ってくる恐怖って見てて楽しいですね。他の二人との対比もうまくいっていたしローレンス・フィッシュバーンの浮かなさ加減はちょっと笑いました。怖さは感じませんでしたが…。

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後半に入ってから3人目が起床します。これも宇宙船のシステムの不具合で。このへんからご都合主義がヒートアップ!

「え…3人目が登場するの!?」ってことで最初はテンション上がりました。しかし最終的にはローレンス・フィッシュバーンの使い勝手が良すぎて失笑。正直、この人はパスコードを教えてくれるだけの存在だったと思います。で、果たすべき役目を終えたら死んでいく…。使い捨て感ハンパナカッタ。

本作に登場するキャラクターは、バカップルとロボットとパスコードおじさんの4人だけ。大オチでアンディ・ガルシアなんかも登場しますが、カメオ出演だしセリフもなかったと思います。

Passengers13

その後、不具合の原因を探るべく調査を開始する二人…。宇宙船にデカい穴(2年前に破損したやつ)が開いていることにようやく気付いた彼らは人力でお手軽に修復してしまう。スゴイ。

さらに調べてみるとリアクター(原子炉?)が大変なことになっており正常に戻すためには船外に出て手動で扉を開けて排熱しなければならない。さもなければ乗客<パッセンジャー>の命が危険に…!というややムリヤリな展開…。

「オレの命なんかどうだっていい!大切なのは5000人の命を救うことだ!」

クリプラは汚名返上のため立ち上がり、溶ける覚悟で船外活動。ここで燃え尽きて死ぬのか…と思ったら意外と強度抜群の宇宙服で熱に耐えてしまい、瀕死状態で不具合の修復に成功。さらにオーロラの助けにより宇宙空間をスイスイ泳いで帰還。しかし、力尽きたクリプラは死んでしまう…。

Passengers14

「孤独になるのは絶対イヤ~」って感じで泣き叫びながらオーロラは死亡したクリプラの蘇生に挑戦。船内に連れ帰り人体蘇生装置で生き返らせようとしたところ、ハイテク機器によって案外簡単に復活してしまうクリプラ…。

「おおー!死ななかった!…え、結局死ぬんかい!と思ったら生き返った!」と、心の中で叫んでいるうちにクライマックスは終わりました…。

監督はどうしてもジェニファーをタンクトップ姿にしたかったようですね。

Passengers16

さらにその後、冷凍睡眠のポッドが使用可能に…!(爆笑)

「調べたらやっぱり冬眠できるっぽいけど…どうするぅ?」

「現在を選ぶ?未来にする?」とヒロインに新たな選択肢が!


・・・もうどうでもいいよッ!マジで勝手にやってろって感じでした!

Passengers08

オチでのヒロインの選択も理解できませんでしたよ。「アンタのしたことってほとんど殺人と一緒よ!」という気持ちを貫いてほしかった。クリプラが起きて、さらに誰かを起こさないと一人ではどうにもならず…おそらく結果的には全員死んでいたんだろうし言いたいことは分かるんだけど、都合良すぎ。

もし自分がオーロラだったらクリプラに「ありがとう、あなたはヒーローよ」とか言い残して速攻ポッドに入って未来に飛びますねー。船内暇そうだし。

ハッキリ言って過度な救済は面白くないし、最終的には二人とも頭オカシイ人にしか見えませんでした。主人公に対して甘すぎる。

Morten Tyldum

というわけで、あんまり面白くなかったです!

『イミテーション・ゲーム』を撮った監督の作品とは信じられないくらい酷い出来。…と思っていたんですが、脚本が『プロメテウス』の人と知ってすべて納得。ジョン・スペイツは要注意っすね(個人的なブラックリストに追加)。

キャラクターに都合が良いってのもあるんですが、作家にとっての都合の良さが見え見えで…それがイヤ(気に食わない)でした!

起承転結がハッキリしていて話が分かりやすいのは良いんですが、展開してからの流れがどれもこれも予定調和なので盛り上がりに欠けるし平坦なイメージが強かったです。孤独になったことの絶望も二人でいることの幸福も過剰さがほとんどなくて退屈だし、ノレそうでノレずにモヤモヤしたまま終了…。

Passengers15

ツッコミどころとはまた別に、若干気になる点もいくつか残ったまま終わってしまいました。地球に送ったメッセージは55年後に返信があったのか?等々。

なので消化不良感もスゴイ…。伏線っぽいもんを散りばめておいて回収せずに終わる気持ちの悪さ…。ダメ。暫定ワースト。

speed

オーロラの病名:ストックホルム症候群


↑予告


『ラ・ラ・ランド』感想。

暗い、地味、退屈。ダメでした。個人的な感想。
個人的評価:★★★★★★★☆☆☆☆ 60点
lalaland
2017年02月24日公開/128分/アメリカ/映倫:G
原題:LA LA LAND
監督:デミアン・チャゼル
出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、ローズマリー・デウィット、ソノヤ・ミズノ、J・K・シモンズ、フィン・ウィットロック、ジェシカ・ロース、キャリー・ヘルナンデス、トム・エヴェレット・スコット、ミーガン・フェイ、デイモン・ガプトン、ジェイソン・フュークス、ジョシュ・ペンス、トレヴァー・リサウアー

初日のレイトショーで観てきました。予想はしてましたがカップルが多くて、めちゃくちゃ混んでました…。始まるまでの待ち時間と観終わった直後が少しだけ辛かったです。まあ、それはどうでもいいことなんですが!

前評判がかなり高い作品だったと思います。なので、ちょっと期待しすぎたのかもしれません……。監督は『セッション』の人だし!主演ゴズリングだし!ヒロイン・エマだし!ってことで「絶対大好きなやつだろこれ~」って感じの浮かれたテンションで観に行っちゃったので、もしかしたらそのために余計にガッカリしちゃったのかも…。うーん、フツーの映画でした(笑)。

「あんまり好みじゃなかった!」ってことを好き勝手に書いてるだけですので解説とかはしてません(できません)。面白かった派の人は読まないで!

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あらすじ

夢を叶えたい人々が集まる街、ロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミアは女優を目指していたが、何度オーディションを受けても落ちてばかり。ある日、ミアは場末の店で、あるピアニストの演奏に魅せられる。彼の名はセブ(セバスチャン)、いつか自分の店を持ち、大好きなジャズを思う存分演奏したいと願っていた。やがて二人は恋におち、互いの夢を応援し合う。しかし、セブが店の資金作りのために入ったバンドが成功したことから、二人の心はすれ違いはじめる……。
(以上公式サイトより)

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感想

とにかく地味。控えめなミュージカルだなあっていうのが第一印象。もっとド派手にガンガン歌って踊り狂えばいいのに…って思っちゃいましたよ。どっちかというと豪華絢爛なミュージカルのほうが好みなので物足りなさを感じました。画も話も暗いし、全体的に(狙ってやってんだろうけど)古臭い。

最初と終わりはわりと良かったんです。けど中盤(1時間以上)が、もう退屈で、ハッキリ言ってつまらなかったです。ミュージカルシーンの分量が少なすぎたような気もします。けっこうセリフと画で語っちゃってるので、なんだか普通の恋愛娯楽映画にミュージカル要素をちょこっと加えただけにも思えました。「大嫌い!」とも思わないんですが、平凡でした。ラストは盛り上げてくれたけど、オチに行き着くまでのつまらなさでプラマイゼロという感じ。ストーリーはベタでもいいんです。けど、肝心のミュージカルシーンの画が凡庸でつまらないのはミュージカル映画としてどうなの?と思ったし、カメラワークもそこまで素晴らしいものとは思えませんでした。カットを切らずに長回しで撮るのはいいんだけど、撮り方に工夫がないというか、面白くない。正直ダルかったです。個人的には渋滞のハイウェイ(OP)がピーク…。

ミュージカル黄金期のヘイズコードでも意識してんのか!ってくらいに刺激的な要素が皆無だしインパクトのあるショック描写もほぼなし。恋に落ちて別れて偶然また出会って微笑み合ってさよならするだけのカップルの恋愛模様など見せられて面白いのか…いや、ストーリーにはそこまで文句もないんですが、やっぱ見せ方ですかね…。

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オープニングは大好きだったんですよ。曲もウキウキしちゃう感じだし、これから始まるぞ!夢追い人たちの国ラ・ラ・ランド(L.A.)に到着!って感じ。ここはめちゃくちゃテンション上がりました。気持ちの良い躍動感。

そこからプールにドボンして花火がドーンと打ちあがるくらいまでは、まあ、けっこう楽しかった。というか、先の展開が楽しみにもなりました。これからどうなるんだろうなーワクワク!みたいな感じで。が、それ以降が退屈で…。

古き良きアメリカ映画はこれだ!どうだ!って感じで見せつけられて「素晴らしいだろ??」と言われても(言ってはいないけど)、個人的にミュージカル映画にあまり明るくないためか、まったくノレませんでした。

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基本的には正統派な恋愛ミュージカル映画。タイトルからも分かるように舞台はロサンゼルス・ハリウッド。セブとミアが夢を叶えて別れるまでの話です。ストーリーは超ベタというか、古典的なものだと思います。

初対面がサイアクだった男女が、その年のクリスマスにバーでバッタリ再会。セブのピアノを聴いたミアは恋に落ちる(?)、だが店をクビにされたセブのほうはミアを無視して出て行ってしまう。季節は冬から夏になり、パーティーにやってきたミアはバンド演奏をするセブとまたもや再会。ふとしたきっかけ(ウザいヒゲ男を逃れる口実)から二人は惹かれ合い付き合うことに。お互いに励まし合いながら夢を叶えるため努力に励むが、次第に気持ちはすれ違っていき、ついには破局。5年の時が経ち、偶然セブの店で再会するまでの物語。

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『ブギーナイツ』だああああ!!!!…………え!?

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過去の名作へのオマージュが多い作品です。監督がこういうのが好きで過去のミュージカル映画をぶちこんでるんだと思うんですが、個人的には……言い方悪いですが「だから何?」って感じでした。上の画像は『ムーランルージュ』らしいんですけど、そもそも元ネタのほうに対しての愛着がないからか「うおおおおお」と熱狂できるほどでもなかったです。『雨に唄えば』の有名シーンなんかもありました。冬→夏→冬→夏(5年後)の4部構成は『シェルブールの雨傘』を意識していたようです。他にもいろいろありましたが、なんというか懐古主義的な古臭さを強く感じてしまったし、「好きだー!」っていうのもあまり伝わってきませんでした。なんとなく過去の名作を利用しているだけで扱いが雑にも思えてしまって、たいしてリスペクトも感じませんでした…。

全編にオマージュ満載だったのは、主人公のセブが「ジャズを復活させたい」と思うのと同様にチャゼル監督もまた「古き良きアメリカのミュージカル映画を復活させたい」という想いがあったためかもしれません。つまり、今の時代のミュージカル映画は「死んでいる」と。

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前作『セッション』に続いて、今回の主人公であるセブもチャゼル監督の投影であるように思えました。まあ、ジャズ大好き野郎です。ジャズという音楽に対する価値観がハッキリしていて、ここも賛否ありそうな点だと思いますが、熱いジャズ魂をセリフでペラペラ喋らせちゃう。「ジャズは死にかけている、このままだとジャズが死んでしまう。だからオレはジャズクラブのオーナーになるんだ!」とか…。

で、監督の思う新しいものを何も生み出さない音楽ってのがちょっと笑っちゃう感じで…。こういうのが嫌いなんだよ!って想いをバンバン感じたし、悪意あるダサい撮り方にも思えました(セブが加入するジャズバンドのライブシーンなど)。でも同時に、古いジャズがそんなにすごいの…?という疑問も少し湧いてしまって、こんなセリフ言わせなくてもいいのに…とも思ってしまいました。『セッション』はそういうの言わせなかったから良かったのに!

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二度目の出会いのシーンでミアがリクエストするフロック・オブ・シーガルズの「I Ran」の使い方なんかもちょっと気になりました。単純に好きじゃない音楽ってだけの意味で、あの選曲はギャグなんでしょうか…。ここのシーンは解説があったら知りたいです。面白くはないけど、たぶん笑うべきシーン。

それと、このへんから「いったい今は西暦何年なんだ!」っていう疑問も湧いてきて、たぶんどうでもいいことなんだろうなあと思いつつも若干モヤモヤが止まりませんでした。スマホがあるし現代なんでしょうけど。

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エマ・ストーンは大好きですが、正直ヒロインが魅力的とは思えなかったのも残念です。というか、けっこう嫌いなキャラクターでした。

まず、第一印象からあんまりイイ気分にはならないですよ。まあ、そこは意図してやってることなのかと思うんですが、けっこう最後まであんまりイメージが変わらなかったというか…なんかちょっと普通に運のいい女。好きなタイプではないご都合主義を感じてしまいました。

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歌って踊っても空にプカプカ浮いちゃっても、そこはミュージカル映画だから当然のこととして受け入れますが、壇上に上がって上映中のスクリーンの前に立つシーンはちょっと「えええ…」となったし、あり得ねえなって感じです。ロマンチックにどっぷり浸って周りが見えない故の行動なんですかねー。昔の映画ヒロインはこういう突飛な行動を取ったりしたのかな…?とかも思ったりしましたが……………やっぱり大嫌いでいいや。クソ女です。

こういう迷惑な客にはポップコーンを投げつけてやるべきだし、フレッチャー先生はカウント4でビンタを喰らわすべき!というか、このブン殴りたくなる迷惑行為を「ロマンチックだろ~?」と思ってそうな監督の恋愛観がちょっとムリかも…。後半で舞台上に立つ彼女への暗示の意味もあったんでしょうか。

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「下唇噛んで、そうそう、いいねー」(笑いどころなのか…!?)

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そして、クライマックス。

ここが盛り上がりに欠けるのが致命的。盛り上がるには盛り上がるのだけど、想定範囲内の盛り上がりというか…あまり過剰さを感じませんでした。過去のオマージュを盛り込みつつ、ミアが思い描いた理想の二人をカラフルで楽しげに描いています。ミュージカルの快楽がここに凝縮され…ってほどでもなく、わりとオーソドックスなミュージカルシーンに思えました。正直、ここでやりたいこと全部やりきるくらいの熱量を感じたかった。感動も驚きもなし。

「もしも〇〇だったら」ですよねー。映し出されるのは二人が初めて出会ってから夢を叶えて家庭を持ちジャズを聴きにやってくるまでの出来事。すべてがミアの空想。

出合った瞬間、二人は恋に落ちる(JKシモンズも祝福してくれる)。そして付き合い始める二人。ミアの舞台は大成功するし、観客席には嬉しそうに拍手するセブの姿。映画のオーディションには無事合格し、パリでの映画撮影…。その後、二人には赤ちゃんができて結婚し幸せな家庭を築きましたとさ。

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しかし現実は、そうはならない。

思い描いた理想通りにはいかないのが人生で、お互いの夢に向かって努力した結果、目標としていた夢(職種)は叶ったものの、そのためには何かを犠牲にしなければ……って、いや分かるけど、分かるけどさ、普通にハッピーエンドでよかったんじゃないの??って思っちゃいましたよ。むしろ「こうなったら最悪だなー」ってほうに行っちゃった感じです。しかもそれを美談っぽく描いているのが、うーん、個人的には微妙でした。『ブルーバレンタイン』の地獄絵図なんかも思い出しましたね(アレもあんまり得意じゃない)。

現実はそうなのかもしれないけど、なんとなく気が滅入るような終わり方…。夢を見せるのが映画なら最後まで夢見せてくれよ!って感じです。『ハッピーボイス・キラー』みたいな終わり方でよかったんじゃないの(笑)。「夢を見ていた」ってキャッチコピーも、まあその通りなんですが、どうせ夢見るならもっとエロくて豪華絢爛なヤバいやつが見たかった、ビターでロマンチックなやつじゃなくて。完全に個人的な願望ですが!

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駄作などとはまったく思いませんが、陳腐なストーリーでバジェット小さめの佳作という印象です。劇中、古いジャズに固執している主人公に対して「過去にしがみつくな」と言うシーンがありましたが、結局は主人公が古いジャズに固執して話が終わるし、最後までそこへの反論的なものがなかった気がして、なんとなく懐古主義的なイメージのままでした。アカデミー賞最多6部門受賞ってのは納得です。アカデミー会員が好きそうな映画ですもん。

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『セッション』のクライマックスでも使っていた横にブンブンふり回すようなカメラワークが今回も中盤で登場しますが、わりと場繋ぎ的な印象でシーンに合ってるとも思えず、うーん…という感じだし、無言で見つめ合わせて微笑を浮かべて表情で語らせて頷かせるってのも、「またこれか!」感。もしかして毎作品でやる気なのかチャゼル監督…。次作も楽しみにしたいですが、今回は好きじゃない。不満点は話も画も暗くて地味だという点に尽きます。とにかくもっと踊れよ!ということで、面白くなかった。普通です。

そもそもメロドラマなんか嫌いなんですよねー(本音)。
次は血まみれっぽいやつ撮ってくれチャゼル!!

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『セッション』大好きな人たちはここで、事故れ!と思ったはず(?)


↑予告


セッション コレクターズ・エディション [Blu-ray]

ファッキンテンポォ!!

『ブラウン・バニー』感想。(R15)

カンヌ国際映画祭で賛否両論の大論争を巻き起こした問題作。
ギャロ「人を楽しませようという気はない、俺自身が楽しむためだよ」

個人的評価:★★★★★☆☆☆☆☆
brownbunny
2003年11月22日公開/93分/アメリカ・フランス・日本/映倫:R15
原題:THE BROWN BUNNY
監督・脚本・製作・撮影・編集・衣装・メイク・主演:ヴィンセント・ギャロ
出演:ヴィンセント・ギャロ/クロエ・セヴィニー

<あらすじ>
かつての恋人デイジー(クロエ・セヴィニー)に思いを馳せながら、次のレース地を目指してアメリカを横断するバイクレーサー、バド(ヴィンセント・ギャロ)。やがて、彼は目的地カリフォルニアでデイジーと再会するが……。
(以上シネマトゥデイより)

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カンヌで未完成版を上映し大ブーイングで迎えられたという本作。
DVD鑑賞ですが、本編よりもコメンタリーのほうが断然面白かったです。
なので、本編+コメンタリーの感想になります。

コメンタリーは初っ端からギャロがネガティブ全開で最高でした。
「俺の顔って醜いだろ」「ネットで叩かれまくって凹んだ」等々。収録時はちょうど二日前に親友のジョニー・ラモーンズが死亡して落ちこんでいたそうです。

それから、要所要所に入るカンヌへの恨み辛み。
未完成版を上映したのには理由があり、日本の出資者が出品してくれと頼むので(本作は100パーの日本出資)、しょうがなくそれを許諾したと。
その結果、ブーイングの嵐となり、開始10分で観客の大半が退出。
途中からは映画評論家のロジャー・エイバートが劇場で歌いだす事態に発展。

ギャロ「でも、服をたくさん貰えたからカンヌへ行って良かったよ」

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この印象的な塩平原での撮影中、迷子になってビビったギャロ。

前作『バッファロー'66』はメチャクチャ好きだったのですが(拉致した女・クリスティーナ・リッチが主人公を愛してくれる夢のような話)、本作は退屈でした。
道中はひたすら気怠く、伏線も何もないし、オチは予想できるもの。
風景も、感動するほど美しいものではありません。
一応ロードムービーではありますが、ドラマが無いのが致命的。
主人公は『バッファロー'66』と同じように人を愛せない男であり、結局最後までそのまま終わってしまいます。しかも死んだ昔の女を性欲処理の道具のように扱い、口内射精して女を消してしまうという最悪の展開。終盤の描写は過激でしたが、そこへ至るまでのドラマがないので(ショッキングではありましたけど)感動はありません。

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主人公はレーサー!

出来はともかくとしてほとんどの作業をヴィンセント・ギャロ一人で行い、あとは少人数のスタッフのみで撮影を敢行など、超低予算でこんな作品を撮ってしまった意気込みだけは感じます。そこの部分を「独りよがりなワガママ」と感じる人もいるのか知りませんけど、個人的には好意的。
けれど、そんなのは作品の面白さとは別問題なので、本作は、まあ、ツマラナイんですけど、嫌いにはなれないのです…。すごい微妙な気持ちになりましたー。
主演するのなら、せめて撮影くらいは誰かに任せればいいのに、「誰も信用できない」と常にモニターを見ながら自撮り撮影とか…。
なんかちょっと泣けるんですよねー、しかも一生懸命撮った作品が大駄作!
コメンタリー聞いてると、なんとなくドキュメンタリーに見えてくるから不思議。

ここからは旅で出会った女たちを適当に紹介しながら感想書いていきます。

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<ヴァイオレット>
旅の初めに出会う女。
出会う女性の名は、みんな花の名前。
妻が花の名前だったから、それを思い出して惹かれていくのでしょうか。

ヴァイオレットの役は当初キルスティン・ダンストだったそうです。
しかし、それがその後ウィノナ・ライダーという話になり…。
結局はガソリンスタンド近くの町に落ちてた素人をキャスティング!
エージェントとの交渉が面倒で大女優たちを断念したギャロ。
「スパイダーガールや万引き少女を起用しなくてよかった」
…ってことですが、起用した少女への愚痴もしっかり吐いてましたよ。

しかも、この少女は「一緒に旅に出よう」とギャロがしつこく誘うので嫌々ながら車に乗りこんだのに、途中で何故か置いてけぼりを喰らうカワイソウな役。

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<リリー>
寂しそうに広場のベンチに座っていた女。
頭を撫でて「大丈夫?」と声をかけたら、何故か濃厚なキスシーンに突入。
よくわからないけどギャロを愛してくれるのです。

しかし、キスして抱き合ったらこの女性も放置して車で走り去るギャロ!
本人的には感動のドラマだそうですが、わけがわかりません。
彼女は当時すでに54歳。
コメンタリーでは「年齢のわりにはキレイだろ!」と連発。
このシーンもカンヌでは大ブーイング。
そして、映画を悪く批評した女どもを口汚く罵るギャロ様…面白すぎますよ。

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<ローズ>
ラスベガスの立ちんぼ女。娼婦。(本業はストリッパー)
ペンダントの名前を見て、車に乗せ、昼飯をごちそうするギャロ。
しかし、食べ終わってしばらくすると降車を指示。
花の名前だったら誰でもいいから優しくしたい主人公。

このあたりは本物の売春婦も登場したりしてリアル・ピープルな顔面がちょっと面白かったですよ。撮影は基本的にゲリラで、撮り終わってから事後承諾というスタイル。荒んだ地域だったため、撮影中に何度も逮捕され40回も手錠をかけられたというギャロ。911のせいもあったようです。

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<デイジー>
最も重要な女であり、本作は彼女を求めて旅を続ける男の物語。

こんな映画の出演を承諾してしまうクロエ・セヴィニーの女優魂はホンモノだ!
ということで、この後、事務所を解雇されるなど色々あったようですが、近年ではポルノ映画『ディープ・スロート』を題材にした『ラブレース』にも出演していたりして(非エロの役でしたが)今後も追い続けたい女優さんです。

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そして例の過激描写。
日本ではボカシが入ってますが、海外ではこれを無修正上映。
(ネットで検索したらすぐに見れます)

「日本は変わってる。
淫らなことがはびこっているのに、陰毛は見せてはいけないとは。
訳がわからないし、奇妙だよ。
日本では胸が悪くなるような変態の極みも見た。
陰毛くらい、なんだ!
変だよ。
俺の視点だから変に思えるのだろう。
日本のことをもっと知ればわかるのかもしれない。
でも俺の狭いアメリカ人の視点では、普通じゃないね。
毛が問題なのが普通じゃない。」

以上ヴィンセント・ギャロ談。

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露骨なセックスシーンの目的は親密さが複雑さを増すことを示すためだ。
ポルノには罪悪感、責任感、結果、コンプレックス、怒り、憤り、不安、恐れなどは存在しない。つまり、このシーンの狙いは、インパクトのある描写によって性的快楽とファンタジーを増幅させるためだ。

(うーん…意味わからん)

そして、衝撃のラスト!

クロエ「私はもう死んでるのよ!!!!」

これは本当に驚きません!
予想できる展開でした。
そもそも登場からして不自然。
その後、回想など入れつつ真相を解説。
クロエはドラッグに溺れ酩酊した挙句、男たちにレイプされ、嘔吐したものが喉に詰まり窒息死していたのです。ギャロはそれを見て見ぬふりして、ついには記憶から消し去ってしまっていたんですね。

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つまり彼はホテルに来てからずっと一人だったのです…。
じゃあ、さっきの性行為は何だったのかというと、すべて妄想
要はオナニーしてたんですよ。
クロエの口内に射精してからのギャロは本当に酷い。
ティッシュをゴミ箱に投げ捨てるかのような女性の扱いでしたよ!
死んだ妻の想い出が汚れて終わる最低なラスト。
彼は元々人を愛せない男だったのでしたー。

脚本の段階では主人公がバイクで壁に激突して死ぬ話だったらしいです。
……絶対にそっちのほうがよかった気がする!!

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最後の最後は、ぼやぼやのストップモーションでEND!!

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